653 名前:名無し ◆85siVFU0r. [sage] 投稿日:2008/02/08(金) 12:23:31 ID:73beD6g8
やっとSS出来た…!

最初にお詫びを…
物凄い遅れて本当に申し訳ないですゴメンナサイゴメンナサイゴメ(ry
最早覚えてる人も居ないかもしれないし、リクしてくれた人も居ないかもしれない
更に自分で時期がどうとか言ってた癖にこれだorz


えーとまた10レス超えるため投下に時間が掛かります。時期外れでも構わないなら読んでください。
レスは控えてね?
654 名前:一喜一憂の初詣1/10[sage] 投稿日:2008/02/08(金) 12:24:19 ID:73beD6g8
稟「や、やっと撒いた……なんで年の瀬になっても親衛隊に追われなきゃならないんだ…」
今日は12月31日、大晦日。
時刻は既に遅いが街の明かりは普段より多い気がする。
俺はこんな時間に何をしてるかと言うと…
稟「俺、初詣に来た筈だよな?」
神王のおじさんの計らいで今年は神界のイベントじゃなく、人間界の初詣にシアとキキョウは参加できる事となったのだが…
稟「いきなり俺がはぐれるとは思ってもみなかった…」
光陽町にある神社の方が人が少ないだろうという考えが甘かった…
まさかあんなに多数の親衛隊と鉢合わせになるとは…
稟「まあ、悔やんでも仕方ないか。シアとキキョウに連絡しとこう……あれ?」
パタパタとポケットを探してみるが財布と家の鍵位しか出てこない。
実は最近、俺とシア、キキョウの三人がいつでも連絡が取れるようにとあるものを買い揃えていた。
つまり…
稟「携帯…忘れてた…」



キキョウ「うーん、やっぱり繋がらない…」
シア「稟くんやっぱり携帯忘れたのかなぁ?」
キキョウ「まったく…なんでこんな日に限って追っかけてくるんだか…」
二人は狼狽した顔で携帯をパタリと閉じて溜め息をついた。
キキョウ「稟もなんで魔法使うのとめるかなぁ。あんなヤツラ、あたしがぶっ飛ばしてあげるのに」
シア「キ、キキョウちゃん…それ、多分みんな無事じゃ済まないと思う…」
親衛隊と鉢合わせになった時、勿論シアとキキョウも側に居たのだが
稟がキキョウに魔法を使うのを制止していたのだ。
まあ、キキョウの魔法の威力を知っているからこその判断だと思うが…
シア「それに稟くんは優しいからあんまり暴力には頼らないようにしてるんだよ」
キキョウ「むー…納得いかない…」
キキョウは未だに頬を膨れさせていた。
シア「ほらほら、そんな顔してないで、稟くん探しに行こっ♪」
キキョウ「はぁ…しょうがないなぁ」



稟「さて、この人だかりからどうやって探したもんか…」
この神社は隣街の大きな神社より小さな神社で、初詣なら隣街の神社に行くのが結構一般的だ。
まあ、人が集中するからこちらの神社に行こう、とシア達と決めたのだが…
まさか、こっちもこんだけ混雑するなんて思ってもみなかった…
やっぱ、みんな考える事は同じか。
稟「さっきの場所には居ないみたいだし、もう境内の方かもな」
しかし、この階段を登るのは骨が折れそうだ…しかたない。
意を決して俺は長い階段を登り始めた。

