565 名前:名無し ◆85siVFU0r. [sage] 投稿日:2007/04/20(金) 19:04:32 ID:6Dj1QSXQ
一応SS出来たよ。

今から投下するね。
566 名前:名無し ◆85siVFU0r. [sage] 投稿日:2007/04/20(金) 19:05:58 ID:6Dj1QSXQ
稟「…ごちそうさま…」
俺たちは毎度の如く屋上で昼休みを過ごしていた。そして毎度のごとく皆から弁当を過剰に与えられていた…。

楓「はい稟くん。胃薬です♪」
稟「ありがとう…楓…」
楓さん…胃薬渡すくらいなら食べさせないで下さい…。嬉しいけど拷問だろこれ…。
シア、ネリネ、楓だけでもきつかったのに最近はキキョウまで交ざってやりはじめた。一人いないからまだ楽だけど。
稟「そういやキキョウ、ちゃんと学食行けたのかな?」
シア「大丈夫だよ、キキョウちゃん普段はしっかり者だもん♪」
稟「その割りにはうっかり弁当忘れてきたけどな。」
シア「あ、あはははは…、大丈夫、だと思う…」
ネリネ「でも、問題ないかと思いますよ。」
楓「はい、亜沙先輩たちが一緒ですし。」
だから不安なんだが…。学食のことより亜沙先輩が何か良からぬ事を吹き込みそうなのが…。
シア「あ、そうだ。実はみんなに相談したいことがあったんだ♪」
相談、と言う割りにはシアの表情が楽しそうだ。
樹「稟を捨てて俺様の所に来たいという相談かい!?」
稟「樹…、死にたいらしいな…?」
まったく、コイツは油断も隙もない。
麻弓「シアちゃんが緑葉くんに乗り換えるなんてことは地球が滅んでも有り得ないのですよ♪」
確かにそれは無さそうだ。いや、絶対にあり得ない。てゆーか、そんなことは絶対に阻止する!
ネリネ「それで、シアちゃん。相談というのは…?」
おっといかん、忘れるとこだった。
稟「何か悩みごとか?」
シア「うん、実はキキョウちゃんにも何か愛称をつけてあげたいなぁって。」
稟「シア、みたいな?」
シア「そうッス!私にもあるんだからあの子にもつけてあげたいなぁ…と♪」
稟「なるほど、確かにシアやネリネは愛称があるよな。」
リシアンサスはシア、ネリネはリン。魔界や神界の風習なのか名前の間から文字を抜いて愛称にすることが多いようだ。
稟「キキョウ…キョ。…無理だな。何言ってるか分からん。みんな、何かいい案あるか?」

そして全員でキキョウの愛称を考える会議がはじまった。

567 名前:名無し ◆85siVFU0r. [sage] 投稿日:2007/04/20(金) 19:07:05 ID:6Dj1QSXQ
樹「むずかしいね。キキョウちゃんの名前は切りにくいし。」
確かに…愛称をつけにくい。俺があげた名前なんだけど。
シア「うー、そうなのよねー。キョとかヨウとかなっちゃうッス…。」
楓「キョウはどうでしょうか?」
稟「お、それいいかも。キョウちゃ…」
なんだろう、何か違和感が…。昔、某テレビ番組でそんな名前があったような…?
麻弓「な、なんかシックリしないかもしれないのですよ」
麻弓も違和感を感じるらしい。他にも考えてみるか…。
稟「麻弓はなんかいい案あるか?」
麻弓「キっちゃん。」
稟&樹「「却下。」」
聞いた俺がバカだった…。麻弓に期待する方が間違いだということを改めて思い知らされた。
麻弓「酷いのですよ〜…聞いておいてぇぇ、ねえ、リンちゃん〜。」
ネリネは泣きつく麻弓に反応せず何かを考えているようだ。
稟「ネリネ?」
ネリネ「あ、稟様。今、思い付いたのですけど私のような愛称はどうでしょうか」
稟「リン、みたいな?」
ネリネ「はい、えっとキキョウさんはkikyouだから…えと…」
どうやらまだそれ以上考えていなかったらしい。さて、困ったな、やはり切りにくい…。
楓「you…ユウちゃんなんてのはどうでしょう。」
樹「さっすが楓ちゃん!今俺様もそう考えていた所だよ!」
調子のいいことを…でも、確かに悪くないか?
稟「どうだ?シア。悪くないんじゃないか?」
これならキキョウも気に入ってくれそうだ。
シア「ユウちゃんかぁ。うん、これなら…ってダメー!絶対無理ッス〜…」
絶対行けると思ったのにここまで否定されるとは…
稟「えぇ?なんで?そんなに悪いか?」
正直悪くないと思うんだけど。
シア「悪くはないんだけど…」
ネリネ「あっ…確かに無理ですね。いいと思ったんですけど…」
ネリネはその否定の意味に気付いたらしいが…、
稟「えっと、どうゆうこと?」
ネリネとシアがガックリと肩を落として溜め息をつく。
シア「かぶっちゃうん…だよね。」
ネリネ「シアちゃんのお父さんと…」
一同「あー…」
一人の顔が思いつく。あの筋骨粒々な和服姿の男の。

