- 605 名前:アニメの楓カワイソスってことで[sage] 投稿日:2005/12/11(日) 20:41:29 ID:x3rTb5OS
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シャワーから降り注ぐお湯を頭から浴びたその瞬間、芙蓉楓は唐突に思い出した。
『ねえ、楓。ファーストキスってどんな味だった?』
それは降って湧いたような話題だった。
昼間、学校で麻弓に尋ねられた楓は願望を胸に仕舞い込んで首を傾げるしかなかった。
(でも、許されるのなら……望んでくれるのなら……稟くんに――)
そう思った楓の目の前で、それはあっさりと打ち砕かれてしまった。
『八年前、この街で……稟くんと』
リシアンサスのその言葉は、誰が想像するよりも深く楓の胸に突き刺さった。
幼い頃の出来事。綺麗な思い出。たとえ無理矢理にでもそう言って納得できればどれだ
け気が楽だろう。でも結局どう表現したところで事実は何も変わってくれない。
(稟くんは……シアちゃんと、キス……してる……)
ずきん、と心が痛む。
しかしその痛みを認めてしまうわけにはいかなかった。八年前のこととなれば尚更だ。
楓には嫉妬も羨望もする資格はない。彼への想いは一方的でなければならない。何一つ
として見返りを求めてはならない。ただ与え続けるだけの無償の愛でなければならない。
それが幼い自分が犯してしまった罪の贖いなのだから。
「そう、だから……私は笑ってないといけないんですよね……稟くんが誰と何をしようと、
私には、何も言う権利なんて……」
蛇口を捻り、お湯を止める。シャワーから溢れた水滴がタイルに落ちて虚ろな音を浴室
に響かせた。何回も。何十回も。
どれだけの時間が過ぎただろう。時を刻むかのような水音はいつしか止まり、静寂が訪
れていた。
「――ッ!」
ふと、楓は細く息を呑んだ。すっかり冷え切った自らの身体を、その細い腕で強く掻き
抱く。指先が白い肌に食い込み、華奢な肩が小刻みに震えた。
「稟、くんっ……」
吐息混じりに絞り出すような声が漏れる。
「嫌です……やっぱり嫌ですっ……私は、私には、稟くんだけなのに……っ」
そしてその後に続いたのは、哀しいほど悲痛な愁訴。誰も聞いてくれない、誰も頷いて
くれない、そうと分かっていても吐露せずにはいられない想い。
「好きです……世界中の誰よりも、稟くんを愛しています……稟くんを……稟くん……稟
くん……っ」
楓は縋るように愛する人の名を呟きながら、頭の中に土見稟その人の姿を思い描く。こ
の稟にだけは何の屈託もなく自分の好意をぶつけられる。一時の激情に駆られた行為がそ
の後に今まで以上の罪悪感を残していくだけだとしても、楓はそれを止めることができな
い。
「ああ……稟くん……」
自分にしか見えない彼がすぐ近くに居る。ただそれだけで楓は身体の芯が熱く潤うのを
実感できた。
甘く疼き出した乳房をそっと掌で包む。それは楓の手にはやや余るほどの量感があり、
しかもしっかりと指を押し返すほどの張りもある。自賛する積もりはないけれど、触り心
地はとても素晴らしい。
「ん、ふあぁっ……稟くん……気持ちい、です」
手の蠢きに合わせて膨らみは淫らに歪み、じわじわと熱を孕んでくる。全身に染み渡る
淡い快感に陶然としながらも、ふと楓はその手を鈍らせた。
(でも……でも、こんなの――こんなこと、稟くんへの侮辱も同然なのに……)
霞がかったような頭の片隅で非難の声があがった。しかし、それも半ば無意識的に動い
た指が胸の先端を緩く捻った瞬間に呆気無く霧散してしまう。そしてもう片方の乳首を掌
で転がし始めると、その倒錯感さえ何とも言えない悦楽に転じるのが分かった。
最早、熱に浮かされたかの如く理性的な思考がおぼつかない。楓はただ快楽を求めて胸
を揉みしだいた。
「あ、はあぁ……あぅ、んん……っ」
鼻に掛かった声が抑えようも無く漏れてしまう。実際にはそれほど大きな音量ではない
のかもしれないけれど、狭い浴室に響いて耳に入ってくると大声で喘いでいるみたいにも
思える。
――もし稟くんに聞かれてしまったら……
楓の脳裏にそんな不安とも期待ともつかない考えが過ぎった。
もしそんなことになったら、一体彼はどのような反応を示すのだろう。ただ驚くだけか
