579 名前:名無し ◆85siVFU0r. [sage] 投稿日:2007/08/13(月) 02:49:45 ID:h+TYzCL4
>>578
そうなのか?雨で見れないよ…

さて、ちょいとSS投下させてもらうよ。
この前は荒らす発端作ってすまんかった…

8レスほど連投するからレスは控えてね
580 名前:誕生日プレゼント1/8[sage] 投稿日:2007/08/13(月) 02:51:13 ID:h+TYzCL4
7月28日(土)

稟「夏真っ盛りって感じだな〜」
バーベナ学園は現在夏休みの期間だ。
もちろん、俺は夏休みの課題などやる筈もなく、ただ漠然と日々を過ごしていた。
楓「稟くん、夏休みの課題は順調ですか?」



稟「いや〜、夏だなぁ〜」

楓「…現実逃避してるんですね…」
う…、毎年楓に頼りっぱなしだしなぁ…たまには、自分で何とかするべきか。
稟「よし、今年は自分の力で出来るだけ終わらせるぞ!」
7月の末だからといっとやらなかったらズルズル引きずりそうだしな。
稟「楓はどのくらい終わらせたんだ?」
楓「私は割りと簡単な国語と数学辺り以外は終わらせましたけど?」
稟「簡単な…割りと簡単な…」
なぜだろう、目から変な汗が出る…
楓「そ、その、稟くんの苦手な物から終わらせていったらどうでしょうか?」
稟「…そうだな、魔法学と練金学から終わらせるか」この辺りは馴染みがなくてどうも、苦手なんだよな。稟「学園の錬成室は解放してるんだったよな。ちょっと行ってくるよ」
楓「はい♪今回の課題は鉱石の生成と錬成なんで難しいですよ?」
げ…、そんなに難しいのか…。
稟「楓は、今日暇なのか?暇なら手伝って欲しいんだけど…」
楓「すみません、今日はリンさん達と準備の打ち合わせに…」
ん?準備?何か行事でもあったっけ?
思い出せる限りでは何も無かったような…
稟「楓、何の準備なんだ?」
俺の質問に楓はキョトンとした反応を見せた。
楓「明後日のシアちゃんとキキョウちゃんの誕生日の準備ですけど…」

ザザァーーーー…

俺自身の血の気の引く音が聴こえた。自分の顔が青ざめていくのが分かる…!
あ、明後日は7月30日…!!
楓「ま、まさか、稟くん…?」

稟「 忘 れ て た ぁ ぁ ぁ ー ー ー ッ !!」

……

稟「今日気付いて良かった…当日とかじゃ目も当てられないもんな。」
誕生日プレゼントは実は前に考えていた。あれなら気に入ってくれるんじゃないかな。
さてと、通帳からお金を卸して…


残高 ¥ 800-
財布の残高 ¥2000-


スイマセン…俺が先月使いすぎたんです…。

ま、まずい…一体どうすれば!?
1日でお金を作り出す魔法のような錬金術なんて…?

稟「練金…術?……そうか!」

581 名前:誕生日プレゼント2/8[sage] 投稿日:2007/08/13(月) 02:54:23 ID:h+TYzCL4
7月29日(日)

樹「で?俺様が呼ばれたわけかい?」
稟「樹も練金学の課題はまだだろ?ついでだと思って手伝ってくれよ」
俺が思い付いた最終手段…それは錬金術だった! のだが、如何せん俺の成績は良くない。
そこで、奥の手として樹を呼び出すことでなんとか知識や技術の不足を解決した。
樹「まったく、女の子の為にお金を使わないなんてなに考えてるんだい…」
う…、そこは突っ込まないで欲しい…。
稟「仕方ないだろ…、絶対的にお金が足りないんだから…」
先月の俺のバカ…
樹「まあ、いいや。何を造るんだい?」
稟「えっと、こういう感じの物を作りたいんだが」
俺はサラサラと簡単なラフ画を書いて見せた。
樹「…また、難しいものを造るんだね。言っておくけど俺様は教えるだけだよ?」
稟「構わない、できるなら自分で作りたいからな」
樹「じゃあ、まずは…稟、コランダムを準備しなよ」
コランダム……コランダム…?
稟「樹、コランダムって…なんなんだ?」
樹「…そこからなのかい…」

……

それから樹が珍しく懇切丁寧に教えてくれたのだが、コランダムとは鋼玉の一種で大元になる材料らしい。
まあ、それにクロムという不純物イオンを混ぜて完成するらしいのだが…

