869 名前:名無し ◆85siVFU0r. [sage] 投稿日:2007/09/25(火) 04:02:07 ID:leMYb+Et
ゴメンね、時間かかりすぎた…。
もう既に誰も覚えてないかもだけど一応SS投下します。
11程の連投だからレスは控えてね?
870 名前:夏の終わりに1/11[sage] 投稿日:2007/09/25(火) 04:03:39 ID:leMYb+Et
稟「奇跡だ…夏休みが終わってない筈なのに課題が終わってる…」
な、何を言ってるかわからないと思うが超スピードで楓の課題を写したとか、そんなチャチなもんじゃ断じてない!
もっと大切な『自分で課題を終わらせる』ってのを体現したぜ…
稟「さて……よし、今日は作りかけの帆船模型でも作るか!」
夏休みの間、時間に追われてばかりだったからなぁ。
思い返せばろくに一人の時間が無かったし、たまには趣味に没頭してみるのも…

神王「り・ん・ど・の〜!」
魔王「り・ん・ちゃ・ん〜!」

2バカ「「あっそびーましょ〜♪♪」」

物凄いデジャヴ…俺の自由はどこだ…。



稟「海…ですか?」
神王「おうよ!稟殿たちの夏休みもあとちょっとだろ?その間に行っときたくてよぉ」
魔王「去年は行ったのに今年は行ってないんじゃ、なんだか寂しいじゃないか?」
確かに…、今年はまだ夏に遠出なんてしてないもんな。
悪くはないか?
稟「まあ、クーラーの下に引き込もっているより健康的ですね」
楓「でもこれからの時期、海はクラゲとか居るんじゃないでしょうか?」
カチャカチャと麦茶の入ったグラスを楓と、それに続いてプリムラが運んできた。
稟「あぁ、そうか。もうお盆も過ぎたしなぁ…」
魔王「クラゲ…? 何か問題があるのかい?」
稟「えーと、人間界の海は夏休みの後半になるとクラゲが増えるんです」
高いところから海を見るとクラゲだらけなんて事も多々あるしな。
神王「そういや、人間界のクラゲには毒性があるんだったな。忘れてたぜ」
魔王「正しくは毒性のあるクラゲもいる、だね。ここらの海には多いらしいけど」
二人の口ぶりから察するに、どうやら神界や魔界の海には毒性のあるクラゲが少ないらしい。
楓「思いきって神界や魔界の海なんてどうでしょうか?」
プリムラ「お姉ちゃん…それはダメ……」
楓の提案にプリムラが口を挟んだ。
稟「だめ、って…なんでだ?」
プリムラ「シア達とネリネが楽しくない…」
ん?どゆこと?
神王「あー、嬢ちゃん。悪いが却下だ。神界でやると護衛が勝手についてきちまう」
魔王「魔界も一緒だねぇ。向こうだと口煩く言われてバカンスどころじゃない」
なるほど…、向こうにいるとシアもキキョウも、ネリネだって楽しめない訳か。
楓「困りましたね…稟くん、どうしましょうか?」
むむむ…、流石にこれじゃ八方塞がり…?
ピンポーン♪
不意に頭に電球がついた様なヒラメキが浮かんだ。
稟「それなら、その逆とかどうでしょうか?」
一同『逆?』
871 名前:夏の終わりに2/11[sage] 投稿日:2007/09/25(火) 04:05:42 ID:leMYb+Et
海で泳げないなら…

2バカ「「か〜わ〜!!」」

樹「川で泳ぐ、か。稟にしてはよく考えたね」
稟「実際には河原付近ででキャンプ、だけどな。あと「稟にしては」は余計だ」
泳ぐのが目的ならプールでも出来る。なら、少し凝ってキャンプをしようと言うことになった。

