50 名前:44[sage] 投稿日:2006/11/20(月) 01:39:15 ID:05P+nPvl
ノリと勢いだけで書いたシリーズが今まで書いたものの中で一番反響が良くて正直複雑です。
まあそれは置いといて、以前から書いていたものが出来たので投下しようと思います。
注意として、まずかなり長いです。そして少しですが陵辱要素があります。(但し陵辱するのは稟)
どちらかが嫌な場合はスルーして下さい。
51 名前:わんわんりん[sage] 投稿日:2006/11/20(月) 01:40:47 ID:05P+nPvl
「もう、稟ったら甘いんだから。絶対逃がさないからね。森を歩いてぇ、湖で夕日見てぇ、ディナーを二人で食べてぇ、そ・れ・か・ら・きゃあん♪」
「稟さま、逃げて、逃げて下さいー!!」
「ラヴに境界ってないのよねー」
それらの台詞を背に受け、魔殿下フォーベシイの妹サイネリアの魔法により自らを女だと思い込んだ緑葉樹から逃げ回る事数時間、土見稟はどうにか貞操の危機を脱する事が出来た。
だがそこに至るまでには、言葉では表現できないほどの盛大で熾烈な戦いが存在した。
まともな思考状態ではないと言っても緑葉樹はバーベナ学園でもトップクラスの頭脳とずば抜けた運動神経を持った人物である。めまぐるしく頭を回転させ稟の先を読み、逃げ道を一つずつ潰しながら凄まじいスピードで稟を追い詰めてくるのである。
しかも恋する乙女特有の薄らと頬を染めた微笑みのままで。
ところが稟の方はというと生理的嫌悪感のあまりにパニックに陥ってしまい、角に差し掛かったら取り合えず曲がる、など禄に考えもせずに逃げてしまい、気付いた時には袋小路に追い詰められてしまっていた。
なおも抵抗を続ける稟であったが、舌なめずりをしながらじりじりと近づいてくる樹の姿にもうダメかと思ったその時、ようやく追いついたネリネによって樹に掛けられていた魔法が強制的に解除されたのだった。
半泣きになってネリネの胸に縋り付き、頭を撫でられていた稟とは裏腹に、どこかつまらなそうな表情を浮かべる麻弓とサイネリアの姿が印象的といえば印象的であった。
ちなみに、激しすぎる逃走劇により屋敷の調度品や美術品、綺麗なカーペットやカーテンなどがなぎ倒されたり汚されたりしてしまい、後にセージが泣く事になるのであるがそれはまた別のお話。
52 名前:わんわんりん[sage] 投稿日:2006/11/20(月) 01:41:42 ID:05P+nPvl
そうしてとりあえず一同は元いた部屋に戻り、一息つくことになった。
「…全く、洒落になってないですよ」
ブチブチ文句を言う稟。まあ無理も無いかもしれないが。
ちなみに樹は後ろのほうで一人黄昏ていた。自分を女だと思い込んでいた時の記憶は残っていないのだが、おおよその事情を説明されて凹んでいるようだ。
「も〜、稟ちゃんってばそんなに怒っちゃいや〜ん。ちょっとした若気の至りっていうやつじゃない。ほらほら、人間界の諺にもあるんでしょ? 『認めたくないものだな、若さゆえの過ちというやつは』ってさ〜」
「エゴだよっ!! それは!!」
「…土見くん、この場合はまず『そんな諺はありません』って突っ込むべきじゃないの?」
乾いた笑みを浮かべるリアに妙に芝居がかった感じで叫ぶ稟。麻弓の冷静なツッコミにも耳を貸さない辺り、その怒りの度合いが分かる。
「大体、リアさんは何の考えもなしに行動を起こしすぎなんですよ! 今回の事だって、フォーベシイさんとセージの事だって、バークさんのことだって!」
「え〜ん、麻弓ちゃ〜ん! 稟ちゃんが虐める〜!」
「…と、言われましてもですね〜」
「…ぜ、全部事実ですし…」
額にでっかい汗を浮かべる麻弓とネリネ。
