553 名前:しゃっふる迷作劇場[sage] 投稿日:2006/07/02(日) 10:38:34 ID:aP7I7+Tm

金の斧銀の斧

その1

あるところにきこりの青年がいました。
ある日きこりは斧を持ち、森へ向かったのですが、誤って斧を泉に落としてしまいました。
すると泉の女神が現れました。

シア「あなたが落としたのはこの金の斧ですか? それともこの銀の斧ですか?」
稟「いえ、俺が落としたのは普通の鉄の斧です」

きこりが正直に答えると女神はにっこりと笑いました。

シア「あなたは正直な方ですね。ご褒美に私をあげましょう」
稟「…………………はい?」

女神は一旦泉の中に戻ると、しばらくして山のような荷物を背負いきこりの元に現れました。

稟「あ、あの〜。話の流れについていけないんですけど…。っていうかその荷物何?」
シア「あ、これ? 嫁入り道具っす! お父さんが持っていけって」

きこりが荷物を覗き込むと、金の斧銀の斧が可愛らしく見えるほどの財宝がぎっしりと詰まっていました。

シア「ふつつかものですが、よろしくお願いします」
稟「…えっ!? えっ!? えぇっ!?」

こうしてきこりと女神は末永く幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし。
554 名前:しゃっふる迷作劇場[sage] 投稿日:2006/07/02(日) 10:39:14 ID:aP7I7+Tm
その2

不思議な泉の噂をどこからか聞きつけたきこりの友人がお供を連れて現れました。

麻弓「…と、いうわけでここがその泉なのですよー」
樹「成る程。確かに極上の美女の匂いがするね。…それで麻弓、これからどうするんだい? 斧も何も持ってきてないみたいだけど…」
プリムラ「………押し込み強盗?」
麻弓「…リムちゃん、物騒な事言わないで…。ちゃんと考えてあるのですよ! 実はこの泉の女神は…」
樹「そうか! わかったよ、麻弓! 俺様たちを連れてきたということは、麻弓が自ら泉に飛び込むということだね!? まかせてくれ! 女神を騙してでも必ず『巨乳の麻弓』をこの世に生み出させてあげるよ!!」
麻弓「ろ〜りんぐ、そばっとーー!!」
樹「ぷげらっ!?」

きこりの友人の綺麗な回し蹴りにより、お供の男性は泉に落ちてしまいました。
しばらくすると水面が光り輝き、不機嫌そうな表情の泉の女神が現れました。

麻弓「げっ、しまった!? …こうなったらわざと間違えて緑葉君とは永遠にさよなら〜、ということで…。…うん、我ながらグッドアイデア! 災い転じて福となる、のですよ〜♪」
シア「(ぶつぶつ)せっかく稟くんといい所だったのに…。あなたが落としたのはとってもHな緑葉君ですか? それともナンパが大好きな緑葉君ですか? それとも普通(いつも)の緑葉君ですか?」
麻弓「えっ!? そ、それって三つとも大した違いないんじゃ…」
シア「はい、あなたは正直者ですね。そんなあなたには緑葉君をあげましょう。じゃ、そういうことで!(もの凄い早口)」
麻弓「えっ!? 早くない!? っていうかもういないし…」

きこりの友人が呆然としているうちに女神は姿を消し、その場に残ったのはきこりの友人と水を飲みすぎてどざえもんのようになったお供の男性の姿だけでした。

麻弓「うわ〜〜ん! わんすもあ! わんすもあぷり〜〜ず! シアちゃんかむば〜〜〜っく!!」
K察「ごほん!! ちょっといいかね?」

きこりの友人が声を掛けられ振り向くと、たくさんの制服を着た方々が彼女を取り囲んでいました。

K察「先程男性が女性に泉に突き落とされたと通報があってね。ちょっと話を聞かせてもらおうか?」
麻弓「あ、あれはそんなんじゃなくて…。っていうか通報って……そ、そういえばリムちゃんがいない!?」
K察「とりあえず署で詳しい話を聞こうか」
麻弓「ご、誤解なのですよ〜〜〜〜〜〜!!!」