しかし、一年って早いな。確か去年の今頃は…
稟「一年か…」

光陽町を離れ、俺達一行が来たのは山間にあるキャンプ場。
山奥にあったため利用者が少なく穴場的な存在である。
まあ、閑古鳥というわけでもないが…
シア「今日は私たちだけなんだね」
運よく今日の利用者は俺達だけだった。
亜沙「そう!幸運にもボクたちだけの貸し切り状態!」
稟「…亜沙先輩、学院の勉強の方は…」
亜沙「ストーップ!…稟ちゃん、学院だって休みはあるのよ?」
カレハ「そうですわ♪亜沙ちゃんったら稟さんが誘ってくれたからってレポートを切り上げて…」
亜沙「カカ、カレハっ!余計なことは言わなくていいから!」
麻弓「つまり、息抜きってヤツなのですよ〜♪いや〜、こういうのは意外と大事なのよね〜」

稟「…麻弓よ、課題はどうした…」
樹「稟、聞くだけ無駄だよ。天下の麻弓=タイムが夏休みの課題を終わらせてるとは到底思えない」
稟「……それもそうか」
まあ、麻弓だし。
麻弓「ちょっとぉ、どーせ土見君だって終わってないんでしょ?」
稟「残念、昨日終わらせた」
麻弓「えぇ?!………え、ホントに?」
稟「ホントに。大体麻弓以外は終わってると思うぞ?」
キキョウ「あたし達は稟と一緒にやったから結構簡単に終わったしね」
シア「リンちゃんもカエちゃんも私達が勉強してるときには終わってたし…あとは…」
シアがふと樹の方に目線を向けた。
樹「もちろん、俺様は紅女史に提出するレポート以外はとっくに終わらせてる」
亜沙「ボクも終わってないって言っても文章の更正とまとめ位だし、レポートの提出期限はまだ先だし、カレハも…」
カレハ「右に同じ♪ですわ」
プリムラ「……お姉ちゃんに見てもらって終わらせた」

麻弓「も、もしかして半分以上終わってないのは私だけ…?」
稟「…どうやらそうらしいぞ?」
麻弓「そんな〜、土見君やシアちゃんが終わってないだろうから便乗して他の人に教えてもらうあたしの完璧な作戦が…」
ガックリと膝を落として、麻弓はかなり他力本願な作戦を口にした。
やれやれ…、少し位は助け船を出してやるか。
872 名前:夏の終わりに3/11[sage] 投稿日:2007/09/25(火) 04:07:23 ID:leMYb+Et
稟「そうだ、キャンプが終わったら皆で答え合わせしないか?」
俺も間違ってる所は直しておきたいしな。
ネリネ「あ、私も丁度そう思っていました。楓さんとしようと思ってたんですけど…」
楓「皆でやれば間違いはかなり減らせますね」
シア「じゃあ、最後に皆で勉強会だね♪」
稟「どうだ?麻弓も来るか?これだけの布陣が居れば教えてやれる人も居ると思うぞ?」
麻弓は今までの愕然とした態度からコロリと表情を一変させた。
麻弓「もちろん行くに決まってるのですよ!!いやぁ〜、やっぱり持つべきは心優しい友人よねぇ♪」
現金なヤツ…まあ、麻弓らしいが。
樹「取り敢えずその話しは一旦置いておいて、今は…」
稟「だな。よし、泳ぐか!」
一同『おお〜!!』



シア「稟くん、お待たせっ!」
パタパタと麦わら帽子を被ったシアが駆け寄ってきた。
シアの水着は何度かプールでも見たが、カラフルな水玉の水着にフリルやリボンがアクセントに付いた水着だった。
稟「今年はその水着も見納めかな」
シア「学園のプールももうすぐ閉まっちゃうもんね。でも、もう少しは空いてるんだよね?」
稟「といってもすぐに忙しくなるだろうからなぁ…」しかしシアは俺の言葉に首を傾げていた。
シア「え?どうして?二学期って何かあった?」
…シアさん、貴女は俺達が今現在、三年生で受験生だって事覚えてますか?
・・・
いや、今だけ忘れさせておいてあげよう…。