「どうするんですか!? 最初に会ったときからちょっとヤバ目の人だと思ってたけど、アレ着てからのバークさんははっきり言ってラフレシアがビオ○ンテに超進化を遂げたようなものなんですよ!?」
「…バークさんは怪獣だったの…?」
「…ま、まあそれくらいのインパクトはありそうですけど…」
段々ヒートアップしていく稟にまたまた額にでっかい汗を浮かべる麻弓とネリネ。
黙って稟の説教を受け続けていたリアであったが(と言っても黙っていた時間は三分に満たなかったが)、徐々に眉をひくつかせ、額にバッテンを浮かばせて引き攣った笑みを浮かべ始めた。
そして、
「……ノイナャジンイメガシタワテシードニノナルトイタテッアリアリ……!!」
リアの呟きと共に放たれた魔法に稟の身体の動きが突然停止する。
「リ、リアさま!? 稟さまに何を!?」
慌てるネリネを手で制し、リアはふっとニヒルな笑みを浮かべる。
「大丈夫。別に危険な魔法じゃないから。…ただか弱い女の子を虐める稟ちゃんにはちょーっとお仕置きが必要かな〜って♪」
そこまで言った後に、稟が唐突にその場に四つんばいで座り込んだ。
そしておろおろと心配げなネリネと目を丸くする麻弓、意味深な笑みを浮かべるリアを見上げてにっこり笑って口を開き、
「……わん♪」 
とのたまった。
53 名前:わんわんりん[sage] 投稿日:2006/11/20(月) 01:42:35 ID:05P+nPvl
「…り、稟さま…!?」
呆然とするネリネを前に稟はその姿勢のまま僅かにお尻を振りながらにこにこ笑っている。
同じように呆然としていた麻弓が稟の尻尾を振るかのような様子にはっとなってリアの方に振り返る。
「リアさん、これってもしかしてさっきの…」
「ぴんぽーん、だいせいか〜い! さっきいっちゃんに使った呪文と同じ。稟ちゃんは今自分を犬だと思い込んでるってわ・け!」
ウインクするリア。
「いや〜、稟ちゃん犬みたいにうるさかったから本当に犬になってもらっちゃおうと思いまして…」
「そ、そんな!? 稟さま、すぐに元に戻しますから…!」
頭を掻きながら悪戯っぽい笑みを浮かべるリアにネリネが魔法を解こうと集中を始める。
だがすぐにリアによって引き止められた。
「さっきので力加減は分かったから今回はきっちり三時間くらいで元に戻ると思うわ。だからそれまでは犬の稟ちゃんを堪能しない? ほら、麻弓ちゃんなんかすでに稟ちゃんで遊んでるし」
「土見くん、お手! おかわり!」
「わんっ! わんっ!」
ネリネが振り向くと、稟に向かって掌を出して命令している麻弓と、その掌に嬉しそうに手を乗せている稟がいた。
「…へ〜、本当に犬になったみたいだね」
そんな声と共に樹が麻弓の隣に来ていた。どうやらようやく立ち直ったようだ。
興味深げに稟を見ていた樹だったが、ふと何かを思いついたらしくにやりと邪悪に笑うと掌を差し出した。
「じゃあ俺様も稟で遊ばせてもらうとするよ。…おい、稟、お手!」
「オラァッ!!!」
一瞬後、ズドンッと鈍い音を立てて樹の身体がくの字に折れ曲がる。
見ると稟の右拳が樹の腹部に突き刺さっていた。
「わお! 稟ちゃんすっごいボディブロー!」
崩れ落ちる樹の姿とそれを行った稟に喝采を送るリア。
「…っていうか今『オラァッ』って…。実は魔法効いてないんじゃ…」
「…い、いえ、確かに稟さまから魔力を感じられますから、効いてはいるはずなんですが…。…微妙に元の稟さまとしての意識も混じっているみたいですね…」
口元をひくつかせる麻弓とネリネ。二人の脳裏には、本当に稟と樹は友人なのだろうかという疑問が浮かんでいた。
稟は何事も無かったように再び座り込んでわんわん鳴いていた。
54 名前:わんわんりん[sage] 投稿日:2006/11/20(月) 01:43:20 ID:05P+nPvl
そうして困ったような表情でネリネが稟の様子を見ていると、稟がその視線に気付いたらしく四つんばいのままネリネの下にやってきた。
