638 名前:しゃっふる迷作劇場[sage] 投稿日:2006/07/17(月) 19:33:57 ID:DiY4QxXl
ごめんなさい。PCが故障しかけててなかなか投下出来ませんでした。
今から投下します。

猿蟹合戦



あるところに、サルとカニが一緒にいました。

サル「この俺様が! 人界の美の申し子とまで呼ばれるこの俺様がよりにもよってサル!? 断固として配役替えを主張する!!」
カニ「…劇なんだから仕方ないだろ、あきらめろ。ところで美の申し子って自分で言ってて恥ずかしくないのか、お前?」
サル「全然! …大体サルなら俺様より君の方が適役だろう? 丁度いい具合に手足が妙に伸びてるんだし。…どうしたんだい、それ?」
カニ「うるさい黙れ聞くな。…おまえだってどざえもんになってただろーが」 

何故か満身創痍なサルとカニでしたが、お互いにそれ以上の詮索はしませんでした。
しばらくして、どこから見つけたのか、ハチやクリやウスをナンパし始めたサルをぼうっと眺めていたカニでしたが、おなかが減ったのか、懐からおむすびを取り出しました。

サル「…おや、どうしたんだい、それ?」
カニ「楓が昼飯に、って作ってくれたんだよ」
サル「…へぇ、楓ちゃんが…」

カニの持つおむすびがどうしても食べたくなったサルはぴきーんと目を光らせて言いました。

サル「一つ提案があるんだけど?」
カニ「…何だよ?」
サル「そのおむすびと俺様の持ってる柿の種を交換しないかい?」
カニ「お前アホか? 誰がそんなことするか」

半眼で告げるカニに、サルはやれやれと肩を竦ませて語り掛けました。

サル「分かってないね? 柿は土に蒔けばこの先ずっと実がなるんだよ? お得じゃないか!」
カニ「まあ、そりゃそうだけど…」
サル「それに、楓ちゃんやプリムラちゃんだって喜ぶよ? 女性は甘い物に目が無いものだからね。二人の喜ぶ顔、見たく無いかい?」
カニ「む…」
639 名前:しゃっふる迷作劇場[sage] 投稿日:2006/07/17(月) 19:35:11 ID:DiY4QxXl
カニは悩みに悩んだ結果、サルの提案を飲み、自分の持つおむすびとサルの持つ柿の種を交換することにしました。
サルは喜び、おむすびを大事に抱えて、大急ぎで山に帰っていきました。
カニは早速柿の種を一粒土に蒔いて水をやりました。

カニ「早く芽を出せ、柿の種。出さないとハサミでちょんぎるぞ〜」

カニはそう歌い、芽が出るのを待ちました。ですがどれだけ待っても芽は出ません。カニはおかしいなあと思ってまだ大量に残っていた柿の種を眺めました。そしてあることに気付きました。

カニ「……これ亀○の柿の種じゃん!? こんなもん蒔いて芽なんか出るわけねーだろ!?」

ツッコむカニはようやくサルに騙されたことに気付きました。
○田の柿の種から実がなるわけは無いので、サルは当然のことながら現れません。
orzなカニ。手元に残された大量の柿の種(植物に非ず)を恨めしげに見つめていましたが、そんなことをしても芽なんかでません。非常に重い溜息と共に立ち上がり、きぐるみを脱ぎ捨てよろよろと歩き始めました。

(元)カニ「楓になんて言えばいいんだ…。こんなベタベタなオチを…許してくれるのか?」

どちらかと言えば読者のみなさんが許してくれないような気がした(元)カニでしたが、呆然としながらも歩きつづけました。
どれだけ歩いたでしょうか? 喧騒の音にふと視線をあげた(元)カニは、すぐ近くで中年の男性二人が宴会をしていることに気付きました。

男性A「がっはっはっは! おらまー坊、もっと飲みやがれ!!」
男性B「勿論だよ、神ちゃん! …んぐっ! …んぐっ! …っぷはぁ〜〜!! さあ、次は神ちゃんだよ〜」
男性A「おお、どんどんこいや〜!!」
男性B「はっはっはっ! いい飲みっぷりだねぇ〜! ………おや、もうつまみが無くなってしまったみたいだ…」
640 名前:しゃっふる迷作劇場[sage] 投稿日:2006/07/17(月) 19:35:48 ID:DiY4QxXl
お酒のつまみが無くなり、急にしょんぼりしてしまう酔っ払い二人。(元)カニはそんな二人に溜息をつきながらも、自分の手にある物を差し出しました。

(元)カニ「柿の種で良ければどうぞ」
男性A「おお、悪ぃな! 遠慮なく頂くぜ! ………こ、これは!!!」
男性B「…パリッとした食感とピリリと広がる辛さとその後の僅かな甘味のコラボレーション!! 醤油の香ばしさがどこか素朴さを感じさせるよ!!」
男性A「ああ、酒、いやこれに最も合うのはビールか!? おお、ビールが進む進む!!」
男性B「……神ちゃん!? これを摘んでいた指が! 指がベタついて次々に引っ付いてくるよ! 正にやめられない止まらない!!」
男性A「何てこった!? こ、これはまさしく!」
男性A&B「うーまーいーぞーーーー!!!」