稟「あれ?そういえばキキョウは?」
辺りを見回して見たがキキョウの姿が見当たらなかった。
見えるのは既に泳いでる神王と魔王のおじさん達と亜沙先輩達。
それと河原で正座したまま膝の上に平たい石を麻弓に積まれている樹…また、何をしでかしたんだアイツは…。
稟「なあ、シア。キキョウは…?」
シア「えーと、キキョウちゃんは……あ」
シアは何かに気付いたような仕草を見せたが、何か笑いを堪えるように口許を押さえた。
稟「……? どうしたんだ、シあわっっひゃあ?!!」
不意に背中に伝わる冷たい感覚に俺は声を裏返させて奇声を上げてしまった。
てか、何事!?
キキョウ「稟、お待たせ!」
稟「キ、キキョウ!?」
背後から現れたキキョウの手には缶ジュースが握られていた。
背中に当てられたのはこれか…。
稟「不意打ちは卑怯じゃないか?キキョウ…」
キキョウ「え〜?こういうのは不意討ちが基本でしょ?不意討ち先駆けは戦の華だよ?」
どこの小佐のセリフだ…多分、麻弓からいらんこと教わったな…。
873 名前:夏の終わりに4/11[sage] 投稿日:2007/09/25(火) 04:08:38 ID:leMYb+Et
シア「まったく、キキョウちゃんったら。稟くん可哀想だよ♪」
と、言いつつシアはクスクス笑っていた。くそぅ、オモチャにされてる気分だ…。
キキョウ「あはは♪シアだって楽しんでるじゃない♪はい、稟。オレンジで良かった?」
稟「ああ、サンキュー。ってか、キキョウ。その水着は…」
キキョウの着ている水着は決して似合わないとか、おかしいとかそういう訳ではなかった。
むしろ似合いすぎる黒のビキニというスタイルだった。
キキョウ「稟のせいでこの水着着れなかったんだよ?せっかく買ってきたのに!」
そう、俺が着るのを制止した。まあ、想像してもらおう。
黒のビキニ+スタイルの良い美少女、更にそれが自分の彼女
男なら少なからずドキッとする反則的な組み合わせだろう。
男の性として「俺以外の誰にも見せたくない!」と思うのは間違ってるだろうか?
いや、間違ってないはずだ!
稟「ごめん……ただ、あの漬け物を見てもらえば分かると思うんだ…」
そう言って、俺は殆んど石に埋められた樹を指差した。
樹「ヒドイ言い草だね、稟。水着の美少女を視か…、もとい。見詰めて何が悪いって言うんだい?」

稟「……な?だからなんだぞ?」
シア「あ、あはははは…」
キキョウ「学園のプールで着なくて良かったかも…」
学園の獣たちはホントにヤバイのまでいるからな…。樹がまだマシに見えるくらいだし。
稟「でも、着られて良かったじゃないか。似合ってるぞ」
俺の言葉を受けてか、キキョウの顔に朱がさした。
キキョウ「うー…、ホントは今年の夏はこれを着ようって思ってたんだから…」
キキョウは少し照れながらも、それを隠すように愚痴を溢した。
稟「わ、悪い。いや、でも…」
キキョウ「あ〜あ、あたしが初めて自分で買った水着だったのになー」
稟「スイマセン…」
うぅ、そんな露骨に言わなくてもいいじゃないか…。
キキョウ「じゃあ稟は罰として目をつむる!」
稟「へ?何故に目を…?」
キキョウ「い い か ら …目を閉じる!」
稟「は、はい!」
キキョウの強気な態度に圧されて、俺は目を閉じてしまった。
い、一体全体何をするつもりなんだ…。もしや平手か…?
そんなに怒らせちまったのかな。……ハッ!平手どころか攻撃魔法が飛んでくるのか?!