樹「なんでサファイアが出来るんだい!?」
稟「い、いや、間違ったつもりは無かったんだが…」
予想通り、四苦八苦していた。
樹「いいかい?稟が今混ぜたのは鉄かチタンだよ。クロムじゃない」
うぅ、既に頭が回らなくなってきたぁ…
樹の言ってることも良く理解できないし…
稟「取り敢えず、このサファイアは課題用にするか…」

キーンコーンカーンコーン…

樹「ようやく、出来たみたいだね。稟」
出来たには出来たが…
稟「樹、この不透明なところはどうにかならないのか?」
俺の作ったものは『ルビー』だったんだがどうにも、上手く色が出ない。
樹「一度出来上がったものは分解しない限り無理だね」
稟「やっぱりそうなのか…」
樹「元々学園でそんな純度の高い鉱物は錬成できないからね。そこまで出来れば御の字だよ」
うーん、でも気になるなぁ…
稟「樹、先に帰っててくれ。ちょっとやり直してみる」
お金も掛けてないんだ。流石にこれ以上妥協は出来ん!
樹「止めはしないけど、俺様は無理だと思うよ?」
稟「分かってる。出来るとこまでやってみるさ。ありがとうな?」
樹はニヤリと笑うと手を振りながら、
樹「見返りはちゃんと貰うからね♪それじゃあ」
と、不吉な言葉を残していった。



や、やっぱやめときゃ良かったかも…
582 名前:誕生日プレゼント3/8[sage] 投稿日:2007/08/13(月) 02:55:45 ID:h+TYzCL4
稟「あぁああ!だめだっ!」
俺は相変わらず紅玉と格闘していた。
稟「こんなのじゃ納得してもらえんだろ…」
時刻は既に深夜2時。
つまりは7月30日だった。

7月30日(月)

時刻は深夜2時を回り、遂にシアとキキョウの誕生日が来てしまった。
稟「あと、少しなんだけどなぁ…」
イマイチ綺麗な赤にならない。だが、先程よりかは幾分ましになってきた。
稟「よし、次こそ完璧に仕上げるぞ!」

……



シア「えぇ!?それじゃあ稟くん、昨日から帰って来てないの?」
楓「はい…、『今夜は課題を終わらせるために錬成室に泊まり込む』って電話があったんですけど…」
楓は心配そうな顔でシアに打ち明けていた。
キキョウ「泊まり込まないといけないような課題じゃないと思うけど…」
楓「確かにそうですよね…稟くんは苦手な科目だから終わらせたいって言ってたんですけど」
シア「う〜ん…」
シアは難しそうな顔で思考を一巡させると、いとも簡単といった風に手を叩いた。
シア「じゃあ、迎えに行こうよ♪もう終わってると思うし」
キキョウ「稟の事だから寝ちゃってるかもね、楓も行く?」
楓「シアちゃん達が行くなら大丈夫ですね。私は今夜の準備をしておきますよ♪」
シア「今夜?何かあった?」
キキョウ「え」
楓「えぇ!?」
シアの鈍感っぷりに楓とキキョウはすっとんきょうな声を上げた。
シア「どうしたの?二人とも?」
シアは全く気付いていないようだ。
楓「あの、私、この説明二回目なんですけど…」
キキョウ「今日はシアとあたしの誕生日なんだけど…」
シアの顔がゆっくりと驚きの表情に変わっていく。

シア「えぇー!?そ、そーだっけ!?」
キキョウ「シア…忘れすぎだよ…」
ま、まあ、ご愛敬ということで…



稟「ぐう…すぴー…」

シア「稟く〜ん?」
キキョウ「どうシア?稟起きそう?」
なんだろ…聞き覚えある声が…?
シア「稟くん、お昼ですよ〜?」
稟「…もうちょい寝かせて…よ、シア…?」
あれ……シア?

ガバァッ!
稟「ハッ!ここは?!」
キキョウ「稟〜…、心配させないでよね〜?」
稟「キキョウ、にシア? あれ…、俺どうしてこんなとこで寝てるんだ…?」
何だか記憶が曖昧だけど確か課題を終わらせてその後……… !!
シア「カエちゃんに稟くんがここに居るって教えてもらったんだけど…一晩中頑張ってたの?」
稟「あ、ああ、ちょっと課題を終わらせたくて…ん?」
あ、あれ?昨日徹夜して作ったプレゼントが無い?!
583 名前:誕生日プレゼント4/8[sage] 投稿日:2007/08/13(月) 02:56:57 ID:h+TYzCL4