感激のあまり泣いているおっさん二人を完全に引いた目で見ていた(元)カニでしたが、まあ喜んでくれたのならいいかとその場を立ち去ろうとしました。

男性A「ちょっと、待ちな!!」
男性B「あんな素晴らしいものを頂いた以上、我々も何かお返ししないとね!」
(元)カニ「…いや、別にいいですよ」
男性B「そんなわけにはいかないよ! 恩には恩を返さないとね」
男性A「全くだ! …………よし! ウチの娘をやろう!!」
男性B「ウチの娘も受け取ってくれたまえ!!」
(元)カニ「はぁっ!?」

実は男性二人はそれぞれ世界の王様なのでした。王様の娘、つまりお姫様二人を貰った(元)カニは、二つの世界の王様となり、世界に君臨することになりましたとさ。めでたしめでたし。

わらしべ長者  〜完〜        
   
(元)カニ「物語変わってるし!? つーかわらしべ長者にしても展開早すぎるだろ!?」
641 名前:しゃっふる迷作劇場[sage] 投稿日:2006/07/17(月) 19:36:50 ID:DiY4QxXl
猿蟹合戦(裏)

カニからおむすびを騙し取ったサルは、カニが真実に気付かぬ間に全力疾走し、山を二つほど越えていました。

サル「カニよ、君はいい友人だったが君の幼馴染が(可愛すぎるのが)悪いのだよ!」

カニが聞いていれば『謀ったな、サル!!』とでも言ったのでしょうが、生憎周囲には誰もいません。
見渡しの良い丘の上で一息をついたサルは、うきうきしながらおむすびを食べる事にしました。

サル「ああっ! これが、これが楓ちゃんの柔らかな掌で愛情込めて作られたおむすび……!」 

愛情を込めて作られたものであるのは間違いないものの、その愛情の対象は明らかにサルではなくカニだったのですが、サルは気にしませんでした。

サル「いっただっきま〜〜……ああっ!?」

大口を開けておむすびにかぶりつこうとしたサルでしたが、運命の悪戯か、はたまたおむすびを作った少女の怒りか、突然の強風によりおむすびを落としてしまいました。
カニの襲来を予想して見渡しの良い丘に登ったのが裏目に出たようで、おむすびはどんどん転がっていきます。

サル「ああぁ〜〜〜〜!! 待ってくれ〜〜〜〜!!!」

素早く3秒ルールを脳裏に浮かべ、おむすびを追いつづけるサル。だが無情にもおむすびは転がりつづけ、地面に空いた穴に落ちていってしまいました。

サル「まだだ!! 土の付いた所を取ればまだ何とかなる!! 俺様の愛はこの程度で負けはしない!!」

かなり情けないことを叫びながらサルは頭から穴に飛び込みました。
深い穴を転がり落ち続けるサル。やがて灯りが見え始め、穴の底の広大な空洞に辿り付きました。
642 名前:しゃっふる迷作劇場[sage] 投稿日:2006/07/17(月) 19:37:27 ID:DiY4QxXl
空洞の天井から頭から落ち、意識が朦朧とするサル。
ふらつく頭をさすりながら前方を見ると、虎柄のビキニタイプの水着を着用している女性がサルに背を向けて立ち尽くしていました。
サルの嗅覚はその人物が極上の美女であることを嗅ぎ分けました。そうなるとサルのする事は一つです。

サル「お嬢さん、あなたのような美女とこのようなところでお会いできるなんて…。あのおむすびは御結びだったのですね!」
???「…ほぉ〜。先程のおむすびはお前の物だったのか」

ゆっくりと振り返る女性。白い肌に切れ長の瞳、小さな口、抜群のプロポーション、絶世の美女と言っても過言ではない容姿の女性でした。
ですがその美しい顔は大量の泥とごはん粒にまみれ、ほとんど見る影も無い状態でした。
どうやら先に落ちたおむすび(泥まみれ)は女性の顔面にクリーンヒットしたようです。

サル「うわっ!? 山姥!?」 

その言葉にゆら〜りと幽鬼の如く笑い、ゆっくりとサルに近づく女性。

サル「べ、紅、女史……?」
紅女史「……言い残す事はあるか、緑葉ァ?」
サル「違うんです! 不可抗力です! ついでに今は緑葉じゃなくてサルです!!」
紅女史「問答無用!!!!」

惨劇が始まりました。

紅女史「これがここで新たに会得した私の新技だ! 喰らえ緑葉、暗黒太極拳奥義! 嘆掌万葉拳!! …クッ! ガッツが足りんか!? ならば、一盃口(イーペーコー)!!!」
サル「ウボァーーーーー!!!!」

サルの血飛沫が壁に掛けられてあった掛け軸に付着しました。
その掛け軸にはこう書かれていました。
『虎だ! 虎になるんだ!!』


おむすびころりん  〜完〜

サル「こ、こっちも物語変わってるし…。…ぐふぅっ!!」
643 名前:しゃっふる迷作劇場[sage] 投稿日:2006/07/17(月) 19:40:41 ID:DiY4QxXl
以上です。
別に亀○製菓の回し者ではありません。でもわさび味もあるらしいです、アレ。
とりあえず559さんのリクエストには答えられた(期待に答えられたかどうかは別として)ものの、557さんのリクエストには答えられませんでした。
557さんごめんなさい。
カレハ&ツボミに関してはPS2版プレイしてから…と思っているので。
プリムラに関しては…まったくネタが思い浮かばないですorz

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