グッバイ俺の青春…

キキョウ「ん……」
シア「あー!キキョウちゃんずるいっ!」
意外にも頬にも体にも痛みは無かった。
しかし、ある一部に奇妙な感覚があった。
874 名前:夏の終わりに5/11[sage] 投稿日:2007/09/25(火) 04:11:02 ID:leMYb+Et
それは唇だった。
つまり、キスである。

キキョウの唇がゆっくりと離れていく…。
稟「キ、キキョウ…」
キキョウ「ありがとう、稟。水着姿褒めてくれて♪」
そこには満面の笑顔が揺れていた。
やっぱ反則だ、この組み合わせ…。



そのころ三人の姿を遠くから見ている存在があった。
神王「ハッハッハッ!うちの娘もなかなかやるもんだ!」
そう、勿論この人たちである。
魔王「あの強引さはリアに通ずるものがあるねぇ。ねぇ、神ちゃん♪」
神王「……おめぇ、そこでそういう振り方しねぇんじゃねえか?」
魔王「いやぁ、思い出すねぇ。リアと久し振りに神界に行ったとき…」
神王「ちょ、てめ、恥ずかしいから言うんじゃねぇよ!」
しかし、饒舌な魔族の王は喋ることをやめなかった。魔王「いやぁ、神ちゃんがリアを押し倒すように縺れて転んだときに…」
神王「やめろっつってんだろうが!」
ドガーン!ドゴーン!

稟「な、何か今年の神王と魔王のおじさんたちの追いかけっこは激しいな」
いや、去年は去年である意味激しかったが。
シア「あー見えてお父さん、結構自分の恋愛事にはシャイですから♪」
キキョウ「たまに聞いたりすると『そういう話はガラじゃねぇ!』って物凄い恥ずかしがるんだよね」
事、娘の恋愛に関しては首突っ込むのにな。
リアさん達は嬉々として話してくれそうだけど。
稟「とにかく、だ」
ドガーン!ドゴーン!
神王「待ちやがれ!まー坊!」
魔王「そんなんじゃ私を捕まえる事は叶わないよ〜?」
……
稟「あれ、止めようか…」
シア「ラジャーっす♪」
キキョウ「ネリネも呼んでくるね♪」

この一件によりキャンプ場に出入り禁止になりそうになったのは、また別の話だった。

……

ここの河原には小さな滝と少し深めの滝壺があった。少し深めと言っても足が着く程度の深さである。
シア「冷たくて気持ちいいね〜。学園のプールより冷たいかも」
稟「夏休みの終わり前と言っても暦の上では秋だからな」
時期的にもそうだが山からの水って事もあってこんなに冷たいんだろう。
キキョウ「川とかあまりきれいなイメージ無かったけどここはホントにきれいなんだね」
ここの川の透明度はかなり高くて浸かっている自分の足元がハッキリ見える程だった。
稟「足のつかないあたりもあるみたいだから気をつけろよ?」
キキョウ「大丈夫大丈夫♪気付かないほどあたしは鈍くはないよ?」
まあ、楓のようにドジ踏むことはあんまり無いけどな。
875 名前:夏の終わりに6/11[sage] 投稿日:2007/09/25(火) 04:13:26 ID:leMYb+Et
シア「稟く〜ん♪」
稟「ん〜?どうした?」
いつの間にかシアは岸から少し飛び出た岩の上に上がっていた。
シア「えへへ♪一回やってみたかったんだよね」
稟「…??」
シア「シア、いっきまーす♪」
稟「へ?行くって……なぁ!?」
岩の上からシアの足が離れた。もちろん向かってくるのは俺のいる方向だ。
やばいっ!またもや受け止めないと変な風にぶつかってしまう!
ガシッ!
稟「う、受け止め…」
ザバーン!!
稟「おおぉぉゴボボガボボボ!?」
まあ、水中で人ひとりの慣性など止められる筈もなく、俺はそのまま後ろに倒れてしまった。