もしれない。或いは、はしたないと軽蔑してしまうかもしれない。或いは……或いは、こ
んな自分の姿に欲情してくれるかもしれない。
- 606 名前:アニメの楓カワイソスってことで[sage] 投稿日:2005/12/11(日) 20:42:27 ID:x3rTb5OS
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そう思った途端、一気に身体中が熱く火照った。
「んんっ、んあぁ! 稟、くんっ……そ、んなっ……ふあぁっ!」
脳裏に描いた稟が、情欲を灯した瞳で楓を見つめる。
いつの間にか擦り合わせていた太腿の付け根に楓は手を伸ばした。
「ん、やあぁっ、稟くん、だめっ、ですぅ!」
既に熱を帯びてしっとりと濡れているそこにただ触れただけで、身体が震えるくらいの
快感を得られた。開きかけた陰唇の回りをなぞれば指先に淫液が絡む。もうそれだけ濡れ
ているという事実は、羞恥よりもむしろ情欲の方を煽った。
楓は胸をその先端ごと捏ね繰り回しながら陰唇の中に人差し指を差し入れた。粘膜の敏
感な場所を探り当て、じっくりと快感を引き出すようにして擦る。
(だめ……足りない。もっと、もっと、たくさん……)
その刺激に慣れると、一旦指を抜いてもう一本増やしストロークを再開する。人差し指
と中指を揃えると男性のペニスには劣るにせよそれなりの太さになるというのに、楓の膣
は難なくそれを飲み込んできつく締めつける。
「ふああっ! あぁっ、いいっ、ああんっ!」
少しずつ意識が離れていくみたいな浮遊感が全身を包む。
近づきつつある限界を予感して、楓は両手の動きを加速する。
「んあぁっ! 稟くんっ、稟くぅん! 好きっ、好き、ですぅ、んんっ!」
乳房から手を離し、硬く尖ったクリトリスを指で挟んで絞り上げる。目が眩みそうにな
るほどの快感が弾け、がくがくと腰が震えた。
頭が真っ白に染まり、もう自分が何を口走っているのかさえ分からなくなる。
「あっ、んあっ、稟、くんっ! りんくんっ、んん、わたし、もうっ――!」
圧倒的な性感の奔流に押し流されながら、楓は稟の名前と嬌声と淫猥な水音を浴室に木
霊させた。
「ふああああぁぁ――ッ!」
びくびくと身体が痙攣した直後、尿意に似た感覚がして、股間から透明な液体が迸った。
やがて息を整えると、濡れた両手を眼前に掲げて、楓は自分が絶頂に達したことをぼん
やりと悟った。
いつもならそこで終わる筈だった。
稟を自分の妄想で冒涜し穢してしまったという罪悪感と、夢想でしか叶わない願いなの
だという絶望感とで涙を流して、それだけで終わらせてしまう筈だった。なのに、今日は
違った。
オルガズムを迎えても体の疼きも心の疼きもまるで治まってくれない。それどころか、
自慰の後の空虚感が楓の不安を強く掻き立てた。
こうして稟のことを夢想に求めるしかない楓と違って、彼の周りには現実に魅力的な女
の子達が居る。ネリネやリシアンサスやプリムラ、そして時雨亜沙。彼女達は真っ直ぐに、
何の負い目もなく稟に「好き」と言える。それは楓には出来ないことだ。
だから狂おしいほどに怖い。稟は楓の恋人などではない以上、彼女達の好意を受け入れ、
自分の元から離れていってしまうかもしれない。それを「嫌だ」と言うことすら出来ない。
その懊悩が、あらゆる理性を抑え込んで楓を突き動かしていた。
濡れた髪もそのままに、タオルを体に巻いただけの格好で、ふらふらと稟の部屋の扉に
向かう。ノックをせずにノブを回す。
稟の姿はベッドの上にあった。仰向けに寝転んで何かの雑誌を読んでいた。
「ん、誰だ? プリムラか?」
雑誌から目を離さぬまま稟が誰何する。
楓はそれには答えず部屋の中に入り、後ろ手にドアを閉めた。
「何だ……」
いつまでも無言でいるのを不審に思ったのか、稟は訝しげな声を上げてこちらに視線を
向けた。楓の姿を捉えた瞬間、その目が大きく見開かれる。
「か、楓? ど、どうしたんだ、そんな格好で」
そう言って稟は慌てたように体を起こした。
その質問には答えずに、楓は彼を見据えたままタオルの結び目を解いた。体を覆ってい
たそれは軽い音を立てて床に落ち、稟の目に生まれたままの楓の姿が晒される。
「な――!?」
稟が言葉にならない声を発して顔を背けた。しかし、その瞳が確かに自分の裸身を映し