「…く〜ん…?」
首を傾げて鼻を鳴らしながらネリネを見つめる稟。普段の大人びた優しげな瞳は今はなく、無邪気なままのキラキラした瞳で真摯にネリネを見上げていた。某消費者金融のチワワもびっくりなその輝きに思わず三人は顔を赤らめて後ずさってしまった。
「…こ、これは、この瞳はちょっと反則なのでは……!」
「…そ、そうね。普段の稟ちゃんとのギャップが……!」
「…り、稟さまぁ〜! か、可愛いですぅ〜〜………!」
恐れおののく二人と完全に陥落して瞳をハートマークに変えている一人。ついでに床に倒れ込んで痙攣している一人。
ネリネはぽーっと頬を染めたまま膝を折り、稟と視線を合わせるとその頭を優しく撫で始めた。
嬉しそうにネリネに撫でられていた稟だったが、その内に我慢できなくなったのか、いきなりネリネを押し倒してその顔をぺろぺろ舐め始めた。
「きゃあん! やっ、り、稟さまぁ、ここじゃダメですぅ♪」
「わお! 稟ちゃんてばだいた〜ん! ラヴラヴ〜♪」
「やっぱり土見くんはリンちゃんが一番好きみたいね〜」
「ぐ、ぬうぅぅぅ、り、稟めぇえ、何て羨ましいことを…」
どさくさに紛れて大胆なことを口走るネリネとにやにや笑っているリアと麻弓、そしてどうにか復活した樹。
その後、なかなかネリネから離れようとしない稟を三人でなんとか引き離し、一同は再び稟で遊び始めた。
「土見くん、お手! おかわり! おまわり!」
「わん! わん! …な、何じゃこりゃあー!!」
麻弓の命令に忠実に従う稟。一度腹部にやった掌を呆然と見つめる仕種など偉大なる俳優の物真似も完璧だった。
「稟さま、お疲れでしょう? お水ですよ」
「わん♪ わん♪」
水の入った皿を差し出されると舌を出してぴちゃぴちゃ音を立てて飲み始める稟。そしてそれを見て再び顔を赤らめているネリネ。
「…稟、ちんちん!」
「……くぅ〜ん…?」
薄笑いを浮かべる樹の命令に首を傾げる稟。
だがしばらく思案した後、やおら起き上がり、ズボンのベルトをガチャガチャ外し始めた。
「ちょ、ちょっと、土見くん!?」
「り、稟ちゃん、ちょっと待った!」
「り、稟さま、ここじゃダメです!」
慌てふためきながら顔を両手で覆う麻弓とリア。だが指の隙間からしっかりと稟の姿が見えてしまっているのがお約束。
それとまたしても大胆な事を口走っているネリネ。
「稟ちゃん、伏せ!」
「わんっ!」
リアの命令に素直に床にうつ伏せに寝そべる稟。
そんな稟に満足げに頷き稟の頭を撫でようとしたリアだったが、ふとあることに気付いた。
稟は自分の足元で寝そべり、自分を見上げている。そして、自分の立ち位置は稟の頭部のすぐ近く。
つまり、稟にスカートの中が丸見えだということが…。
「………でぇい!!」
「ふぎゃん!!」 
気付けばリアは稟の顔面を思い切り踏みつけていた。
「きゃいん! きゃいん!」
「ご、ごめんね、稟ちゃん! つい条件反射で…。ほんとーにゴメン!!」
痛みにのたうち回る稟に流石に謝罪するリア。
だが稟は怯えた瞳でリアを一瞥すると、四つんばいのまま走って部屋を出て行ってしまった。
「稟さま!? 待ってください、稟さまぁ!!」
ネリネの静止も振り切って、あっという間にどこかに行ってしまう稟だった。
55 名前:わんわんりん[sage] 投稿日:2006/11/20(月) 01:44:02 ID:05P+nPvl
「……ふぅっ…。とってもいいお湯だったな〜♪ お部屋でワインでも飲んじゃおっかな♪」
機嫌が良いのか鼻歌交じりに屋敷の廊下を軽やかなステップで歩いている妙齢の女性。
風呂あがりなのか薄紫の長髪をしっとりと濡らし、豊満な肢体と端正な顔立ちを僅かに上気させているかなりの美女−魔殿下フォーベシイの婚約者であるアイは自分に宛がわれている客室へと向かう途中であった。