ザバァ…
シア「ぷはっ」
稟「ブハッ!……今度はシアか…。やるなら先に言ってくれ…」
水中でだがシアは俺の首に手をまわし、俺はシアをお姫様抱っこで抱えていた。
シア「あはは♪ごめんね〜?でも、先に言ったら稟くん逃げちゃうでしょ?」
稟「まあ、そりゃそうだけどさ……ん?」
あれぇ?おかしいな?シアの水着ってこんな肌色だったっけ?
キキョウ「ちょっと、シア!水着が…!!」
これはもしや……!!!
俺は、迷わずシアを正面から抱き締めた。もちろん隠すためだ。他意は無い!
シア「え、ちょ、ちょっと稟くん?どうしたの?」
シア当人は全く気付いていなかった。いや、気付こうよ…。
稟「シア…、落ち着いて聞いてくれ。シアは何か変化に気付かないか?」
シア「え?……稟くんの胸板ちょっと厚くなった?」
キキョウ「そういえば最近ちょっと逞しくなったような気が…」
稟「ちがぁぁぁぁぁう!!」
だからなんで顔を赤らめつつそういうことを言うんだ!
シア「あ……、もしかして、下の…方が…」
稟「それでもなぁぁぁい!!」
キキョウ「そ、そうなの、稟?」
いや、確かに密着してるせいかヤバイことになりかけてるけど!!
稟「そうじゃなくて自分の方だ!」
シア「わ、私?えーと胸囲はリンちゃんに敵わないながらも少し成長したッス♪」
稟「ラチが開かないな…」
キキョウ「シア、水着の上の話…。どこにやったの?」
ありがとう、キキョウさん。俺の心の叫びを代弁してくれて!
シア「水着の…上?」
シアは未だに気付いて無いらしく首を傾げながら胸元を見やった。
シア「……」
稟「……」
キキョウ「……」
暫しの静寂の後、
シア「き…」
稟「き?」
シア「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
黄色い悲鳴を至近距離で聴く羽目になった。
女の子の声って高いせいで耳に痛い…。精神的な意味でも。
876 名前:夏の終わりに7/11[sage] 投稿日:2007/09/25(火) 04:15:25 ID:leMYb+Et
シア「えぇっ!?ど、どーして!?」
いや、俺が聞きたい。
キキョウ「と、飛び込んだはずみで外れちゃったんじゃない?」
まあ、あんだけ激しく飛び込めば外れる事もあるよな。
樹「乙女の悲鳴に俺様、参上!シアちゃん、どうしたんだい?」
げ…今一番近寄って欲しくない奴が…
シア「み、緑葉くん、今は向こうに行ってて!」
稟「樹!その場で止まらないとお前をただの獣として扱うぞ!」
しかし、俺の制止も聞かずに樹はザブザブと水を掻き分けて近寄ってきた。
樹「稟、俺様が女性のためにならない事をすると…」キキョウ「問答無用よ!」
突然俺達の目の前から大きな波が立ち起こった。
樹「き、キキョウちゃん!ちょっと待っ……うわあぁぁぁ!!」
┣゙┣゙┣゙┣゙┣゙…ザバァァァァン!!
樹の姿が目の前から消えて波がおさまった時には岸でグッタリとした姿があった。
いや、グッタリと言うにはあまりにおかしな形で打ち上げられたまま動く気配がなかった。
稟「…ちょっとやりすぎじゃないか?」
シア「緑葉くん、ピクリともしないんだけど…」
キキョウ「シアに寄るなって言ってるのに寄ってくるんだもん、自業自得だよ!」
まあ、確かに。
しかし、当のシアの問題は全く解決してないんだよな…。
稟「しかし、この現状どう解決しよう…」
プリムラ「…稟…」
俺が考えを巡らせているところにツィーとプリムラが浮き輪に乗ってやってきた。
稟「ん?プリムラ、どうした?」
プリムラ「これ、樹から預かった…」
それは流されて行ったと思われるシアの水着だった。
ん ?  樹 か ら ?
プリムラ「あと、伝言…。『俺様は悪くない』…だって」
シア「あ、あはははは…」
稟「えーと…」
キキョウ「悪いことしちゃった…かな…?」
未だに流された時の形から動くことの無い悪友の姿に心から詫びたい。
ごめんなさい…。