ていたのを見て、楓の胸におかしくなりそうなくらいの喜びが湧き上がった。
ゆっくりと、一歩ずつ、彼の方へと近づいていく。
- 607 名前:アニメの楓カワイソスってことで[sage] 投稿日:2005/12/11(日) 20:43:25 ID:x3rTb5OS
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「ま、待て、楓っ! どうしたんだよ! こ、こんなこと――!」
それほど広い部屋ではない。稟の言葉が終わるよりも早く、楓はベッドの前にまで歩み
寄っていた。
稟の頬にそっと手を添えてこちらを向かせる。抵抗は無かった。整ったその顔には、欲
望よりも困惑の色合いが強く出ている。
「稟、くん……」
呟くと同時に、楓は稟の唇に自分の唇を重ねた。
優しく、柔らかい、感触。ずっとずっと、焦がれていた感触。
それは夢想に描いていたよりも遥かに心地良くて、切なくて、甘かった。
長い長い空白を挟んで、ゆっくりと楓は顔を離した。
「かえ、で……?」
呆然とした面持ちで稟が呟く。「何故?」と彼の目が問いかけていた。
「稟くん……私は、怖いんです……」
「怖い?」
尋ね返す稟に、楓は小さく頷く。
「シアちゃんが、リンちゃんが、リムちゃんが、亜沙先輩が……稟くんを、私の知らない
遠くへ連れて行ってしまいそうで……怖いんです……」
「……」
「私は……私、にはっ……稟くんだけなんです……っ! 稟くんの傍に居れない私には、
これっぽちの価値だってないんです!」
じわっ、と視界が滲む。稟の哀しげな顔が膜を通したように遠くなった気がした。
「私は稟くんに助けてもらったのに、稟くんをいっぱい傷つけてしまったから……っ!
だからっ……私は稟くんに恩を返さ、ないと……っ!」
「楓――」
「でも、稟くんのことが好きで……この想いをそのための道具みたいにしたくなくて……
だから、稟くんには愛してもらう訳にはいかないんだって……稟くんが誰を好きになって
も、私には何も言えないんだって……っ!」
楓の大きな瞳から、堰を切ったように涙が零れた。頬を伝ってぽろぽろと落ちては湧き、
また落ちては湧く。何年ものあいだ心の奥底に押し込んで凍らせていた本音が、涙と一緒
に溶け出していた。
「やっぱりそんなのは嫌です……っ! 私は稟くんのことを愛しています! 誰よりも、
誰よりも……っ」
楓は震える手で稟に縋りついた。
「どこにも、行かないでください……ずっと、一緒に……居て、ください……っ」
手の震えは肩に伝わり、やがて全身にまで至った。
ふと――心細いほどに冷えていた体が、温かい何かに包まれる。それが稟の腕だという
ことに、楓はしばらく経ってから気づいた。
「なあ、楓……子供の頃にした約束、覚えてるか?」
耳元で稟が穏やかに囁く。
「丁度、今くらいの季節だったっけ。花火をやりながら、『ずっと一緒に居よう』って約
束したよな」
「稟くん、覚えて……?」
それは、楓が赦されがたい罪を犯してしまうよりも昔のこと。とうに稟は忘れてしまっ
ていたとばかり思っていた、楓が彼の傍に居られる理由。
「俺はその約束を守って楓と一緒に居る。それはどうしてだと思う?」
「どうして、ですか……?」
「こう言えば分かりそうなもんだけどな、普通」
呆れたように嘆息して、稟は言う。
「楓のことが好きだからに決まってるだろ。どこの世界に嫌いなやつと一緒に居る人間が
いるんだよ」
「あ……稟、くん……」
「俺もお前が好きだよ。色々あったとはいえ、あやふやな態度が楓を追い込んでしまって
いたのなら、それは本当に悪かったと思う。ごめんな、楓」
「り、稟くんが謝ることなんてありませんっ! 私が……私が勝手に取り乱してしまった
だけですから!」
こんな時でさえ自分を傷つけまいと謝ってくれるその優しさに、自分が思うよりもっと
ずっと稟が近くに居てくれたその事実に、楓を支配してた狂気的な感情の渦が霧散する。
わだかまかりが消えてなくなると、今度は胸に穴が開いたような脱力感が訪れて、楓はそ
の場にへたり込んでしまった。
「ところで、楓」
- 608 名前:アニメの楓カワイソスってことで[sage] 投稿日:2005/12/11(日) 20:44:36 ID:x3rTb5OS
