816 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2006/09/28(木) 18:49:13 ID:Z7/qS9BY
何だか寂れてるみたいなんで投下してみる。
>>795の続き?みたいなもんです。
今回はちゃんとタイトル入れるので、イタイのが苦手な人はあぼーんしてくださいね。
817 名前:バッドエンド 〜ネリネ〜[sage] 投稿日:2006/09/28(木) 18:50:04 ID:Z7/qS9BY
品のいい調度品や家具が幾つも並べられた広い部屋の中、豪華なベッドの上で一組の男女がその裸身を重ね合わせていた。
「……んっ……っ……ぅぅ……うっ……!」
真紅の瞳と長く尖った耳、華奢とも言えるほどに細い身体とそれに反して豊かな乳房を持つ魔族の少女、ネリネ。
すらりと通った鼻筋や大きな美しい瞳など世の男性の多くを魅了する美貌は苦しげに歪み、強張った手がシーツを握りしめていた。
「………………………………………………」
黒髪に黒い瞳、そして少年のしなやかさと青年の逞しさを併せ持った引き締まった体つきの人族の少年、土見稟。
絶世の美形というにはやや物足りないものの充分以上に整った顔立ちはうっすらと汗に濡れ、その前髪を額に張り付かせていた。
その光景は少し離れて見てみれば美男美女の恋人達の愛の営みだと思えたかもしれない。
だが、二人の表情は愛の営みと呼べるようなものには到底見えなかった。
歯を食いしばり、瞳を伏せて乾いた秘所を黙って突かれるネリネ。
全くの無表情のまま、ただ単調に腰を使ってネリネを突く稟。
(…早く…終わってください…)
痛みと嫌悪感に顔を顰め、心中で呟くネリネ。
自分にとって拷問のようなこの時間が一刻も早く過ぎ去る事だけを考えて、ネリネは過去を思い返していた。
幸せだった、二週間以上前のことを…。
818 名前:バッドエンド 〜ネリネ〜[sage] 投稿日:2006/09/28(木) 18:50:41 ID:Z7/qS9BY
二週間前、ネリネは幸せの絶頂からいきなり叩き落された。
相思相愛の恋人、土見稟を事故によって失ってしまったのだ。
道路に飛び出した子供を庇ってトラックに轢かれる、という彼を知る者からすれば実に“らしい”行為によって稟はこの世から去ってしまった。
稟の死を知ったネリネは、ひたすら自分を責め続けた。
実はその日は二人でデートすることになっていたのだが、当日になってネリネが体調を崩してしまった為にデートは中止となったのだった。
デートを楽しみにしていたネリネは無理を押してでも出かけようとしたのだが、ネリネの身を案じた稟によって優しく諌められて安静にしていることになった。
そして、甘えるようなネリネの要望を受けて果物を買いに稟は一人で出かけ、事故に遭い帰らぬ人となった。
その事実はネリネを完全に打ちのめした。
もし自分が体調を崩さなければ…
もし自分とデートの約束などしなければ…
もし自分がわがままを言わなければ…
もし自分と結ばれる事がなければ…
もし自分と出会うことがなければ…
病室で泣き崩れるシアや意識を失った楓、呆然としている樹などを見てそんなことまで考えてしまい、ネリネはふらふらと夢遊病患者のような足取りのまま病院を出ていた。
その後、気付けばネリネは“魔界”の自宅のベッドに寝かされていた。
病院を出たネリネは稟と初めて出会い、稟によって救われた思い出の公園へと辿りつき、そこで泣きじゃくって稟の後を追おうとしていたところを父である魔王フォーベシイによって救われたのだった。
そして人間界よりは魔界の方が稟との思い出は少ないだろうと判断したフォーベシイによってネリネは魔界に連れ帰られた。
父フォーベシイと母セージの献身的な看病により直接的に稟の後を追おうとすることはなくなったものの、ネリネはほとんど廃人のように毎日をベッドの上で過ごして、食事も睡眠も禄に取ろうとしなかった。
そうしてしばらくしたある日、沈痛な表情をしたフォーベシイがある人物を連れてネリネの部屋へとやってきた。
黒い髪と黒い瞳をしたどこにでもいそうな人族、だがネリネにとって誰よりも魅力的で大切なたった一人の少年。
土見稟の姿がそこにあった。
819 名前:バッドエンド 〜ネリネ〜[sage] 投稿日:2006/09/28(木) 18:51:19 ID:Z7/qS9BY
「…んっ……く……ぅぅっ……んぅ……」
相変わらず単調に自分の秘所を突いてくる男性から顔をそむけながらネリネはただ痛みを堪えていた。
(…これは、運命が私に与えた皮肉なんでしょうか…?)