……

神王「キャンプっていや…」
魔王「やっぱりバーベキューは欠かせないよねぇ♪」ひと泳ぎ終えた俺達はもちろんキャンプの醍醐味!これをやらなきゃキャンプじゃない!(カレーという選択肢もあるが…)
バーベキューを開始しようと準備に勤しんでいた。
亜沙「こーいう時こそボクたちの出番だよね♪」
カレハ「まあ♪亜沙ちゃんったらそんなにハリキって」
ハッキリ言ってこういう時に料理が得意な人が多いのは助かる。
俺みたいに理科実験になってしまうヤツばかりだと飯にありつけなくなるからな…。
877 名前:夏の終わりに8/11[sage] 投稿日:2007/09/25(火) 04:18:52 ID:leMYb+Et
楓「食材はだいぶ揃ってますね。えっと、キャベツ、玉ねぎ、人参…」
麻弓「トウモロコシ、ピーマン、そして勿論お肉様なのですよ♪」
樹「へぇ、結構いい肉ですね」
魔王「お?なかなか見る目があるね。神ちゃんにわざわざ取り寄せてもらったんだよ」
神王「おう、少しばかり高かったが取り寄せて正解だったぜ。シア、魚もあるぞ」
あぁ、そう言えばシアは魚派だったか。
シア「うわ〜、お父さん気が利く♪ありがとう♪」
キキョウ「ねぇ、網はここでいいの?」
稟「ん?ああ、そこだけど先に炭を入れないとな。……ネリネ〜、そっちに炭あるか〜?」
ネリネ「炭、ですか?…こっちには無いみたいですけど…」
ん?じゃあドコだ?神王のおじさんに聞いてみるか。
稟「おじさん、炭は…」
神王「炭ぃ?おい、まー坊、炭はどうしたんだ?」
魔王「炭、かい?…あれは神ちゃんの準備する分じゃなかったかい?」
これは、もしや……

……

稟「という訳で炭を買いに行かなきゃならんわけだが…」
夕暮れ迫る道をトボトボと歩く姿が3つあった。
シア「お父さん…たまには気が利くと思ったのに…。信じた私がいけなかったッス…」
まったく、二人とも既に酒が入ってて車が出せないって、どんだけフライングしてるんだ…。
キキョウ「でも、近くに売ってあるんでしょ?それなら稟と三人でいる時間だし大事にしよっか♪」
シア「そっか、そう考えるとこの道のりも辛くないよね♪」
…慣れてはきたけど、そんな嬉しそうな笑顔で言われると、未だにどうしても照れてしまうな…。
キキョウ「あれ〜?稟、もしかして照れてる?」
ギクゥッ!
稟「い、いや、そんな事は全然これっぽっちも無いぞ!」
シア「その割には稟くんお顔が赤いッス♪」
稟「ゆ、夕日のせいだ!多分!」
そうだ、そういう事にしておこう!うん!
キキョウ「アハハ♪稟ってばこういう時はすんごく可愛くなっちゃうんだよねぇ♪もう一年くらい付き合ってるのに」
くうっ…、なんかこの笑顔には一生勝てなさそうな気がする…。

……

ザーーーー…

稟「夏の終わりは夕立が多いけど、タイミングくらい考えてほしいよな…」
炭も買ってさあ帰ろうって時にこれだ。
まったく、時間も場所も選ばない所はどこかの王様たちそっくりだな。
キキョウ「雨宿りできる場所があったから良かったけど、これからどうしよっか?」
今俺達は古びたバス停で雨を凌いでいた。因みに今日来るバスはもう無いようだ。
稟「どうするも何も…待つしか無いよな…これじゃ」
878 名前:夏の終わりに9/11[sage] 投稿日:2007/09/25(火) 04:21:03 ID:leMYb+Et
シア「でも、たまにはこうやって雨を眺めてるのもいいかも♪」
雨好きなシアらしい発言だが、後で樹や亜沙先輩にどやされそうなんだよな…。だがシアはそんな事お構い無しにニコニコと雨の降る風景を見つめていた。
稟「…たまには悪くないか」
キキョウ「もうっ、ほんとにシアは雨が好きなんだから」
子供のように目を輝かせているシアに俺とキキョウは少しばかり苦笑してしまった。

