- 469 名前:大惨事超漢大戦α[sage] 投稿日:2007/01/12(金) 12:53:10 ID:cJBMQPkK
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「………よく集まってくれた、同志達よ」
暗闇の中、一人の男の声が低く重く響く。
「…全くダ。まさかこのような時に我ラを呼びつけルとは…」
聞き取りにくい発音の別の声が応える。
「まあいいじゃないですか。僕達を呼びつけるなんてそれ相応の理由があるんでしょうし。ねえ? でないととんでもないことになりますし…」
「当然や! 生半可な理由やと許さへんで!?」
「…ふん。どうでもいい。用件は何だ? 俺はさっさと帰りたいんだ!」
丁寧な口調だが甲高い声がしたかと思えば関西弁が続き、最後にイライラした様子の声が闇より生み出された。
「ふふ、私たちが集まる理由など一つしかないのではないか…?」
最初の声の持ち主が低く笑い、指を鳴らす。
すると闇の中に一つの映像が浮かび上がる。
「…!? こ、これハ…!?」
「…なるほど」
「…確かにこの話やったら…」
「…俺たちを呼びつけたのも納得できる…!」
その場の全員がその映像に見入り、それぞれ納得したように頷いたり溜息を漏らす。
映像に映し出されていたのは一人の少女であった。
風にたなびく長い青髪を手で押さえ、深紅の瞳を細めて優しく微笑み、遠くの方に手を振っていた。
「…そう。わざわざこうして集まってもらったのは他でもない! 我らリンちゃん突撃護衛隊らんらんリンちゃん、通称『RRR』に重大情報が持ち込まれたためだ!!」
「「「「な、何とぉぉぉ!!!!」」」」
- 470 名前:大惨事超漢大戦α[sage] 投稿日:2007/01/12(金) 12:54:06 ID:cJBMQPkK
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明かりが点けられてカーテンが開かれると、そこは視聴覚室だった。
先ほどの映像はスクリーンに映し出されていた動画のようだった。
「しかし、『レッド』。この映像はかなりの値打ち物やな」
「ふふ、そうだろうそうだろう。入手するのはとても困難だったからな。………くそ、タイムのやつめ、ぼったくりやがって。今月の小遣い全部飛んじまった…」
関西弁の男に『レッド』と呼ばれた最初の男は満足げに笑っていたが、ふと遠い目をしてそう呟く。
「確かに…素晴らしいですね。このネリネさまの微笑みだけで僕は、僕はもう……!!」
「全くや。どんぶりめし三杯はいけるな!」
「ふん、その程度か。俺なら軽く五杯はいけるぜ?」
「なんやとー!!」
「よせ、『グリーン』! 『ブラック』も煽るな! それと『ホワイト』も現実に帰って来い!」
妄想に浸っていた『ホワイト』、一触即発状態であった関西弁の男『グリーン』とイライラしている男『ブラック』を一喝する『レッド』。
「す、すいません。ネリネさまのことを考えるとつい…」
「そうやな。熱くなって悪かった。…ところで『ホワイト』、お前まだネリネさま言うてるんか?」
「当然じゃないですか! ネリネさまは魔王フォーベシイさまのご息女、僕のような平民魔族にとっては雲の上の御方なんですよ!? 皆さんのようにリンちゃんなんて軽々しく呼ぶことなんて出来ませんよ。…第一年下ですし、僕」
そういってジト目で他の人物を見渡す『ホワイト』。その耳は長く伸びていて彼が魔族であることを示していた。
「ふ。俺は直接リンと呼んでくださいと言われたからな…」
「くっ! ちょっと同じクラスやからって調子に乗りやがって…!」
自慢気に話す『ブラック』に歯噛みする『グリーン』。
「どうした『イエロー』? 普段饒舌なお前がずっと黙って…。それとその変な発音は何だ?」
『レッド』が先ほどから黙っていた男、『イエロー』に声を掛ける。
声を掛けられた『イエロー』は躊躇いがちに口を開いた。
「さっキ食堂でカレー食ったラ舌をやけどしてしまっタ…」
「そ、そうか…」
「所デ『レッド』。その重大情報とやらは何なのダ? 我ラには時間が無いのダぞ?」
『イエロー』の言葉にはっとなる一同。
「そ、そうや! 授業抜け出してきたことすっかり忘れてたわ! さっさと教えてくれ!」
「そうです! 僕なんか体育の授業抜け出してきたから短パン姿で凄く寒いんですよ!?」
「お前らまだマシだ! 俺なんて紅女史の授業抜けてきてるんだぞ!? あ゛あ゛、一体どんな折檻受けさせられるか……!」
「それデさっきからイライラしてたのカ、お前…」
- 471 名前:大惨事超漢大戦α[sage] 投稿日:2007/01/12(金) 12:55:20 ID:cJBMQPkK
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「……それなんだが……ックゥゥ…!!」
顔の前で手を組む、いわゆる『ゲンドウポーズ』を取っていた『レッド』の表情が突如苦悶に歪む。
「ど、どうしたんや『レッド』!」
「一体何があったんですか?」
『グリーン』と『ホワイト』が慌てて立ち上がろうとするものの、『レッド』はそれを手で制止し、
「…………………リ、リンちゃんが、リンちゃんが!! 私たちのリンちゃんが……、昨日、土見の野郎と、…『アリジゴク』に入っていったらしい……っ!!」