「…〜〜♪ …ってあれ?」
そんな時、アイは階段下のスペースの隅の方に青いジーンズらしきものが見え隠れしているのに気付いた。
近づいてみると、階段の隣に置かれてある置物の下に必死に潜り込もうとしている男性の姿だとわかった。
背中と後頭部しか見えないが、白い上着を着用した黒髪のその男性は、まだ出会ってそう時間は経ってはいないもののアイも良く知っている人物だった。
「…稟くん? そんなところでどうしたの?」
「…………きゅ〜ん?」
アイの呼びかけにゆっくりと振り返る稟。その瞳は怯えたように少しだけ濡れていた。
「……? どうしたの、稟くん?」
「く〜ん。く〜ん…。…わふん」
再度の呼びかけにも稟は哀しそうに鼻を鳴らすだけ。
どうしたのだろうと手を差し出したその時、アイは妙な違和感を感じた。
(…これは…魔力? どうして稟くんから魔力が…?)
初めて会ったとき以来、全く魔力を感じることのなかった稟から僅かながら魔力を感じることに、自身強力な魔力を持つアイは気付いた。
その事と共に言葉を発することなく四つん這いになっている稟の姿を見て、アイはおおよその見当をつけることができた。
(…稟くんにベタ惚れなリンさんのはずがないし、殿下かリアさまの悪戯…だよね、やっぱり…)
稟の様子からしてきっと幻術を使われ、自分自身を犬だと思い込まされているのだろう、と正確に推測して溜息をつくアイだった。
「…稟くん、治してあげるからおいで?」
「………?」
優しく微笑み手招きするアイに稟も警戒を解いたのか、素直にアイに近づいてくる。
稟に手をかざしたまま集中を始めたアイだったが、稟の無垢な瞳にしばし逡巡し、次いで照れたように笑う。
「ごめんね、稟くん。もうちょっと犬のままでいて欲しいな。私と一緒に遊ぼ?」
そう言ってアイは稟を連れて自室へと向かっていくのだった。
56 名前:わんわんりん[sage] 投稿日:2006/11/20(月) 01:44:39 ID:05P+nPvl
「あはは、稟くんえらいえらい。…もう一回行くよ?」
「わんっ♪ わんっ♪」
アイの投げたゴムボールを器用に咥えて戻ってくる稟。自室のベッドに腰掛けたアイも楽しそうに戻ってきた稟の頭を撫で、再びボールを部屋の隅に放りやる。
「…やっぱり稟くん、可愛い〜♪ 普段は格好いい系なのにね〜♪」
大喜びでボールを追いかける稟の姿を目を細めて見つめるアイ。
出会ってまだ十日ほどしか経っていないものの、アイは土見稟という人族の男性にどんどん心惹かれてきていた。
不思議な魅力を持つ少年だと思う。
整った顔立ちをしてはいるが、絶世の美形というほどではない。
同年代の男性に比べればかなり大人びた方であるだろうが、まだまだ子供っぽいところも多い。
友人である麻弓たちから伝え聞くところによると、学校の成績も褒められたものではないらしい。
だが−
鈍感そうに見えながら、時として驚くほど鋭く他人の痛みや苦しみを感じ取ることのできる人物なのだと思った。
そんな時、髪と同じ色の瞳は深く澄みきって相手を写し、その瞳でじっと見つめられると思わず吸い込まれそうな気持ちになってしまう。
そして、その身に纏う雰囲気はとても優しく穏やかで、側にいるだけでアイを落ち着かせ、心安らかにさせていた。
おそらく稟の恋人であるネリネも彼のそんな所に惹かれ魅せられたのだろう。自分と同じく想い人のいるセージやサイネリアですら多かれ少なかれ稟に惹かれている節があった。 
(…いけない、いけない。稟くんはいつか人間界に帰っちゃうんだし、そもそも稟くんにはリンさんがいるんだもんね…)
いつの間にか、稟とずっと一緒に居られたら…と考え始めていた自分に気付き、アイは慌てて頭を振ってそんな考えを振り切った。
「……きゅ〜ん?」
