649 名前:405[sage] 投稿日:2007/02/08(木) 20:42:23 ID:ZJp1Timn
「んしょ、稟ありがとね。」
「気にするな、俺も暇が紛れたし、せっかく今日はご馳走になるんだしな。」
「お茶持って来るからちょっと待ってね。」

あの後、キキョウの料理の腕前の話題に切り替わった。シアや楓等、稟の周囲には家事
をこなして料理の腕を鍛えてきた面々が多い。またプリムラも楓に師事して料理の腕を上
げている。運動のレベルはシアとほぼ同じ、学業の成績はネリネや樹にも迫る程であるが、
やはり料理の腕となると、シアの方が上である。勿論経験の差があるのだから当然と言え
ば当然だが。最もシアの方は、学業成績に大きな差がある事に悔しがっていたが。
キキョウとしては稟に「美味しい」と言ってもらえる様、分離してから練習出来る暇が
あれば料理本片手に試行錯誤を重ねてきたのである。始めて稟に食べてもらった時は見栄
えも悪かったし、味にも及第点はくれたけど、キキョウ自身としては納得する筈も無く、
以後稟のために練習を重ねてきたのである。ちなみに作り過ぎたとしても全く問題はなか
った環境であったため(そりゃ底なし胃袋を有する親父がいればモーマンタイ)、休日を料
理の練習に当ててしまった時もある。
 そして稟が「せっかくだから食べてみたいな」と呟いた事から、これまでの練習の成果
を発揮する事となったのである。と言う訳で何も予定の無い散歩から、年末年始で人がご
った返す木漏れ日通りのスーパーへ買い物へと予定変更。人混みになれていないキキョウ
を見かねた稟は、キキョウとしっかりと手を繋いで人混みの中を強行突破したのである。

「ふう〜。やっぱりちょっと、疲れたな………。」

 居間のソファに深く座り込んでため息と共に愚痴をこぼす。まあ人群れの中を突破した
のだから疲れるのも仕方ないだろう。何となく天井を見上げると、木の天井が目に入る。
暖房の効き目は早く、居間の暖房をつけてからさほど経ってはいないが、部屋の中はすで
に身を切る様な寒さは消え失せ、じんわりと暖かい。
 ソファの柔らかい感触に稟が身体を預けて天井を見上げたままでいると、じわじわ眠気
が押し寄せてくる。押し寄せる睡魔に抗いきれず、稟の意識は闇に落ちた。
650 名前:405[sage] 投稿日:2007/02/08(木) 20:43:07 ID:ZJp1Timn
よーやっと続きです。とりあえず予告ですが稟とキキョウが同じベッドで一緒に寝ます。

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