キキョウ「探し物は、これ?」
キキョウは二つの小さな箱を片手に持っていた。
し、しまった。これは完全にバレたな…。
稟「…悪い、誕生日の事忘れててそんなものしか準備できなかった」
最終的には言うつもりだったけど結局すぐにバレちゃったな…。
しかし、シアは嫌な顔すらせず微笑みを返してくれた。
シア「わたしは別にプレゼントなんて貰えなくても良かったんだよ?」
稟「いや、ほんとはもっと、ちゃんとした物が贈りたかったんだ…」
もう少しカッコつけた位の物が…
キキョウ「そんな背伸びしなくても良いよ、稟。あたしたちはこっちのが嬉しいんだから♪」
シア「だって、稟くんが私達の為に作ってくれたんだもん♪ 嬉しくないわけ無いよ…」
シア達はまだ、中身も見てないのにシア達は俺が作ってくれたことを喜んでくれていた。
キキョウ「ね、ね、稟。開けてみていい?」
稟「ああ…、出来映えには少しだけ自信があるんだ」
樹に見せたラフ画よりもキレイに仕上がったしな。

カパッ

シア「これ…稟くんが作ったの?」
キキョウ「稟、これ買ってきたものなんじゃ…」
稟「いきなり俺の努力を全否定するな。これでも細かい作業自体は得意だからな」
それは二種類のルビーであしらった『髪留め』だった。
稟「人間界の夏は暑いからって髪を纏めたがってただろ?それなら飾り気のあった方が良いと思ってな」
やっぱ物りを贈るなら長く使って欲しいもんな。
シア「あ〜♪ちゃんと二個セットになってるッス♪」キキョウ「稟、あたしが髪を纏めたらどっちがどっちだか分かんなくなるんじゃない?」
稟「――? それならとっくに見分けつかないと思うぞ?」
キキョウは少しだけ驚いた顔で俺の顔を見ていたが、すぐに笑顔に戻っていた。
キキョウ「それもそっか♪ ね、稟。こっちはルビーだって分かるんだけど…こっちは?」
キキョウは繊維状の筋の入ったルビーを指差した。

・・・
実は分かんないんだよな…。
稟「いや、なんだか星形にラインが入って綺麗だったからつけてみたんだが…」
失敗作を作り続ける途中に偶然出来たんだよな。名前なんてあるのか?
樹「あれ?これはスタールビーじゃないかい?」
不意に後ろから聞き覚えのある悪友の声がした。
稟「樹?!…いつの間に」樹「たった今だよ。誕生パーティの主役が居ないから俺様が迎えに来たのさ。…麻弓に脅されてね…」
なんていうか、最後の一言だけで全てが理解できるな…
584 名前:誕生日プレゼント5/8[sage] 投稿日:2007/08/13(月) 02:59:12 ID:h+TYzCL4
稟「お前も大変だな…」
俺は項垂れる悪友の憐れな状況に同情するしかなかった…。
稟「ところで、さっき言ってた『スタールビー』ってのは?」
樹「稟、知らずに作ってたのかい?…ある種の才能だね。間違った方向に働く事が多いけど」
樹は半分呆れたような顔で聞き返してきた。
稟「ほっとけ。何回もやりなおしてたら偶然こんな風になったんだ」
樹「偶然にしては出来すぎだけどね。いいかい、スタールビーっていうのは…」
そこから樹のルビー錬金講義が小一時間行われた…。得意分野だからこそ語りたいのだろうが。
まあ、要約するとルビーに更に金紅石の結晶が混ざる事により星のような反射が起こるらしい。
樹「つまりこの二種のルビーは正にシアちゃんとキキョウちゃんにピッタリなんだよ!更に最近、魔力効果も…」
稟「あー…樹、熱弁してるとこ悪いが…」
樹「なんだい?稟」
稟「シアもキキョウも寝てるぞ」
樹「な、なんだってー!?」
もともと学問が苦手な二人がこんな話を聞くのは学園長の長話を朝礼で聞くようなものだ。
二人は俺の肩に寄り掛かってすぅすぅと寝息を立てていた。
シア「…うぅん…稟くん……」
キキョウ「……り〜ん…zzz…」

樹「稟…」
稟「なんだ」
樹「…殴っていいかい?穿つように音鋭く!」
今回は血涙まで流すか。
稟「却下だ、俺は悪くない」
まあ、他人から見たら結構羨ましい状況なんだろうが。