遠慮がちに掛けられた声に視線をあげると、ボールを咥えた稟がアイをじっと見上げていた。
「ご、ごめんね、ちょっとぼーっとしちゃって…。ボール持って来てくれたんだね。えらいえらい」
照れたように頬を掻きながら稟の頭を撫でるアイ。嬉しそうな稟の様子に自然と笑みが浮かび、再びボールを投げようと稟に掌を差し出した。
だが、稟が口から離したボールはアイの手に弾かれてしまい、そのままベッドの下に転がっていってしまった。
「あ!? 稟くん、いいよ。私が取るから」
ベッドの下に突撃しそうな稟をそう言って引き止め、アイは潜り込むかのように四つんばいになってベッドの下を覗き込んだ。
「…う〜んと。…あ、反対側に行っちゃったみたいだね〜」
きょろきょろと視線を左右させていると、ベッドの反対側、窓際にまで転がっていたボールを発見した。
しかし、アイは気付かなかった。
自分の体勢が四つんばいのままであり、稟はアイの後方に居た事を。
稟からすれば目の前でアイが四つんばいになってお尻を向け、それを振っているように見えていたことを。
そして、今現在稟はまともな思考状態ではないことを。
「……えっ!? り、稟くん!?」
背中に感じた重みと衝撃に、アイは驚愕して振り向き、稟に圧し掛かられたことに気付いた。
57 名前:わんわんりん[sage] 投稿日:2006/11/20(月) 01:45:25 ID:05P+nPvl
「ちょ、稟くん、何を…!?」
背中に圧し掛かっている稟に抗議の声をあげるアイ。
だが稟はそんなアイの抗議もまるで聞こえていないかのように荒い息をつきながら、アイの形良いヒップを撫でまわし始めた。
「…あっ! …だ、ダメっ! り、稟くん!? どうしちゃっ……!?」
そこまで言ったところでハッとなるアイ。
(も、もしかして稟くん、サカっちゃってる…!?)
まともな思考状態ではない稟の前に無防備な姿を見せてしまっていたことにようやく気付いたアイ。
だが時既に遅く、稟はアイのドレスのスカートをめくり上げ、ショーツ越しに秘部を弄くり始めていた。
「やっ! だ、ダメぇっ!! 稟くん、そこは………っ!!」
稟の指にぐにぐにと秘部を弄くられ、堪らず悲鳴を上げるアイ。
身体に力を込めて稟から離れようとするものの、圧し掛かられている上に成人男性の平均以上の筋力を持つ稟にアイが力比べで勝てるはずもなく、ただもがくことしか出来ず、とりあえずどうにかしてこの状況を打破しようと必死に考えを巡らせた。
(攻撃魔法で稟くんを吹き飛ば…。駄目、稟くん本人が悪い訳じゃないし…)
得意とする爆発系の魔法を思い浮かべるものの、手加減なしで魔法を放てばおそらく稟が消し炭になってしまう。
このような状況で上手く手加減できる自信はアイにはなかったし、そもそも稟を傷つけるようなことはしたくなかった。
(…やっぱり、稟くんに掛けられている幻術を解くしかない…んだけど…)
尻すぼみになってしまうアイ。稟に幻術を掛けたのはおそらくフォーベシイかサイネリアだと先ほどアイは推測していた。
それはつまり魔王ネレイデスの血を引く魔界最上位ランクの使い手であるその二人のどちらかの術を、このような状況で解除させなければいけないということに他ならなかった。
「け、けど、やるしか…! ………ひゃあん!?」
意を決し、集中を始めたアイだったが、すぐに中断させられてしまった。
圧し掛かっていた稟がショーツをずらして直接アイの秘部に指をねじ込むのと同時に、長く尖った耳を甘噛みしてきたからである。
「…ひんっ!? ひゃっ! やっ! あっ!」
くすぐったさに似た感覚が耳から背筋にぞくぞくと伝わり、身体を震わせるアイ。そして秘部に感じる稟の指の巧みな動きによって今まで感じたことのない未知の感覚が襲いかかってきていた。
(り、稟くん、何でこんなにテクニシャンなの!?)
