『稟なんか、死んじゃえばいいんだ!』
その日を境に俺、土見稟と芙蓉楓の関係は変わった。
その子を助ける事で自分も救われるんだ、そう思った。
けど、現実ってのは思い通りにはならないもんだ。
『ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい・・ごめん・なさ・・い』
まさか芙蓉のおじさんがバラしてしまうとは完全に予想外だった。
とはいえ元の鞘に戻ったかと聞かれるとそうとも言い難い。
あの日から和解するまで自分のしてきた行為の為か、どこかぎこちない。
とはいえ、俺のしてきた『我慢』が無駄にならずにうれしい限りだった。
それから数カ月。
亜沙先輩の卒業式の日に俺はもう一人の幼なじみである、八重桜に呼び出されていた。
〈今日の夕方、教室で待ってます。楓ちゃんには内緒で〉桜が俺に楓抜きで何のようだろう?
そう思ったが、いや思ったからこそ俺はここにいた。
ガラガラ・・・・
教室の扉をあけると桜が窓から外を見ていた。
「よう、待ったか?」
「あ、稟君・・。」
「俺に用だって?」
「・・来てくれないかと思ってました。」
どうも様子がおかしい。
妙にそわそわしているし、歯切れも妙に悪い。