……



一同「シアちゃん、キキョウちゃん!誕生日おめでと〜♪」
シア「みんな、ありがとうございます♪…いや〜忘れてた自分が恥ずかしいッス」
キキョウ「シア…そういう余計な事は言わなくていいの」
どっと全員から笑い声が上がった。
ネリネ「でも、シアちゃんらしいと言えばシアちゃんらしい、です♪」
麻弓「そういう纏め方でいいの?この場合…」
樹「いいんじゃないかい?」
稟「そうだな、誕生日を覚えてなくてもシアじゃなくなる訳じゃないからな」
シアがシアらしい。これ以上何が必要だろうか。
亜沙「さて、じゃあ、ボクたちはジャンジャン料理をつくっちゃおっか?」
楓「はい、どんどん追加していくんで皆で食べてくださいね?」
ネリネ「わ、私もウェィターを頑張りますので宜しくお願いします」
神王「よっしゃ、まー坊!記念の花火を打ち上げるぞ!」
魔王「神ちゃん、近所迷惑にはならないかい?」
神王「構うこたねぇ!どっっかーーん、とデケェのを打ち上げるぶぇぇ!?」
リア「神ちゃーん?誰がご近所に迷惑掛けて良いなんて言ったの?」

…まあ、皆、思い思いにシアとキキョウの誕生日を祝おうとしてくれたわけで…
585 名前:誕生日プレゼント6/8[sage] 投稿日:2007/08/13(月) 03:00:37 ID:h+TYzCL4


料理も出揃い宴もたけなわになってきた頃キキョウが話かけてきた。

キキョウ「ねぇ、稟」
稟「ん?どうした」
キキョウ「あたしのシアにあげる誕生日プレゼントなんだけど…稟が誕生日プレゼントになってくれる?」
…このお嬢さん『も』はんなりととんでもない事言ってくれるな。
キキョウ「ほら、あたし達って三人で居ること多いじゃない。だから…」
稟「『たまには二人の時間を作ってあげたいんです♪』ってか?」
キキョウ「ピンポーン♪大正解。ハナマルあげる♪…でもなんでわかったの?」
いや、ハナマルはいらんけど。ただ、同じお願いされてるんたよな。
稟「シアにもそれと全くの同じお願いされてるんだよ。対象が入れ替わっただけの」
キキョウ「えぇ!?」
キキョウは驚愕の声をあげた。
シア「キキョウちゃん、どうしたの?」
キキョウの驚きの声に気付いたシアがこちらにやって来た。
稟「どうやらキキョウも同じこと考えてたらしいぞ? 誕生日プレゼント」
シア「あ、あははは…そこはかとなくそんな気がしてたけど…やっぱり?」
シアは乾いた笑いを浮かべて苦笑していた。
まあ、姉妹だし考え方も似てしまうのは仕方ないか。シア「じゃ、じゃあキキョウちゃんから先で…」
キキョウ「あ、あたしが先に考えてたんだからシアが先に…」
シア「で、でも私、誕生日忘れてたからキキョウちゃんが…」
なんなんだ、このおかしな譲り合い運動は…
煮え切らない二人に業を煮やしたのか、
亜沙「どちらもデートしないって言うなら…ボクがデートしちゃおっかな?」
笑顔でとんでもない事を言い出す御方が一人。それに便乗して、
麻弓「じゃあ土見ラバーズによる土見ラバーズの為の『土見 稟 争奪戦』開始なのですよ〜♪」
と、お祭り騒ぎにしようとする俺の生活のお祭り要員が一人。
稟「こらこら、勝手に決め…うぐっ?!」
樹「今回の賞品は土見稟、その人!いやぁ羨ましいね、稟?」
どこに持っていたのか樹はシュルシュルッと俺の首にリボンを巻いた。
稟「ちょっとま……!……!」
にこやかに息が出来ん程に締め上げるな!おちるおちるギブギブギブ!!
稟「ゲホッゲホッ…いづぎ、本気で首をしめるなよ…」
樹「賞品には逃げられない様にしておこうと思ってね♪決して憎いとか羨ましいとかそんな気持ちじゃないさ」
絶対に本音は後者の方だろ…
稟「だいたいこんな勝負シアもキキョウも受けないんだし意味無いだろ?」
樹「二人ともノリノリみたいだけど?」
稟「はぃ?」

シア「稟くんは絶対渡さないッス!」
キキョウ「シア、共同戦線を張るわよ!」
キャイキャイとはしゃぐ女性陣を尻目に俺はガックリと肩を落とした。

俺の人権はどこいったんだ…。
586 名前:誕生日プレゼント7/8[sage] 投稿日:2007/08/13(月) 03:03:41 ID:h+TYzCL4
〜後日〜