大胆な、だがアイに痛みを感じさせない程に慎重な稟の責めはアイの身体から瞬く間に強張りを解いていき、抵抗する気力すらも徐々に奪っていった。
58 名前:わんわんりん[sage] 投稿日:2006/11/20(月) 01:46:09 ID:05P+nPvl
「…は、あぁっ! あんんっっ! やぁっ! ああんっ! ああぁぁ………っ!!」
最も敏感な突起を剥き出しにされて刺激されつつ膣口に指を突き入れられ、甘い声で鳴き続けるアイ。
十分近く続いた稟の責めによって、アイの秘所は膣奥から湧き出した愛液によってびしょびしょになっており、稟の指の動きを滑らかにさせていた。
(…ダメ。気持ち、いい……。頭が、頭の中がぐちゃぐちゃになって……)
強烈な快楽に思考に霞がかってきてしまい、とろんとした瞳で虚空を見上げるアイ。アイの身体からは既に力が抜けきっており、肘でなんとか上半身を支えており、さらには無意識に腰を蠢かせ、稟の責めを待ちわびてさえいた。
そうして、ぼんやりとした思考の中稟の愛撫を受け続けていたアイだったが、ふと愛撫の手が止んだことに気付き、稟を振り返った。
そこには、ハアハアと荒い息をついている稟がズボンを下ろし、破裂しそうなほどに膨れ上がった自分の肉茎をさらけ出している姿があった。
「…!? り、稟くん、これ以上はダメ!! 本当にダメ!!」
流石に真っ青になって懇願するアイ。確かに稟になら奪われてもいいかも、と思ったことはあったが、それはあくまで稟が正常な状態であればの話である。
本能的な恐怖から理性を呼び戻す事の出来たアイは、力の抜けきった身体を引きずるようにして稟から離れようとする。
だが次の瞬間、ピクリとその耳を動かすとアイの身体は動きを止めてしまった。
「………ィ…さ………ァ……ん…………アイ……さん………………」
「…稟くん、元に戻ったの…?」
稟の口から微かに聞こえる自分の名に、アイは稟を振り返る。
だが荒い息をつきながら未だに魔力を発散させている稟の様子に、元に戻ったわけではないことを知らされた。
しかし、完璧に欲情に染まりきっていた稟の瞳に、僅かながら違ったものが含まれてきていたことにも気付いたアイ。
稟のその瞳はどこかで見たことがあった。
暖かく、力強い、そしてどこまでも優しい澄んだ瞳。
(稟くんのこの瞳…リンさんに…)
そう、それは稟が普段ネリネに対して向けている瞳だったのだ。
うわ言のようにアイの名を呼びながら、愛する人への視線を向ける稟。
そんな稟にアイは心の中にじんわりと暖かいものが広がっていくのを感じた。
「…稟くん……。………うん………いい、よ……?」
気付けばアイはそう言って稟から離れようとするのを止めていた。
稟が心からネリネを愛しているのは初めて会った時からすぐに分かった。
そこに割り込む隙などどこにもないことも知っていた。
だが、心の片隅にだけだとしても、稟の心に自分が存在していたのだ。稟が自分のことを想っていてくれたのだ。
そのことがアイにとって例えようもないほどに嬉しかった。
くちゅり、と水音をたてて稟のモノの先端がアイの秘所に触れる。
これから訪れるであろう痛みを思い、恐怖に身体を震わせながらもアイは瞳を引き瞑ってその瞬間を待った。
稟の方もアイのそんな覚悟をどこかで感じ取ったのか、真剣な表情でアイの腰を掴むと一気に自分のモノを誰にも許した事のないアイの秘所へ突き入れた。
59 名前:わんわんりん[sage] 投稿日:2006/11/20(月) 01:46:45 ID:05P+nPvl
「…ううっ! …ぅんん! …ぁうっ! く、うぅぅっ!!」
歯を食いしばり、襲いくる痛みに耐えつづけるアイ。その秘所からは破瓜の血が太ももを伝い床へと流れていた。