655 名前:一喜一憂の初詣2/10[sage] 投稿日:2008/02/08(金) 12:26:06 ID:73beD6g8
楓「あれ、稟くん?シアちゃん達と一緒だったんじゃ…?」
階段の登りの中腹にある駐車スペース、そこまでたどり着いたところで良く聞いている幼馴染みの声がした。
稟「楓?家で待ってたんじゃ?」
楓「そのハズだったんですけど…桜ちゃんに誘われて」
楓の後ろを見やると、もう一人の幼馴染み、桜と扶養家の同居人、プリムラがそこにいた。
プリムラ「……稟…居た…」
桜「あ、稟くん?よかった、さっそく見付かったね♪」
稟「なんだ三人とも来てたのか」
桜「せっかくだしね、みんな誘って行こうと思って。そしたら楓ちゃん達がお留守番なんだもん」
稟「ああ、ごめんな?折角おじさんがシア達の予定を空けてくれたから、って楓が気を使ってくれたもんだからさ」
少し気は引けたけど折角の気遣いを無駄にするより甘えてみたが…こりゃみんな誘った方が良かったか。
楓「最初からその、皆で来るようにすれば良かったですね」
桜「そうだよね。もう、稟くん。次はみんな誘ってよね?」
稟「悪い、次からはみんな誘うようにするよ」
プリムラ「…?…」
何故か分からないがプリムラは凄い不思議そうな顔をして俺たちのやり取りを眺めていた。
稟「プリムラ…?どうしたんだ?」
プリムラ「…二人とも嘘つき…ホントは『稟と一緒に行きたい』のを隠してる」
プリムラの言葉にはっとして振り向けば、そこにはギクリとした表情の二人が居た。
楓「そそ、そんな事ありませんよリムちゃん!私は、その…「みんな」で行った方が楽しいと思っただけです!」
桜「そ、そうそう!やっぱりこういうのは「みんな」で来た方が…ねぇ?」
二人とも、『みんな』がかなり強調されて否定どころか肯定してるようにしか聞こえないんだが…
プリムラ「私は、稟と二人で行きたい」
稟「あの〜、プリムラさん、火に油を注ぐマネはやめてもらえますか…」
しかし、俺のツッコミはこの場では全く意に解すことは無かった。
楓「リ、リムちゃん…、それは私も稟くんと一緒がいいですけど…」
あの、楓…場を拗らす発言はやめてくれ…
桜「楓ちゃん、稟くんを独り占めしちゃう気なら、ちょっとズルいと思うんだけど…」
お前もか、桜……俺にどうしろというんだ。
まずいなぁ、シア達を探さないといけないのに…って
忘 れ て た !
稟「わ、悪い!シアとキキョウを探さなきゃならないんだった!それじゃ後でな!」
桜「あ!ちょっと稟くん!?」
渡りに船とはこの事なんだろう。
この場に居るのがまずいと感じた俺は、桜に呼び掛けに振り向かずに登りの階段を全力で駆け上がっていった。
明日は筋肉痛確定だな、こりゃ…。

656 名前:一喜一憂の初詣3/10[sage] 投稿日:2008/02/08(金) 12:27:04 ID:73beD6g8
稟「し、しんど…」
神社の境内まで駆け上がったは良いが、一歩も動きたくない…。
しかし、そんな俺の状態を知ってか知らずか情け容赦無い一撃が俺の背中を襲った。

バァン!
稟「うげごっ!げほっげほっげほっげほっ…!」
いい、息が止まる!
……こんな事をするのは神王のおじさん以外、あの人しかいない!
亜沙「やっほー、稟ちゃん♪」
カレハ「亜沙ちゃん、ちょっと強すぎたみたいですわ」
稟「ゴホッゴホ…ハァ…何するんですか!亜沙せんぱ…?!」
一呼吸入れて声のする方角に振り向いた瞬間、見慣れた二人の見慣れぬ姿に二度目の驚愕を強いられた。
亜沙「あらら、ゴメンね稟ちゃん。ちょっと手加減失敗しちゃった?」
そう言う亜沙先輩の姿は、……何故か巫女装束だった。
稟「…あ、いや、その、タイミングが悪いんですよ…」
い、いきなりそんな格好の人物が現れるとどこから突っ込めばいいか分からないんだが…