神王様。本名ユーストマ。

あだ名は神ちゃんだから問題ないけど…キキョウは喜ばないだろうな…。
稟「思い付かないもんだな…」
麻弓「だから、ここはキっちゃ」
稟&樹「「却下。」」
麻弓「うぅー、最後まで言わせてほしいのですよ…」
568 名前:名無し ◆85siVFU0r. [sage] 投稿日:2007/04/20(金) 19:08:58 ID:6Dj1QSXQ
ドゴーーーン!

不意に響き渡る爆発音と紫の閃光。この光…どこかで?
樹「…あれは学食周辺からだね。ガス爆発…?いや…」
屋上からよく見える学食の辺りが爆煙に包まれている。
え? 学 食 ?
あそこには、学食には確かキキョウが…!?
稟「キキョウ!なんてこった!…おい、樹!何落ち着いてるんだ!キキョウや亜沙先輩たちを助けに行くぞ!」
ネリネ「稟様!落ち着いて下さい!あれは魔法の発動光です!」
シア「う〜、確かにあれはキキョウちゃんの魔法だね〜…」
シアとネリネが同時に溜め息をつく。
キキョウの魔法だって!?あんなの食らったら普通に死ぬぞ!?(体験談)絶対ヤバイ!!
稟「とにかくキキョウを助けに・・・はぁ!?」
まてまて、落ち着いて物事を整理するんだ。
キキョウは弁当を忘れて学食へ→学食周辺から魔法による爆発→他種族による爆発魔法→
レベル的に使えそうな人物→ネリネ、シア、キキョウ→ネリネ、シアはここに居るから…
稟「キキョウが何らかの理由で攻撃魔法を使ってるってことか!?」
ドゴーンドゴーン!
男子生徒1「ひいい!?」
男子生徒2「な、なんなのこの子!?」
あれはネリネが消し飛ばしかけた男子(?)生徒か?
キキョウ「こらぁ!稟をバカにしたら許さないんだから!」
二人を追ってキキョウが走ってくる。
稟「キキョウ!やめろ!」
しかし俺の叫びもキキョウには聞こえていないようだ。
その手に魔力が集中する。見るからに高密度の魔力だ。・・・・・・・ヤバイんじゃない・・・?
男子?生徒×2「ひいぃぃぃ!?」
ドカーンドゴーン!
あ、飛んだ。へぇー。人ってあんなに飛ぶんだぁ。へぇー。取り敢えず合掌かな。南無。
言ってしまえば現実逃避。俺は心からあの二人の男子?生徒の冥福を祈った。
樹「稟」
稟「なんだ。」
樹「『二つ名』なら考え付いたよ。」
稟「出来れば聞きたくないな。予想どうりだろうし…。」
今だ続く爆音にガックリと肩を落としてその言葉を飲み込んだ。
破壊神。もしくは恐怖のキョウちゃ(ry
そんな二つ名がつきそうだ…。

569 名前:名無し ◆85siVFU0r. [sage] 投稿日:2007/04/20(金) 19:11:19 ID:6Dj1QSXQ
キキョウ「うぅー、つかれたー…」
キキョウはかなり狼狽したような表情をしていた。
それもそのはず、紅女史の愛あるお説教を五六時限一杯聞かされたのだから。
勿論、神王と魔王のおじさんがなんとか諌めてくれたのだが…
稟「二回目だしなぁ…」
キキョウ「ごめんね、稟まで巻き込んで。」
キキョウがすまなそうにこちらを見る。愛あるお説教は俺のとこまで飛び火していた。
稟「まあ、いいさ。お説教はあの二人が引き継いでくれたし。」
神王様、魔王様、ありがとうございます。頑張って生きてください…。



