あたしがあたしとして存在する事が出来る様になって、もう3ヶ月以上過ぎた。
事実上姉のシアとしか接点がなかったあたしの人生は、いきなりいろんな存在と接する事になった。シアの中から意識から夢の様に見ていた世界と、今この瞬間にも接している。
今、あたしは冬の寒空の下で散歩をしている。自分の意志で自分のやりたい事が出来る様になってからある程度経った今でも、こうして暢気な散歩をする事が好き。
のんびりとただ歩き回るだけなのに、何故かうきうきしてくる。
今日はどこへ行こうかなーと考えていると、後ろから良く知った声が聞こえてきた。
「なんか嬉しそうだな、キキョウ。買い物か?」
「あ、稟じゃない。ううん、ただの散歩。特に予定がないから外に出ただけ。」
「それにしてはずいぶん嬉しそうじゃ無いか。何かあったのか?」
「禀に会えた事。禀はどうしたの?」
「俺も特に予定はない。何となく外に出ただけだ。そう言えばお前は向こうにまだ帰れないんだったな。」
「うん、仕方無いよ。でもあんまり気にしてないし。留守番もなかなか楽しいよ。まあお父さんがアレだから・・・静かなのもたまには、ね。」
説明遅れたけど、シアやお父さん(泣きつかれたのでそう呼ぶ事になった、でもやっぱりまだ面と向かってお父さんって言うのはちょっと恥ずかしい)お母さん達は年末からお正月にかけては神界の行事で向こうに戻っている。
まだあたしは公的な地位を手に入れていないから神界の混乱を避けるべく、神界では表立って行動は出来ない。そのことでお父さんが号泣して土下座までするから逆にあたしはどうすれば良いのか困っちゃった。
結局シアとサイネリアお母さんの椅子アタックで気絶させて連行されて行った。その現場に禀も居たから苦笑するのは仕方ないよね。