「ナっ…!? 『アリジゴク』だト!? …あの、……あの、『アリジゴク』なのカ!? 何かの間違いでハないのカ!?」
「そ、そんなっ!? 嘘だっ! 嘘だと言ってよ、バーニィ!!」
『ホワイト』と『イエロー』の悲痛な叫びにも『レッド』は無情にも首を降る。
「緑葉…いや、『グリーンリーフウッド』からの情報だ。……間違いは……ない……」
「そ、そんな、嘘やろ!? 嘘やって言うてくれ、『レッド』!」
「真実なのだ、これは!! 確かにリンちゃんは土見稟と一緒に『アリジゴク』に、…ラブホテル『アリジゴク』に入っていったのだ!!」
『レッド』の断末魔に似た叫びに周囲は静まり返る。
「……………………土見、殺す」
しばしの沈黙の後、『ブラック』がそう呟いて静かに立ち上がる。
その瞳に未来は映ることなく、狂気だけが浮かんでいた。
「『ブラック』。一人では行かさへんで…。俺も行く」
「僕も行きます」
『グリーン』と『ホワイト』も続く。
だがそんな三人を『レッド』は引き止めた。
「待て、お前達。……話はこれで終わらん」
「これ以上聞くことなんてありませんよ」
「俺たちの行動を止める事など出来ん!!」
「そもそも『レッド』、お前は悔しくないんか!? それでも『RRR』のメンバーか!?」
「待テ、お前たチ! 『レッド』をよく見てみろ!」
激昂しかける三人だったが、『イエロー』の言葉に訝しげな表情をし、一瞬の後に愕然とした。
『ゲンドウポーズ』をとる『レッド』の机に血溜まりが出来ていた。
組んだ指先に異様なまでの力が篭もって、手の甲の皮膚を食い破っていたのだ。
「悔しイのは『レッド』も同ジ。そうイうことダ」
『イエロー』の言葉に三人は顔を見合わせ、再び席についた。
「ふ、すまんな、『イエロー』。だが安心しろ、三人とも。私はお前達を止めるつもりなどさらさら無い。…むしろお前達の憎悪を増幅させてやる」
「…? どういうことだ?」
「…昨日『グリーンリーフウッド』からその情報を得た私はすぐに下部メンバーを集めて現場に急行した。……ふふ、ふふふ…そして、二時間後、土見とリンちゃんは、出て、来なかった………!!」
一瞬の静寂、そして巻き起こる爆発。
「「「「………え、延長だとぉぉぉぉぉぉぉ…………!!!!!!」」」」
- 472 名前:大惨事超漢大戦α[sage] 投稿日:2007/01/12(金) 12:57:20 ID:cJBMQPkK
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阿鼻叫喚の地獄絵図が描き出された。
「アハハハハハハハ!!! そうだ! 土見が、土見の野郎が! リンちゃんのあの柔らかそうな唇を吸ったり舐めたり…!!!」
「ネリネさまの豊満な乳房を気の向くままに揉みしだいたり舐めたり挟んでもらったり…!!!」
「小柄な身体をええことにアクロバチックな体位やらを試したり…!!!」
「挙句の果てニは鞭やローソクを使ったリ、白い肌に縄を食イ込まセたりしておきナがラ…!!!」
「延長してもう一ラウンドだとぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
勝手な想像で盛り上がる一同。最早誰も彼らを止められない。
「我ら『RRR』はこれまで表立った行動は控えてきた! 精々不幸の手紙や丑の刻参りでひっそり土見の不幸を願いつづけてきた。だが! だが今日こそは立ち上がる時だ!
武器を取れ! メンバーを集めろ! 我らの聖戦が始まるのだ! 作戦名『悪魔が来たりて笛を吹く』発動承認んんんんぅぅぅ!!!」
狂ったように意味不明なことを叫ぶ『レッド』に他の面子も続く。
「マスクを被れ! 嫉妬のマスクを!」
「臆するな! 我らは義によって立っている!」
「SATSUGAIせよ! SATSUGAIせよ!」
「愛と勇気だけが友達だ!」
「おっぱいおっぱい!」
「さあ、行こう! 我ら『RRR』四天王! これより修羅と化す! 神と会っては道を譲り、悪魔と会っては靴を舐め、リンちゃんと会っては写真を取りて、必ずや怨敵土見稟を打ち倒すのだ!!!」
『レッド』、『イエロー』、『グリーン』、『ホワイト』、『ブラック』。
戦鬼たちは歩き出す。真なる敵の下へ。
途中彼らを慕う仲間たちがぞくぞくと集まり、膨大な数に膨れ上がっていく。
だが志を同じくする者達の心は一つ。
百を超える勇者達は一つの生き物と化してバーベナ学園校舎を進んでいった。
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「稟さまに危害を加えることなど許しません!!」
ちゅど〜ん!
「「「「「ぴぎゃあ〜〜〜〜〜」」」」」
ま、雑魚の運命なんてこんなもんである。
- 473 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/01/12(金) 12:58:51 ID:cJBMQPkK
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今書いてる作品が詰まってるからって、こんなもん書いて何してるんだろ?
不快に感じられた方、ごめんなさい。
不快といえば小説版の麻弓編などを読むと親衛隊たちはかなり性質の悪い存在、というかリアルに犯罪者になってますが、こういう愛らしい(?)馬鹿の集まりが本来の設定だと思いたいです。