教室にはもう誰の姿もなく既に夕日が射し込んでいた。
稟「みんな帰ったみたいだな。俺たちも帰るか。」
キキョウ「そだね。」
不意にキキョウがニヤッと笑う。いったい…?
キキョウ「へへー、りーん♪」稟「んなっ!キ、キキョウ!?」
いきなりキキョウが腕に抱きついてくる。あの、キキョウさん、その、腕に当たる感触が悩ましいのですが…。
キキョウ「今まで二人で帰るって事なかったじゃない。だから、ね♪」
そういって胸を押し付けてくるキキョウ。
あの、嬉しいけど僕の理性さんもいっぱいいっぱいです。いっぱいおっぱい僕元気です。
稟「じゃ、じゃあ帰るか!」
キキョウ「うん!」
どうにか残った理性を総動員して俺は帰路についた。
570 名前:名無し ◆85siVFU0r. [sage] 投稿日:2007/04/20(金) 19:13:21 ID:6Dj1QSXQ
キキョウ「…でね、亜沙先輩がその男子…?うー?男子生徒?に突っかかっていったからあたしも…」
稟「おいおい、そのくらいで怒ったらキリないぞ…。てゆーか、発端はやっばり亜沙先輩か…。」
まったく、あの人「も」トラブルメーカーだな…。他のみんなもだけど。
キキョウ「あ、そういえば亜沙先輩が一緒に下着を選びに行こうって言ってたよ。稟も一緒にって♪」
稟「ブフーッ!おまえなにあha8@mdpmくせぁdt5w2aふじこgt5apj」
キキョウ「イヤ、なの?」
まずい、だからその上目使いは反則だって!な、なにか話題を変えて話を逸らさないと!!
稟「あ、あぁー!思い出した!そう言えばシアがキキョウに愛称つけようっていってさ!」
キキョウ「あぁー、はぐらかしたー!!…でも、愛称?」
よし!食い付いた!
稟「まあ、結局決まらなかったんだけどな。みんなで考えたんだけど。」
稟「キョウちゃんとか、キっちゃんとか一番こだわったのでユウちゃんとかあったんだけど全て没になってしまった。」
俺のあげた名前だけにちょっと悔しかった。でも…
キキョウ「みんな、あたしのために?」
キキョウの顔はとても輝いていた。
稟「みんな頑張って考えたんだけどな。どうにも俺のあげたキキョウって名前が愛称にしにくくて。」
逆に俺は落胆し自分のセンスの無さを恨めしく思った。
稟「もう少しこだわってあげれば良かったかなぁと反省してる。」
けれどキキョウは首を横にふり、
キキョウ「そんなことないよ。あたしが私である証拠…リシアンサスでないあたしが初めて貰ったもの…。」
稟「キキョウ…」
キキョウ「それにね。あたしはみんながあたしのために考えてくれた事がとっても嬉しかった。」
絶対に手に入れることが無いと思っていたもの。
リシアンサスであったがために今まで持つことが許されなかった自分という存在。
その自分のために、「キキョウ」のために与えるものを考えてくれる初めての友達。
…きっと、その全てが嬉しいんだろうな…
満面の笑みがそれを物語っていた。
キキョウ「でもね。」
稟「?」
キキョウ「あたしは初めて貰ったこの『キキョウ』って名前を…、好きな人から貰ったこの名前を大事にしたいんだ…。」
稟「キキョウ…」
キキョウ「稟…」
もう、言葉は要らないと思った。迷う事なくキキョウの、キキョウは俺の唇を求めた。

571 名前:名無し ◆85siVFU0r. [sage] 投稿日:2007/04/20(金) 19:14:45 ID:6Dj1QSXQ
―――後日談

あのあと仕方ないのでキキョウはキキョウのままで行こうとの事になった。
麻弓はやたら気に入ったらしく『キッちゃん』で呼ぶようになった。
意外にキキョウは喜んでいたが呼ぶのは麻弓位にして、とのことだった。
それもそうだよな…。


シア「あーあ、せっかく考えたのになぁ。」
残念そうに呟くシア。そう言えばシアが言い出したんだっけ。
稟「シア。やっぱり…お姉ちゃんだから?」
シア「…稟くん、スルドイっす。ホントはリンちゃんみたいなかわいーのをつけてあげたかったんだよね。」
稟「まあ、いくらか思い付いたやつも没になっちゃったしな。」
シア「あの娘は今まで寂しい思いをしてきたから、私が思い付く限りのあげられるものはあげたいんだ。姉として。」
シアの横顔が憂いを帯びる。その表情はとても悲しげに俺の目に写った。
稟「大丈夫だよ、シア。その気持ちは充分キキョウに伝わってる…。」
出来るだけ優しくシアの頭を撫でて俺は微笑みかけた。
シア「んっ、稟くん…」
稟「シア、目を閉じて。」そして…



土見 稟
今二人の大切な恋人がいます。
572 名前:名無し ◆85siVFU0r. [sage] 投稿日:2007/04/20(金) 19:16:25 ID:6Dj1QSXQ
終わりッス♪

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