『1・2・3・ハイ!こーのーこっとばに♪…』
不意に誰かの携帯が鳴り響いた。
『ありっ…』ピッ
キキョウ「はい、もしもし。あ、麻弓?……」
あ、キキョウか。てか今のなんて曲だろ?
キキョウ「うん、そうなの?うん…分かった」
ピッ
幾らかの会話を麻弓と交わしてキキョウは電話を切った。
稟「どうしたんだ?」
キキョウ「ご飯を炊ける位の薪はあったからゆっくり帰って来ても大丈夫なんだって」
稟「そうか、炊事出来るところ自体は屋根があったしな」
まあ、通り雨っぽいしそれなら…。
シア「それなら堂々とゆっくりして行くッス♪」
いや、堂々とって悪いことしてる訳じゃないと思うんだが…。
でも、こんな雨も悪くないか。

……

稟「そうは言ったものの止まないな…」
シア「止まないね〜…」
キキョウ「止まないわね…」
俺達はさっきのバス停から未だ動けずにいた。
稟「しかし、こんなにずっと雨を見てる事も珍しいな」
シア「そう?いつも見てるけどなぁ。縁側から」
稟「あー、あそこなら見たくなるかも。シアの家は庭も風情があるからなぁ…」純和風の家に庭園。四季の移り変わりも感じられる鮮やかさが神王宅にはあった。
……家主は少しばかりそーいうのは似合わないんだが。
キキョウ「ん〜、あたしは雨は苦手かなぁ…。稟に会えなくなるし」
稟「えーと、雨が降ると俺を呼び出したりするのはどこのどちら様でしたっけ?」
キキョウ「それは勿論かわいいかわいいキキョウちゃん♪」
稟「自慢気に自分の名前を言うな」
コツン!と、おれはキキョウの頭を軽く小突いた。
キキョウ「いた!…うぇ〜ん、シア〜、稟がいじめる〜…」
シア「お〜よしよし♪稟くん、キキョウちゃんをいじめたらダメっす!」
稟「いや、いじめたつもりじゃないんだが…」
キキョウ「女の子に手を上げたらその時点でいじめだよ♪」
あ、明らかにいじめられてるのはこっちだと思うんだが…。気のせい?

……
879 名前:夏の終わりに10/11[sage] 投稿日:2007/09/25(火) 05:03:46 ID:leMYb+Et
サーーーー…

未だ勢いは弱まったものの雨は降り続いていた。
シア「長いね〜」
キキョウ「麻弓たち怒ってなきゃいいけど…」
確かに長い…。ちょっと無理するか?
しかし、俺だけならともかくシアたちも居るしな。やめておこう。
稟「長いと言えば俺達の付き合いも…、もう一年位にになるのか」
ふいにその事を思い出した。まあ、気にしたことも無かったんだが。
シア「急にどうしたの?稟くん」
稟「いや、何となくだ。キキョウにも聞いておきたい事もあったし」
キキョウ「あたしに?何を?」なんか改まって聞くのは尚更恥ずかしいな…。
俺は道路の向かい側に視線を逃がしながら会話を続けた。
稟「いやな、ただ気になったんだよ。今更な気がするが…どうだ?」
キキョウ「なにが?」
稟「この一年間ほど一人ぼっちじゃなかった感想。嬉しいとか楽しいとか楽しくないとか」
今までシアと一緒だったとはいえキキョウはシアと話すことも出来なかった。
ふれ合う事すらも出来なかった。
だから聞いてみたかった。
俺達と過ごした日々の事を。
キキョウ「一人じゃなかった……感想……?」
稟「そう、シアやネリネ、楓、プリムラ、麻弓や亜沙先輩、カレハ先輩…あと樹、そして俺」
だんだんと雨音が弱まっていく。どうやら本当に通り雨だったようだ。
稟「そういう人達と友達とか家族になった事をキキョうおっ?!!」
フッと振り向くと、キキョウは…。
稟「泣いて……るのか…?」
もしかして俺、なんかいけないことやっちゃった!?
キキョウ「……ッ…!」
シア「ど、どうしたのキキョウちゃん!?」
俺もシアも訳が分からず、ただオロオロとするばかりだった。
キキョウ「………じゃない…」稟「え?」
突然、キキョウが俺に飛び付いてきた。
キキョウ「嬉しくないわけないじゃない!今更聞かないでよ!バカッ!!」
えっと…嬉し泣き、って事でいいんだろうか…。
俺はキョトンとしながらシアに目線を向けた。
シア「どうやらそういう事でいいみたい♪」
シアも俺と同じ考えに至ったらしく、泣きながら俺の胸に顔を埋める妹に苦笑していた。