青い顔で涙を浮かべ、背後から稟に突かれるアイであったが、挿入されてから一度も稟に静止を呼びかける声や痛みを口にすることは無かった。
なぜなら、
「…アイさん……アイさん……アイさん……!」
アイに覆い被さるようにして耳元で自分の名を囁き続ける稟の声に、その吐息に、背中に感じる温もりに、心が満たされていたからだった。
「…ぅんっ! 稟、くんっ! 稟くぅん!」
稟の声に呼応するように稟の名を呼びつづけるアイ。そうすることで僅かでも痛みを忘れる事ができる気がしたからだ。
「ぅあんっ!? あ、はっ! り、稟くん!? や、ああっ! ああんっ!」
不意にアイの声に甘いものが混じり始めた。 
稟に突かれるたびに重たげに揺れていたアイの豊満な乳房。それを稟は片手で搾るようにして揉み、同時にアイの耳を甘噛みしはじめたからだ。
(な、何!? 何だか、痛みが和らいできてる!?)
敏感になった乳首を抓るようにして搾られ、耳の裏側を舐められ、急速に快感を増幅させられていくアイの身体。
秘所の方も稟はアイが痛みを感じない箇所を探していたようで、アイが最も感じる場所を探し当てるとそこを重点的に優しく突き始めていた。
「あっ、あっ、あんっ、あんんっ!! り、稟くん、すご……ああんっ!」
巧みな稟の愛撫と動きにアイの心と身体は瞬く間に快楽に支配され始め、アイの秘所はとめどなく愛液を噴出させて破瓜の血と交じり合って稟のモノの動きをどんどん滑らかにさせ、アイの思考は真っ白になってきていた。
(何、この感覚!? 真っ白になっちゃいそうな…。……怖い、怖いよ! …稟くん! 稟くん!)
初めて感じる絶頂への予感と未知の感覚に恐怖を覚えるアイ。
だが、乳房を揉んでいた稟の手がアイの秘所、アイの敏感な突起を指の腹で潰すようにして摘み始めると恐怖すら快感に押し流されたかのように甲高い悲鳴をあげてしまい、その身を仰け反らせる。
「…あはぁ! あん、んぅ! ああっ! やっ! もう、ダメ! もうダメ! 変になっちゃうよ……っ!!」
快感に涙を流し、稟に向かって嘆願するアイ。
稟の方も限界が近いのか、腰の動きを早め、アイをがむしゃらに突き出す。
その猛烈なラストスパートにアイは床に上半身をへたり込ませ、泣き叫ぶ。
「ああっ! ああっ! ああっ!! あ、あ、ああああああああああ…………っ!!!」
その瞬間、強烈に収縮したアイの膣に稟も限界だったらしく、アイの最奥に大量の精を解き放った。
自らの胎内に入ってくる稟の精を感じながら余韻に浸るアイだったが、ふとどさっという音と共にその身体が軽くなったのを感じた。
隣を見ると稟が倒れ込んでいた。
アイは力の抜けきった身体に鞭を打ち、慌てて稟をベッドに引き上げてその様子を伺う。
どうやら稟は意識を失っているだけのようだった。
「…ふう、良かった…。………稟くん…」
一安心したアイは優しく微笑んで稟の前髪を撫で、そっと稟の唇に自らの唇を重ねた。
60 名前:わんわんりん[sage] 投稿日:2006/11/20(月) 01:47:35 ID:05P+nPvl
「………うぅ……! こ、ここは……?」
「あ、稟くん目が覚めたの?」
しばらくして、呻き声をあげながら稟は目を覚ました。
稟が周囲を伺うと、アイがベッドの脇に立って自分を心配そうに見つめていた。
「アイさん…? ここは…アイさんの部屋…? あれ、俺は一体…?」
混乱したように首を捻る稟。ネリネや麻弓、サイネリア、樹と一緒にいた筈が、何故か気付けばアイの部屋のベッドに寝かされていたのだから無理も無いかもしれないが。
(やっぱり稟くん、覚えていないんだ)