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「はい?」
「ほら、これ」
と稟がタオルケットを差し出してくる。
「えっと……何て言うか、目のやり場に困ってるんだ、さっきから」
稟らしいといえば稟らしい言葉。ただ、今の楓はそう思うよりも、どういう訳か仄かな
苛立ちを覚えた。
「あの……稟くん。魅力、ありませんか、私」
そんな台詞が口をついて出たのは、まだ多少とも気が昂っているせいだろうか。
「いや、魅力とかそういう問題じゃなくてだな、その……えっと……」
「私は、稟くんに、ずっと……抱かれたいって、思ってました……」
『抱かれたい』という直接的な表現に、稟の顔に赤みが差す。勿論、楓の心中にも羞恥
はあったが、それよりも今でなければせっかく芽生えた勇気が萎えてしまうかもしれない
という焦燥に似た感情が強い原動力となっていた。
「稟くんはどうですか? 私を好きでいてくれたのなら……私のことをそうしたいとは思
いませんでしたか?」
「いや……でも、だな……」
煮え切らない態度を取る稟の手を楓はおもむろに掴み――そして、自分の胸へと導いた。
声を呑んだ稟に、艶然と問う。
「稟くん。私を、抱いてくれませんか?」
『りんなんて、死んじゃえばいいんだ!』
ふと、八年前の光景が脳裏を過ぎる。
あの時は何も知ろうとせず、短絡的な憎悪で稟を傷つけてしまった。いま考えれば悪魔
に唆されたとしか思えないことだが、その罪は消しがたい事実として楓を苛んでいた。
やがて真実を知り、泣きながら稟に謝罪したとき、彼を憎むことから愛することへと生
きる目的が変わった。自分の何もかもを差し置いてでも稟に全てを捧げるほど、それが苦
痛だとは微塵も思わぬほど、彼を愛した。そして愛せば愛すほどに苦悩した。どれだけ稟
を愛したところで、それは結局のところ彼から赦しを得るためのものになりかねない。い
や――忘れえぬ罪を犯したしまった以上、そう受け取られても仕方が無い……
だから、楓は稟を愛しながらも、稟から愛してもらうことを諦めようとした。
だがそんなことが出来る筈はないのだと、楓自身が最初から理解していた。そうするに
は、楓はあまりにも稟のことを愛しすぎていたのだから。
「楓……」
稟はまだいささか迷いの残る様子で、それでも優しく楓をベッドに横たえ、髪を梳いて
くれる。
胸の内側がむず痒くなるような幸せに包まれながら、楓は稟に全てを委ねる積もりで緩
く瞼を閉じた。
「やっぱり、俺にはまだ楓のようにはっきりと言い切ることはできないかもしれない。で
も楓のことは好きだし、もっと触れたいと思う。だから……そんな俺とで良ければ、一緒
に先に進んでくれないか?」
楓は無言で頷いた。
「ありがとう。まあ、万一のことがあったら、きちんと責任は取るよ」
稟が近づいてくる気配して、ゆっくりと唇が重ねられた。
歯列を割って入ってきた舌が、控えめに楓の舌に絡む。そうして粘膜を擦られる度に、
頭の中が蕩けるような熱を帯びてくる。焦らされているのではと思ってしまうほどじっく
りと口腔を吸われた頃には、もう楓の頬はすっかり赤らんで、体も炙られたように火照っ
ていた。
「はあ、ぁ……稟くん……凄かったです」
どちからともなく唇を離し、少しのあいだ見つめ合った後、楓は陶然として言った。
「そう、だな。俺も、こんなに気持ちいいものだとは思わなかった」
「その……もう一回、して、くれますか」
「何回でも気が済むまでしてやるよ」
言うや否や、濃厚なキスを再開する。
今度は導かれるまま稟の唇を吸い、その口内を辿り、舌を絡め合う。
やがて稟は顔を離すと、口づけの余韻が覚めやらぬ間に楓の首に舌を這わせ、乳房を手
で包んだ。
「ん……んんっ……」
膨らみを揉まれてつい漏れそうになった声を楓は慌てて押し殺した。
- 609 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2005/12/11(日) 20:46:21 ID:x3rTb5OS
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アニメじゃなくて原作設定ですかね
あとはアンギシだけだけど、ぼちぼち続けます