視界に映ってしまった男性の姿にぼんやりとそう思ってしまうネリネ。
(…リコちゃんに、自分のクローンの命を奪って生きている私には稟さまのクローンがお似合いなのだということなのでしょうか?)
そう、今ネリネに圧し掛かりその秘所を突いている男性は土見稟のクローンだった。
食事も禄に取らず日々やせ細っていく娘をどうにか救いたいと思ったフォーベシイが稟の遺体から体組織を入手、そこから稟のクローン体を生み出したのだ。
だが不完全なクローニング技術とそれにより生まれた命を本物の稟と同じ年齢にまで魔法により無理矢理成長させる事は困難を極め、ほとんどが失敗に終わった。
そしてようやく完成したかに思えたそれには生命体としての最低限の本能だけしか持たず、自我というものが無かった。
稟のクローンを前に困惑するネリネにフォーベシイは硬い声で苦しげに告げた。
『確かに彼は稟ちゃんではないよ。けれど彼の身体は本物の稟ちゃんと同じなんだ。つまり彼と交われば土見稟の遺伝子を持った子を産むことができる。稟ちゃんが生きた証拠を、稟ちゃんとネリネちゃんが愛し合っていた証拠ができるよ…』
と。
その提案に追い詰められていたネリネは乗り、健康な身体を取り戻すために食事をきちんと取り、悪夢に魘されながらも眠るようになった。
そうして稟のクローンに抱かれる日々が始まったのであるが、それはネリネにとって果てしない苦痛を伴う行為であった。
かつて本物の稟に抱かれていた時、ネリネは世の中にこんな幸せがあったのだろうかと思えるほどの至福の時間と絶大な快感を味わえた。
愛する人の一挙一動に打ち震えるほどの喜びと果てしない愛を感じられた。
稟を愛し、稟に愛されるその時が無限に続いて欲しいと思えた。
だが稟のカタチをした人形に抱かれる事は、嘔吐してしまいそうなほどの嫌悪感と空しさしか感じられなかった。
恐らく他の男性に抱かれてもこれほどの苦痛を感じることはないのではないだろうかとさえ思える。
拷問のようなこの時間が一刻も早く終わる事だけを願い、ネリネはいつも思い出に逃避していた。
そして、近頃ネリネはある疑問をいつも脳裏に浮かばせてしまう。
820 名前:バッドエンド 〜ネリネ〜[sage] 投稿日:2006/09/28(木) 18:51:51 ID:Z7/qS9BY
それは、
『稟のクローンとの間に産まれた子供は本当に稟との子供といえるのか?』
ということである。
自分とリコリスは誰よりも近い存在ではあるが同じではなかった、とネリネは思う。
では稟の場合は…?
確かに遺伝子は全く同じである。リコリスと違って成長を促進されてはいるもののその他にいじられている所は全くない。 
おそらくフォーベシイも悩んだであろうその問いに答えることはいつもできずに交わりを終えてしまう。
「……………………………!!」
そうしている内にクローンは達したらしく、ネリネの最奥に精を吐き出した。
ネリネはのろのろとした動作で起き上がり、俯き黙ったまま自らの身体に飛び散った精液を拭き取った。
だが身体を拭き終えた後少しして堪えきれなくなったのか、肩を震わせ、嗚咽を漏らし始めた。
「……ぅぅ……ぅう……稟さま……稟さまぁぁ……う、ぁぁ……ぁぁぁ…ぁああ……」
声をあげて泣きじゃくるネリネを稟のクローンはただじっと見つめていた。
その硝子細工のような暗い瞳には何も、何も浮かんではいなかった。
821 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2006/09/28(木) 18:52:26 ID:Z7/qS9BY
以上です。
今回もやっぱりゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイ…
何だか後半はクローン云々で妙に重いテーマについて書いてしまった気がします。
最初はただ、
樹(偽の稟)に抱かれて感じる楓と
クローン(一応本物?)に抱かれて感じないネリネ、
という対比が上手く書ければいいなと思って書き始めただけなんだけど…。
やるなSHUFFLE!! こんな難しいことを考えさせるなんて。
もうなんつーか「震えるぞハンド!燃え尽きるぞブレイン!」ってな感じです。
しかもこれ全然エロくねー!!(致命的)
とりあえずこれ以上続きは書かないんで安心してください。
今度は純愛物書きたい…んだけど、ネタが浮かばねえ…orz

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