あのあと色々な勝負により、その総合得点で勝敗を決めたのだが…
稟「悪い、ちょっと遅くなった。待たせちゃったか?」
シア「おそーい!何時間待たせる気ッスか!?」
キキョウ「シ、シア…10分も待ってないわよ?」

結果は点数トップのシアとキキョウの点差が着かずドロー。
まあ、結局いつもの『三人デート』であった。
稟「ごめんな、課題に一応カタをつけてきた。と言っても、苦手なヤツだけだけどな」
シア「あ〜、ずるい!こっちは課題そっちのけで来たのに〜」
キキョウ「課題…今だけは忘れてたかった…」
まったく、らしいと言うかなんと言うか…。
稟「じゃあ、明日にでも皆でやるか。…それにしても今日は同じ髪型なんだな?」
ラセットブラウンの髪に、もちろん俺がプレゼントした髪止めを使ってくれていた。

シア「へっへー♪稟くんにちゃんと使ってるとこ見てもらいたかったからね。どう?似合ってる?」
いつものシアの髪型だから似合わない訳じゃないけど…
稟「小さい髪止めだからいつもの耳辺りに着けてるリボンの変わりに着けたらどうだ?『 キキョウ 』」

シア「え」
キキョウ「え?」
シア&キキョウ「「ええぇぇ!?」」

まあ、会ったときから気付いてはいたんだけどな。
俺を試してたのかお遊びだったのか、シアとキキョウは入れ換わっていた。
お互いに口調まで入れ換えてたのだが…
稟「似た顔で、同じ髪型でも雰囲気だけでバレバレだぞ?」
やはり、なりきれてない差が分かっちゃうんだよな。
シア「どーして分かっちゃうのかなぁ…お父さんは完璧に騙せたのに…」と、本物のシア。
稟「まあ、俺も話すまでは確信持てなかったからな」
実際、顔つきはすこーし違うんだけど笑い顔とかは良く似ていて勘違いしそうになるんだよなぁ…。
キキョウ「やっぱり稟はスゴいね。いつだってあたしの欲しいものをくれるんだもん♪」
稟「そうかぁ?…ちょっと大袈裟なんじゃないか?」
実質、シアとキキョウの区別がつくだけなんだが…
シア「ううん、私達にとってはとっても大事なことだよ」
キキョウ「シアとあたしは似てるけど違うって事を完璧に理解してくれてるんだもん。これって結構凄いことなんだよ?」
稟「…そういうもんか?」
キキョウ「そういうもの♪ね?」
シア「うん♪」
キキョウはニッコリと笑ってシアに目配せすると一緒に頷いていた。
587 名前:誕生日プレゼント8/8[sage] 投稿日:2007/08/13(月) 03:06:12 ID:h+TYzCL4
キキョウ「あ〜、でも残念だなぁ〜…稟が分からなかったら今日のデート代、稟に全部持ってもらおうと思ってたのに」
――はい?小遣い出たばかりの俺にいきなり何を仰ってるんですか?
シア「ええと…そーだったの?」
シアは気付いていなかった、というよりキキョウの独断みたいだな。
稟「あのなぁ…、俺だって小遣い貰ったばかりとは言ってもそんなに金持ちじゃ…」
キキョウ「ほー…一応持ってるんだ」
んん? 一瞬、キキョウの眼が妖しく輝いたような…?
キキョウ「じゃあ、木漏れ日通りまで競争して負けた人が今日のデート代全部持ちだからね♪」
言うが早いかキキョウは木漏れ日通りに向かって駆け出した。
シア「ちょ、ちょっとキキョウちゃん?!」
続いてシアもキキョウを追って駆け出した。

あれ?

・・・・!

俺 、 出 遅 れ て る じ ゃ ん !
稟「ちょっと待てぇぇぇーーい!!」
シア「待ってー!キキョウちゃん!」
キキョウ「アハハ♪あたしは待てと言われて待つようなバカじゃないからねー!」

遅れて駆け出したが時既に遅し。
結果はやはり俺の敗けだった…。


土見 稟
今月の小遣い残高 ¥280-
588 名前:名無し ◆85siVFU0r. [sage] 投稿日:2007/08/13(月) 03:14:35 ID:h+TYzCL4
終わりッス!

今回のは結構自己満足な感じなんで皆が楽しんでくれると有難い…
過去にあったネタも使わせてもらいました。スマン!
捕捉
ルビーは七月の誕生石
スタールビーは実在
ラセットブラウン=小豆色

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