270 名前:ぽんちょ[sage] 投稿日:2006/12/26(火) 20:37:20 ID:DHdE0Raf
はい、と言うわけで2部形式でお送りいたします。
前編が出来上がりましたので、投下します。
ここで、いくつか注意点と言うか。

1.作者は新米であるということ
2.2ちゃんねるにもあまり慣れていないということ
3.物語趣向のため、前編は非エロ

などを考慮してくださいね。
あなたの感想が、SS作家を育てます!それでは。
271 名前:稟×麻弓[sage] 投稿日:2006/12/26(火) 20:40:24 ID:DHdE0Raf
「あのぉ、稟くん…私のお願いを聞いて欲しいのですよ〜」
年の瀬も近づいたある日、わが恋人である麻弓=タイムが言った。
「なんだ?」
「そのぉ…」
なんとも煮え切らない。何か言いにくいことなのか?
「麻弓?」
顔を覗き込む。と同時に、麻弓が顔を上げ、こちらを向く。
しかも、おねだりの定石である『上目遣い&うるうる』をばっちり装備。

「ど、どうした」
「あのですねぇー」
そして、麻弓は意を決したように言い放った。


「お風呂掃除を手伝って欲しいのですよ!」



=====大掃除をしよう!Ver.麻弓=====
            Written by ぽんちょ



「…風呂掃除?」
「そうなのですよ。お店のお風呂掃除!」
お店の、というのは麻弓の家が風呂屋故の発言だ。そういえば、麻弓と付き合い始めて結構経つが、いまだ一回も風呂屋のほうには行ってみたことがない。
「大掃除か?」
「うん。毎年そうなんだけど、私一人でしなきゃいけないのよねー」
「え、両親は?」
272 名前:稟×麻弓[sage] 投稿日:2006/12/26(火) 20:41:06 ID:DHdE0Raf
「『いつも手伝わないんだから、年末ぐらいはやりなさい!』、だってさ。それに、お父さんとお母さんは、年末年始魔界に帰っちゃうからいないのですよ」
「へぇ。じゃぁ、今家で一人なのか」
「そうなのですよー。もう寂しくて死にそうなのですよ…」
どうりで毎年この時期になると麻弓からお誘いがくるわけだ。とりわけ今年は、付き合ってるってせいもあって、連続デート記録を更新中である。ちなみに、今日は三日目だ。
「と、いうわけでぇ、稟くんが来てくれると心身ともに落ち着くし嬉しいのですがぁ…。やっぱり駄目?」
と、つぶらな瞳でこちらを見上げてくる。おまけに腕には、『ナイチチ押し当て』が敢行されている。
これは麻弓の必殺技(本人談)だそうで、かかったものは必ず落ちる!…のだそう。
『この微妙さ加減がいいのですよ!』と言いつつ密かに落ち込んでいる麻弓を、かわいいなぁと思った覚えのある稟だった。
(って、そうじゃなくて!)
そんな麻弓をこの場で抱きしめたい衝動をどうにか押さえ、平静を装いつつ本題に戻る。答えは、もちろん一つしかない。
「いや、いいぞ」
「え!いいの?!」
「あぁ、ちょうど体を動かしたいと思ってたところだし」
「やったー!ありがとうなのですよ、稟くん!」
そういって、腕に飛びついてきた。
「あ、でもよかったの?年末だけど」
「…麻弓よ。俺の居候先を忘れたか?」
「あ〜、あの楓と、その弟子のリムちゃんがいるもんねー」
「そう。よって、俺は究極の暇人なんだ」
実を言うとつい昨日、楓とプリムラが大掃除をしていたので、手伝うことはないかと一応は聞いたのだが、
『稟くんはいいですよ。私たちでやりますから』
『そーそー。お兄ちゃんは座ってて!』
と、予想通り即刻却下されてしまった。
最近は、プリムラが楓師匠指導の下、どんどん成長している。
そのこと自体は全然構わないどころか兄として嬉しい限りなのだが、
同時に楓が二人になりつつあることで、俺が家事に参加できる機会が加速度的に減少している。
まぁ、もとからほとんど参加させてくれてなかったけどさ、楓さんは。
273 名前:稟×麻弓[sage] 投稿日:2006/12/26(火) 20:41:46 ID:DHdE0Raf
おかげで俺は、ソファの上で干からびていることが多い。悲しい限りだ…。
「なんか、かわいそう…」
「だから、喜んで手伝うよ」
「やった!これで一気に楽になるのですよー」
「そうと決まれば、さっさと行こうぜ。寒いし、早く体を動かしたい」
「れっつごー、なのですよ!」



「というわけで、麻弓の家に到着して今に至るわけだが…」
一度、深呼吸をしたほうがいいな。

すぅーーーー…


「でか過ぎだーーっ!!」


思いっきり叫んだ。すっきりするな、これは。
だーっだーっ…とエコーが飛び交う。それぐらい広い、風呂場。
「稟くん、一体何を叫んでるのですかー?!」
と、隣の女性用大浴場から、これまたエコーが美しくかかった麻弓の声が返ってくる。
「磨いても磨いても…終わらんぞ」
迂闊だった…。てっきり俺は街にある小さい風呂屋かと思っていたんだが。
はぁ、と小さく溜息をついて、またゴシゴシと床を磨き始める。
「風呂屋って…たい……へん!…だな!!」
俺たちは、二つある浴場を分担して掃除することにした。一緒にやるってのも魅力的だったんだが、そのほうが効率がいいだろう、と麻弓の意見からだ。
それで、男性用大浴場を慣れない手つきでやっているわけだが、いかんせん広すぎる。
15分ほど通しで頑張っているが、まだ半分…。
そして早くも、腰が痛くなってきた。情けないが、そろそろ限界が近い。
「…ったぁ!休憩っっ!!」
そういって、ブラシを投げ捨て浴槽の縁に座る。
現在腰が痛い俺にとっては少し低い。でも、寝転がると体がぬれてしまうので、仕方がない。
隣からは、絶えず床を磨く音が聞こえている。
274 名前:稟×麻弓[sage] 投稿日:2006/12/26(火) 20:42:22 ID:DHdE0Raf
「タフだなぁ…。」
あいつは毎年これを一人でやってるんだよな…。
「っていうかヘタレすぎだろ、俺!」
楓に頼りすぎだなぁ。…よし、これからは何とか楓に頼み込んで、何でもいいから何かしようじゃないか。男たるもの、家事の一つや二つできないでどうする!
では、楓説得脳内シュミレーションをしてみよう。
…………
………
……

「無理だな」
開始わずか10秒で結論に達した。楓さんから家事の分担を貰うなんて、天地がひっくり返ってもありえないな。
「…稟くん、さぼってもらっちゃ困るのですよー」
浴場の入り口に、ジト目で睨んでくる麻弓を発見。
「あ、あぁ。悪い」
慌ててブラシを手に取り、掃除を再開する。
と、麻弓がこちらに歩いてきた。
「もう終わったのか?」
「うん。慣れたものですよー」
「めちゃくちゃ早いな」
心底感心する。このデカイ風呂場をものの15分程度で掃除してしまうとは。
「どこまでやった?」
麻弓があたりを見回しながら言った。
「半分ぐらいだけど?」
「へぇ。まぁ、合格ラインかなー」
「まぁ、すぐ終わらすさ」
俺はそう言って、磨く速度を速めた。

つづく…。
275 名前:ぽんちょ[sage] 投稿日:2006/12/26(火) 20:43:40 ID:DHdE0Raf
以上ですー。

また近々後編うpします。
批評酷評なんでもござれ!

では。

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