- 213 名前:ぽんちょ[sage] 投稿日:2007/04/18(水) 22:32:03 ID:eB4TVFCC
-
とりあえず、板の流れがそうなってたので、一応途中まで上げときます。
前回同様、あと何回か続ける感じになるんじゃないかと思われます。
ちなみに、今回は導入なので、エロもへったくれもない文章です。
じゃ、一応反応を期待します。
- 214 名前:楓×麻弓(×稟)[sage] 投稿日:2007/04/18(水) 22:33:00 ID:eB4TVFCC
-
それは、ある休日の昼過ぎだった。
その日は特にすることもなかったので、リビングでボーっとしていた。
差し込んでくる柔らかい日差しが、俺のまどろみを誘う。
そんな感じで休みを満喫していたところ、楓がやってきた。
楓と付き合いだしてしばらくになる。
紆余曲折はあったが、あのあと何事もなく、幸せな日々を送っているのは確かだ。
今も、隣に座った楓の頭を撫でつつ、幸せな空気を堪能している。
楓に目をやると、予想通り喜色満面だった。
激しいわけでもなく、また冷めているわけでもなく。
そんな二人きりの時間を、最近は送ることができている。
さて、それなりに付き合いが長くなると、何となく相手の言うことを察知できたりする。
俗にいう、「以心伝心」とかいうやつだ。
昔は楓に一方的に読まれていることが多かったが、最近はそうでもない。
楓が何かを言おうとしてるとか、その内容はどんなものかとか。
そういうことが、かなり敏感にわかるようになってきた。
そして今が、まさにその時であるらしい。
「稟くん」
楓が顔をあげて話しかけてくる。
「なんだ?」
そう言って楓の顔を見た瞬間、なんだかヤバそうな直感を得た。
俺の頭の中で、赤い警戒ブザーが鳴り響いている。
「今日、夕方から麻弓ちゃんが泊まり込みで勉強しに来るんですけど」
「麻弓が?…あ、そうか。そろそろ試験だからか」
「はい。今回は危ないらしくて、本気でやらないとマズイんだとか…」
「あいつが危ないのは毎度のことだがなぁ」
かなり高レベルな警戒度だったのだが、案外普通な回答が返ってきた。
実際、麻弓はよくうちの家に来ていた。
毎回勉強と称してやってくるのだが、大概大騒ぎして何もできずに帰っていく。
その場合、決まって朝に大絶叫しやがるので、迷惑なことこの上ない。
楓のモーニングコールを受ける前に起きてしまうのである。
例のブカシャツ姿の麻弓を見られるのが、唯一の救いと言えよう。
まぁ、いつも俺のシャツを着るのもどうかとは思ったり思わなかったりだが。
「今回も考える前にゴリ押しされたんだろ?」
「はい…。あの、迷惑じゃなかったですか?」
「まぁ、朝の大絶叫を除けば特に問題はないし。大丈夫だ」
「そうですか。よかった…」
そこまで深刻に思いつめるような話でもないような気がするのだが。
楓は心底ほっとした様子だった。
このような経緯で、麻弓がうちに泊まりに来ることになったのである。
- 215 名前:楓×麻弓(×稟)[sage] 投稿日:2007/04/18(水) 22:33:48 ID:eB4TVFCC
-
警戒ブザーは鳴り響いたままだが、考えないことにした。
何より、楽しいのはいいことだ。
そして、空が茜色に染まりだす時間になった。
試験等はかなりいい加減だが、あいつは時間だけはしっかり守る。
約束の時間は夕方5時。夕飯も食っていくようで、楓がさっきから楽しそうにキッチンを右往左往している。
長年楓の料理の姿を見ていれば、今日の材料配分が2人分ではないということくらいわかる。
しかも、少しいつもより豪華なご様子。早くも腹の虫が鳴り出しそうである。
時刻は5時の10分前。
そろそろご登場だ。
と。
ぴんぽーん
玄関の呼鈴が鳴った。楓をみると、どうやらお取り込み中のようだ。
すると、楓もこちらを振り向いた。
「以心伝心、だな」
「…はい。よろしくお願いしますね」
嬉しそうに顔をほころばせる楓を脳裏に焼き付けて、玄関へと向かう。
- 216 名前:楓×麻弓(×稟)[sage] 投稿日:2007/04/18(水) 22:34:20 ID:eB4TVFCC
-
玄関の扉越しに、見覚えある少女のシルエットが浮かび上がっている。
ただ、普通に開けて迎え入れるだけではつまらないので、ちょっといじめてやろう。
そう思いつつ、引き戸を引く。
と同時に、元気ハツラツな声が響く。
「こんにちわー!一晩お世話になるのですよー!!」
普段楓と二人だと、のんびり空気が流れるのだが、麻弓が来るとその空気が一蹴される。
まさに、元気の塊である。
「はい、ここで元気一杯の麻弓さんに問題です」
「えぇっ、いきなり?!」
「794年に都が平安京に遷都されました。さて、平城京は何年でしょう」
「え?え??もう一回!問題もう一回!」
「平城京に都が移ったのは何年でしょう」
「794年!!!」
「だーから、それは平安京だって。はい、残念」
「…うぅー」
「正解は。はい、楓さん」
そこで、後ろから来た楓に促す。
「710年です〜」
「はい、正解。麻弓さん、わかりましたか?」
「あぁ〜!!もうわかんないわかんない!」
「ではオレンジの楓さん、何番?」
「じゃぁ、真ん中13番で。麻弓ちゃん、いらっしゃい」
「うえぇ〜ん…楓ぇ〜。土見君がいじめるぅー」
サラッと本題に戻れる楓がすごいと思う。
ま、そんなことはどうでもいいんだが。
「ほら、上がれよ。いつまで外にいる気だ」
「…土見君が止めてたんでしょー?乙女を長い間立たせといて、かける言葉もないのぉ?ひどーい!」
ジト目の後、なんか知らんが怒り出した。忙しいやつである。
と、楓があるものに気づいた。
「麻弓ちゃん、その手に持ってる袋は?」
「あ、これ?」
そこにあったのは、何やら縦長の四角い箱が入った袋。
麻弓は、ひょい、とそれを持ち上げて見せて。
「ふふ、なんでしょ〜。後のお楽しみなのですよぉ〜♪」
その、麻弓の小悪魔的なスマイルを見て、忘れていた警報機が再び聞こえ始めた。
どうやら、あの袋にヤバそうなものが入っていることだけはわかった。
が、結局何もできずじまいだった。
そのままあまりない組み合わせでの夕食が、面白おかしく始まり、恥ずかしいことをされたりし返したりして、楽しく過ぎて行った。
つづく…。
- 217 名前:ぽんちょ[sage] 投稿日:2007/04/18(水) 22:36:11 ID:eB4TVFCC
-
第一話は以上でございます。
ご意見・ご感想・ブーイング等あったら、書く気が増えます。
よろしく。
あと、暇ならほかのカップリングも書こうかと思っているのですが。
まぁ、時間的に余裕はなさそうなので、参考までに、誰がいいですか。