- 668 名前:稟×キキョウほのぼの[sage] 投稿日:2007/02/11(日) 20:44:02 ID:6cQKTO4B
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「りーん、おまたせーってあら?」
満面の笑みを浮かべて二つのティーカップを持って居間に戻って来たキキョウであった
が、そこで見たのはソファにもたれかかって熟睡している禀の姿だった。
「もう、禀ったら。あたしをほったらかしにして寝るなっての。」
一転してむくれた表情になるキキョウ、しかし禀の寝顔を眺めているとふと思い至った。
よく考えたら禀が自分の前で寝顔を晒すのはこれが初めてであると。日常で稟のいろんな
表情を見てきたが、稟が無防備に眠っている表情を見た事は一度も無い。今ここで、愛し
い男(ヒト)が眠っている。
稟の顔立ちはそれなりに美形と呼べるレベルである。土見ラバーズ以外にも稟に恋愛感
情とまでは行かなくても、憧れを抱く女子生徒の数は結構多い。緑葉樹の様に容姿端麗頭
脳明晰(最も性格が全てを台無しにしているのだが)のような人間では無い。しかし人当た
りが良く、穏やかで優しい性格で、それを普段大した事をしていないのに周囲に理解させ
られる、不思議な魅力があった。そして、困った人を見ると手を差し伸べずには居られな
い。実際、幼い頃のシア(とキキョウ)とネリネ(正確にはリコリス)は人間界に迷い込んだ
その日、稟と運命的な出会いを果たしている。稟自身は自覚していないものの、樹とは違
った存在感がある。
端から見ればごく普通の高校生でしかない。それなのに………
「あたしもシアも、楓も亜沙もリムもカレハもツボミも桜も、みんな稟を愛してる………
稟以外考えられない。不思議だよね。」
稟のすぐ傍に寄り添うと、稟の顔がより近くなった。まだ18歳にもなっていないその表
情にはあどけなさが残る。それなりに整った表情だけに、顔だけ見れば女性と間違えても
おかしく無いかもしれない。
キキョウは禀の手に自分の手を重ね、禀の肩に自分の頭を乗せた。禀の優しさと暖かさ
に身をまかせて目を閉じた。
白く発光する蛍光灯の下、キキョウもまた眠りについた。
- 669 名前:405[sage] 投稿日:2007/02/11(日) 20:45:00 ID:6cQKTO4B
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えー………終わりにした方がいいですか? いちおー続きありますけど………。
- 671 名前:稟×キキョウほのぼの[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 14:24:45 ID:MMgpVHNq
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「………稟………?」
キキョウが目覚めると………何がどうなったのか、まあ寝返りうってこうなったのだろ
うが。
まあ平たく言うと、キキョウの上に稟がのし掛かっている。つまり、稟に押し倒されて
いる訳だ。キキョウは仰向けに倒れており、頭を起こして視界に入っていた黒いそれに視
線を向ける。言うまでもない事だがそれは稟の頭だった。それも、キキョウの胸と胸の谷
間に見事なまでにすっぽり収まっている。そして、キキョウが足を動かそうとすると、キ
キョウの足と足との間に稟の片膝が割り込んでいるのが解った。
もし、この光景を誰かが見ていたら絶対に「稟がキキョウを襲っている」と認識するだ
ろう。つまりはそういう状態になっている訳である。当然キキョウは身動くは取れない。
稟は全く身動ぎをせず、キキョウの胸に感じる稟の吐息から、この様な状態でも眠ってい
る事が解る。全く図太い事だ。昨日は夜更かししていたそうだからしばらくはこのままに
なるだろう。それくらいなら………
「抱き枕にしちゃうか♪」
と、両腕で稟の頭を抱え込んで抱きしめた。キキョウの表情はどことなくいたずらする
子供の様な笑顔が浮かんだ。
- 672 名前:405[sage] 投稿日:2007/02/12(月) 14:25:20 ID:MMgpVHNq
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短くてゴメンナサイorz。