―――雨はすっかり上がっていた。

……
880 名前:夏の終わりに11/11[sage] 投稿日:2007/09/25(火) 05:06:04 ID:leMYb+Et
やっと雨があがって、キャンプ場への道を三人でテクテクと歩いている訳なのだが…
稟「で、いつ離してくれますか?キキョウさん…」
キキョウ「女の子泣かせたんだもん。胸くらい貸してくれたっていいでしょ?」
既に泣き止んだキキョウは、未だに俺に抱きついていた。
炭まで持ってると歩きづらいが、どうしても拒めない…。いや、拒もうともしてないが。
シア「む〜…やっぱりズルいよね…」
稟「ん?どうした、シア」
シア「えい♪」
ガシッ!
稟「シ、シア!?」
今度は反対側からシアが抱き付いてきた。
シア「キキョウちゃんばかりじゃなくて私もちゃんと見てね♪」
現在両手に炭、と同時に華。まあ、こうなると
稟「動けないんだが…」
キキョウ「動かなければいいんじゃない?」
にこやかに何を言ってるんだお前は…。
麻弓「なに言ってるのよ、キキョウちゃん。みんなご飯食べられないでしょ?」パッと前を見ると麻弓を含めた全員が立っていた。
亜沙「やっほー、稟ちゃん♪迎えに来たわよ」
楓「あんまり遅いんで心配しました。どこも濡れてませんか?」
そう言って楓はタオルを差し出した。
稟「いや、大丈夫だ。靴も濡れてない」
ネリネ「え?でも胸の辺りが濡れてませんか?」
稟「ああ、これは…」
キキョウ「あ、汗!汗よ!多分……魂の汗!」
へぇ、俺の魂、汗っかきなんですね…。
楓「魂、ですか…?魂って汗かくんでしょうか」
そんで、楓は半端に信じてるし。
稟「とにかくだ。樹」
樹「なんだい?」
稟「炭持ってくれ。動けん」
樹「なんで俺様に渡すのはシアちゃんやキキョウちゃんじゃなくて『炭』なんだい!?」
稟「もちろんお前に渡しても安全だからに決まってるだろ!」
まったく、いつまで経ってもこの男は懲りないな…。ある意味尊敬…
いや、軽蔑しておこう。
麻弓「どーせ土見ラバーズの皆は土見君以外アウトオブ眼中なんだから諦めなさい」
樹「そこをなんとかファールくらいでなんとか!」
ラバーズ「「「ダメです♪」」」
樹「稟…」
稟「却下」
あはははっと樹以外の全員の笑い声がこだました。

稟「キキョウ、シアも」
キキョウ「ん?」
稟「こういう日常で良ければ、またもう一年宜しくな」
キキョウ「もっちろん♪」
シア「また宜しくね、稟くん♪でも稟くん…」
稟「ん?」
シア「記念日はもう少し先だからね?」
キキョウ「忘れたら承知しないんだからね!」
そうでした…。

俺達の日常は「毎日騒がしいお祭りのような日々」だけれども、
頭が痛くて憂鬱な日々だけれども、
その中には「幸せで大切な日々」が含まれている――。

881 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/09/25(火) 05:09:31 ID:3olt60Ty
GJ!!
途中書き込みが途絶えて焦ったw
キキョウかわいいよキキョウ
882 名前:名無し ◆85siVFU0r. [sage] 投稿日:2007/09/25(火) 05:10:11 ID:leMYb+Et
終わりッス♪

同じテーマで文章を書くのは結構難しいね…。
いわゆるネタギレってやつです。

でも、悩んだ分今回は自分的には良かったかな?と思ってるけど…どう?

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