>>197の続き
「楓、勉強教えて。」
そう言って、リムちゃんが部屋に入ってきた。
「いいですよ。座ってください。」
リムちゃんは、最近になって、魔王様の計らいで、バーベナ学園に通うことになったのだが、
人間界の勉強なんて全然していないリムちゃんは、授業についていけず、私が家庭教師の真似
事をして、少しでも追いつこうとしている。
「これ、食べていい?」
机の上に置いてあった、キャンディーを指差して、リムちゃんが言った。
「いいですよ。」
返事してしまってから、思い出した。この飴は・・・。
「駄目!リムちゃん。それは。」
「ん〜なに?」
遅かったようだ。すでに飴はリムちゃんの口の中だ。しかも、リムちゃんは、飴を噛み砕い
て食べるタイプらしい。ばきばき音を立てながら、飴はリムちゃんの体の中に消えていった。
「なんでもありませんよ。なんでも。さぁ、勉強を始めましょうか。」
「うん。」
リムちゃんは頷いて笑顔を浮かべた。近頃表情の幅が出てきて嬉しいのだが、今だけはその
笑顔が痛かった。
大丈夫。きっと大丈夫。シアちゃんは薄めたって言ってたし、第一、私を逝きやすくするた
めの薬だ。そんなに強いはずが無い。
「楓、熱いよぅ。」
リムちゃんが、潤んだ瞳で、私の顔を見あげて来た。私の考えは甘かったらしい。
「・・・変になっちゃういそう。」
白い肌は、上気し綺麗なピンク色になり、幼い容姿にもかかわらず、女の私でさえ、くらく
らしそうなほどの色香を放っていた。
「まさか、ここまで効き目が強いとは・・・。」
床に捨てられている、飴の包装紙を睨みながら呟く。
「か・え・でー」
「ちょっ、リムちゃん。」
いきなり、リムちゃんが飛び掛った来た。あまりに、予想外だったのでろくな抵抗も出来ず
に押し倒されてしまう。
「好き〜」
「まって、きゃっ。」
静止の言葉を投げかけるが、言い終わる前に唇を塞がれてしまう。本に書かれていたことを
思いだす。
『これで意中のあの人も、あなたに欲情、性感帯も冴え渡り、あなたのことが一生忘れられな
くなります。』
つまり、感度をあげるだけじゃなくて、惚れ薬の効果まであるらしい。どうして、今になる
まで、気付かなかったのだろう。
リムちゃんが舌を絡めてきた。唾液が流れてくる。吐き出そうとしても口は完全に塞がれて
いるし、吐き出そうとする運動で余計にしたが絡まる。
「あっ。」
なんだか、頭がぼうっとする。そうか、今のディープキスで、口内に残っていた媚薬が私の
口の中に入ってきたらしい。リムちゃんがとても愛おしく感じる。
しばらくして、リムちゃんの頭が離れていく。私たちの口と口との間に唾液で橋ができてい
た。それが、妙に綺麗に感じる。