537 名前:しゃっふる迷作劇場[sage] 投稿日:2006/06/26(月) 11:10:03 ID:kxyCQ+Yy
赤ずきんシア


あるところに、明るい笑顔が魅力的な赤ずきんちゃんという、まるでお姫様のようなと〜っても可愛い少女がいました。赤ずきんちゃんは学校の成績は少々悪いものの、毎日楽しく過ごしていました。

シア「ううっ。成績のことは言わないで欲しいっす…」

そんなある日、赤ずきんちゃんは容姿端麗、成績優秀、運動神経抜群、家事万能、という完璧超人のお母さんに病気のおば亜沙んのお見舞いに行って欲しいと頼まれ、パンとミルクを持っておば亜沙んの家に向かう事になりました。
しばらく進んでいくと、道が二つに分かれていて、そこには一見真面目そうに見えるものの、実はとんでもない女たらしのオオカミがいました。

稟「お、俺は女たらしなんかじゃねー!!」

オオカミは赤ずきんちゃんを見つけるとニヤリと笑って話し掛けました。

稟「…無視かよ…。……こ、こんにちは。どこに行くんだい?」
シア「こんにちは、稟く…じゃなくってオオカミさん。おば亜沙んのところにお見舞いに行くの!」

その言葉を聞いて再びニヤリと笑ったオオカミは、赤ずきんちゃんの先回りをしておば亜沙んの家に行きました。そして声色を変えて鍵を開けさせると、勢い良く扉を開け放ち、家の中へと飛び込みました。

稟「がおーーーーっ………って、うええっ!?」

家の中にはおば亜沙んの他に赤ずきんちゃん、赤ずきんちゃんのお母さん、そして背の低い、それなのにグラマーという反則そのもののプロポーションを持つ猟師さんの四人がニコニコ笑いながらオオカミを待ち構えていました。

稟「ちょっ、な、何で!?」
シア「転移魔法使っちゃった。てへっ」
ネリネ「私もです」
楓「私も猟師さんに連れてきて頂きました」
亜沙「いらっしゃ〜い」
538 名前:しゃっふる迷作劇場[sage] 投稿日:2006/06/26(月) 11:10:44 ID:kxyCQ+Yy
四人はにこやかに笑いながら扉の鍵を閉めると、じわじわとオオカミを囲むようににじり寄っていきました。

稟「ちょ、みんな!? 全然台本と違うんだけど!?」
シア「舞台にハプニングはつきものだよ、オ・オ・カ・ミ・さん」
ネリネ「アドリブって大事ですよね?」
楓「大丈夫ですよ。この後の展開は変わりませんから」
亜沙「ボクを食べに来たんだよね? たっぷり食べちゃっていいからね〜」

そう言うと四人はおびえきった様子のオオカミに一斉に飛び掛りました。

四人「いっただっきま〜〜す!!」
稟「い、いや〜〜〜!! あ゛〜〜〜〜〜……………!!!!」

照明が落とされました。
そして真っ暗闇の中、女性の(嬉しそうな)悲鳴が響き渡りました。            


稟「……ううっ。もうお婿に行けない……。ぐすっ」

一週間後、オオカミが杖を突きながら家から出てきました。オオカミは身体中にアザやら歯型やらをつけられ痩せ細っていました。どうやらたっぷりと食べられたようです。

稟「こんなの全然『赤ずきん』と違うじゃね〜か!」

か細い声で抗議するオオカミ。けれど仕方ありません。なにせこの劇はバーベナ学園の劇ですから。
普通にやっても何の面白みもありませんし。
ん? どしたの、照明さん。

????「…どうして私の出番無いの?」

赤ずきんにはこれ以上配役無いから仕方ないのですよー。
あ、照明落とした時にドサクサに紛れて混じれば良かったんじゃない?

????「………稟、もう一回最初から……」
稟「するかーーーーーー!!!!」




シア「ところでなんで亜沙先輩の表記が変なのになってるの?」
ネリネ「それが…」
楓「『年頃の乙女に向かっておばあさんなんて、ボクは許しません!!』だそうです」

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