きこりの友人は連れていかれてしまいました。そんな彼女を木の陰から見送る人物が一人。

????「…………激しく通報完了…」
555 名前:しゃっふる迷作劇場[sage] 投稿日:2006/07/02(日) 10:40:10 ID:aP7I7+Tm
その3

亜沙「…と、いうわけでここがその泉なのです!」
稟「…はあ、そうですか………って俺何でここに!? さっきまでシアと一緒にいたのに!?」
亜沙「細かいこと気にしちゃ駄目よ、稟ちゃん!」
楓「その1はなかったということで…」
稟「め、滅茶苦茶だ…」

嘆いているきこりを無視して、少女達はひそひそと話しこんでいました。

亜沙「(ひそひそ)いい、楓? せ〜のでやるんだよ?」
楓「(ひそひそ)で、でも…稟くんを突き飛ばすなんて、私…」
亜沙「(ひそひそ)もう! さっきも言ったでしょ!? 上手い事答えさえすれば稟ちゃんが三人に増えるんだよ? 稟ちゃん1号と2号が楓のもので、V3をボクが貰えば万事OKでしょ!? 二人の稟ちゃんに尽くしたくないの?」
楓「(ひそひそ)稟くんが二人…。二人の稟くんに尽くす…。わ、私、頑張ります!!!!」
亜沙「よし! じゃあいくわよ!」
二人「……せ〜の!!」
稟「うわぁっ!?」

少女達に突き飛ばされ、泉に落ちてしまうきこり。
しかしいくら待っても水面は光りません。

〜泉の中〜
シア「稟くん、お帰り〜〜〜!!」
稟「う、うわ。いきなり抱きついてくるなよ、シア」
シア「だって稟くん突然どこかに行っちゃうんだもん!」

泉の外では、何の反応も無いのに焦る少女が一人。

楓「あ、亜沙先輩!?」
亜沙「大丈夫! もしものために稟ちゃんの右足首に縄を付けて置いたから! …うんしょ! うんしょ! あ、足が出てきた! 楓、左足持って!!」
楓「は、はいぃ!」

〜泉の中〜
シア「わわ、稟くん!? うわ〜〜ん、駄目〜! 引っ張られる〜! キキョウちゃん、手伝って〜!!」
キキョウ「おっけー!!」
シア「私は右手持つからキキョウちゃんは左手持って!」
キキョウ「了〜解!」

こうして泉の中と外とで壮烈な綱引きが始まりました。両手足を四方向から引っ張られるきこり。それはまさしく古代の刑罰の一つ、車裂きによく似ていました。

稟「ぎゃあああ!! 痛い! 痛い! い゛だい゛〜〜〜〜〜!!!!」

苦しむきこりを見て、その手を離した者が真にきこりを愛するものなのです!

シア「こ、この手は……!!」
キキョウ「ぜ、絶対に……!!」
亜沙「離しは……!!」 
楓「しません……!!」

………ご愁傷様です。

稟「ぎゃああああああああああああ………!!」
556 名前:しゃっふる迷作劇場[sage] 投稿日:2006/07/02(日) 10:40:50 ID:aP7I7+Tm
その頃、とある場所では…

???「しくしく。ふえ〜ん、稟さま〜〜!」

とある少女が衆人環視の中、正座していました。
少女の額や背中、大きな胸には『私は前回一人だけ抜け駆けしました』や『裏切り者』や『あんたなんか死んじゃえばいいんだ』などと大きく書かれた紙切れが貼り付けられていました。

可愛い姪っ子ちゃん助けたいのは山々なんだけど、ごめんねぇ。娘達に強く言われてるから〜。
愛憎絡まる人間関係ってラブ♪ 

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