少しだけ哀しくなるアイ。
幻術というのはそういうものだと知っているし、自分も稟も普段どおりの格好で、部屋の換気もして床に付着した破瓜の血も綺麗にぬぎとってあるため仕方無いとしてもやはり心の奥底では寂しい気持ちが生まれてしまう。
「アイさん…? 何かあったんですか?」
「う、ううん! 別に何でもないよ!?」
だが稟はそんなアイの気持ちを敏感に感じ取ったのか、心配げな瞳でアイの顔を覗き込んできた。
するとアイは稟の視線を避けるように首と両手をぶんぶん振って否定する。
正直このまま稟の瞳に見つめられ続ければ全てを吐露してしまいそうな気がしたからだ。
「そう…ですか…? ………ん〜〜」
「どうしたの?」
「いえ、……おぼろげなんですけど、何だかとんでもない事があったような気がして…。何だろう? 何か…あったような気が…」
首を捻って必死に自らの記憶を呼び覚まそうとする稟に、アイは微笑みながら稟の唇に人差し指を当てて稟の台詞を中断させた。
「…何も、……何も無かったよ、稟くん。…きっと夢を見てたんだよ…」
(そう…夢を見てたんだよ。………稟くんも、…私も…)
全てを話せば恐らく稟は責任を感じてどんな事でもするだろう。
元の世界、元居た場所に帰らずにずっとここに居て欲しいと言えばそうしただろう。
だが、アイには出来なかった。
稟の隣に居るべきなのはネリネだろうし、稟の居るべき場所もここではない。それに、元の世界に稟を必要とする人がたくさんいる。
そんな気がしたからだ。
「そ、そうなんでしょうか…?」
相変わらず首を捻りつづける稟にそうだよ、と笑いかけるアイ。
「ところで稟くん。私、お風呂に入ろうかと思うんだけど…」
「…? はあ……」
アイの言葉にきょとんとする稟。
そんな稟に先ほどの鋭さは何だったのかとアイは溜息をつき、悪戯っぽく笑いかけた。
「ここにいるってことは、稟くんも一緒に入りたいのかな?」
「…!? し、失礼しましたー!!」
顔を赤くして、慌てて部屋を出て行く稟をアイは可笑しそうに、そして切なそうに見つめていた。


そして数日後…

バルコニーから見下ろした屋敷の庭から稟達の姿が消え行くのを見やり、アイは一人呟いた。
「………ありがとう、稟くん。……さよなら……」
見えなくなった稟へ語りかけるアイ。
その頬に一筋、涙が流れていた。
61 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2006/11/20(月) 01:49:44 ID:05P+nPvl
以上です。
長すぎる…。よく考えれば二回に分けて投下すれば良かった…orz
前半に比べて後半短っ!? しかも前半の馬鹿なノリは消えてるしorz
今回のテーマは“稟、浮気をしないでアイとH”なんですが…否定意見多いんじゃないかな〜とか思ってます。
当初は稟に記憶が残っていてアイに責任とってね♪と言われて人間界にアイを連れ帰る、という風に考えていたんですが、書いてるうちに何故かこうなってしまいました。
SHUFFLEという作品全体の世界観で言えば絶対に上記の展開の方が良いのは分かってるんですが、このSS単品で考えるとこの展開の方が切ない感じが出てアイの魅力が伝わるかな、と思った次第です。
魔界(一夫一婦制)で生まれ育ったアイではやはりシアやカレハのようにすぐに一夫多妻の考えが(常識的に)出ることはないんじゃないかと。
それが出来るならフォーベシイの時にもそう言ってそうだし…。
まあ今回は自分でも改めて色々考えさせられる作品でした。

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