亜沙「おや〜?稟ちゃん、ボクの姿に見とれてるのかな〜?」
からかうように笑う亜沙先輩になにか言い返してしまいたかったが、思うように言葉が出てこなかった。
カレハ「稟さん、こんばんは、ですわ♪」
稟「あ、こんばんは……じゃなくて二人ともその格好は…」
カレハ「はい♪巫女装束ですわ♪」
稟「いや、そーではなくて」
なんというか、学園でも人気のある女性二人が『男のロマン』を感じる服装であるってのは良く分かるんだが…
稟「出来ればその格好をしている理由を聞かせてもらいたいんですけど」
亜沙「あ、これ?これはちょっとしたお手伝い。カレハの知人がこの神社の神主さんなの」
カレハ「実はバイトの巫女さんが風邪を引いてしまって…急遽、私達に交代を頼めないかと頼まれまして」
亜沙「ほら、私達の受験は終わっちゃったでしょ?だから、別にいいかな?とバイトに来てるワケ」
なるほど、ようやく理解できた。
つまり、巫女のバイトとしてここにいる訳だ。
亜沙「稟ちゃんは初詣?それとも…もしかして、ボクに会いに来てくれた?」
稟「 前 者 で す 」
亜沙先輩の言葉に対して俺は、効果音をつけるならビシィ!と鋭い音がするようなツッコミを入れた。
亜沙「ブーブー!そういう手痛いツッコミは女の子に嫌われるぞ〜?」
事実を言っただけなのになんだこの仕打ちは…
稟「それより、シアとキキョウを知りませんか?さっきはぐれちゃって」
カレハ「シア様、ですか?こちらには来ていませんが…」
亜沙「ボクたちはずっとここに居たけど会わなかったわよ?」
うーん、こっちには来てないみたいだな。となると、まだ下の方か。
657 名前:一喜一憂の初詣4/10[sage] 投稿日:2008/02/08(金) 12:28:25 ID:73beD6g8
仕方無い、また降りて探してみるか…。
稟「ちょっと一度降りてきます」
亜沙「はいはーい、またのご来訪をお待ちしてまーす♪」
俺は長い階段を見詰め直すと、狼狽しながら下っていった…。



樹「で、今しがた階段の一番下まで降りてきた訳だ」
稟「その通り」
麻弓「この階段を彼氏を置いて一度上がるなんて、普通女の子は考えないとか思わなかったの?」
稟「先に行ってるとばかり思ってたんだよ…」
階段を下りきった所で出会ったのは、やはりシアとキキョウではなく、馴染みの悪友コンビだった。
稟「お前らも仲いいよな、こんな時まで二人セットじゃなくてもいいだろうに」
麻弓「誰がセットなのよ!クラスで二人組を作って余ったのが緑葉君なら一人の方がマシよ!」
樹「こればかりは同意見だね。修学旅行でその組み合わせだったから紅女史に直訴して変えてもらったって言うのに」
そのせいで俺がお前と組まされたんだろうが…。
因みに合流したのは俺に会う直前だったようだ。

稟「で、本題だ。シアとキキョウ見なかったか?」
樹「シアちゃんとキキョウちゃんかい?…悪いけど俺様は見かけなかったよ」
こういう鼻は普段なら効くヤツなんだが、流石に人が多くて気付けなかったらしい。
樹が見つけてないとなると、こりゃ絶望的だな…。
稟「これだけ探して見付からないとなると、どこに行ったか分からないな…」
また、振り出しか……もう一度階段上がった方が良いのか…?
そろそろ疲れて来たよ、パトラッシュ…
麻弓「先刻、キキョウちゃんなら見掛けたけど?」
稟「そっかぁ…見掛けたのかぁ…」
はあ、どこに行ったのやら……?
・・・見掛けた?

!!

稟「どこで!?」
麻弓「あっちの出店で。なんか熱心に見てたわよ?」
稟「ありがとう!」
言うが早いか、俺は出店のある方向へ駆け出していた。

麻弓「土見君もバカねぇ…あたしの携帯で連絡すれば良いのに」
樹「シアちゃんとキキョウちゃんの事となると、どうにも盲目なんだよね、稟は」



初詣には場所によっては、なぜかチラホラと出店が並ぶ事がある。
夏祭りとかそういう時には似合うけど、冬に見るとどうにもしっくりこない。
人が多いからって理由なんだろうがあまり利益をあげられるようにはみえないな。
稟「ま、そんな事よりキキョウを探さないとな。麻弓の話だとこの辺に…」
幾つかの出店を覗いて行ってみるが、どうもキキョウの姿は見えない様だ。
658 名前:一喜一憂の初詣5/10[sage] 投稿日:2008/02/08(金) 12:29:32 ID:73beD6g8
たこ焼き屋、フランクフルト屋などとお馴染みの屋台の横をすり抜けて行くと不意に甲高い音が響いてきた。

カンカンカンカン…カンカンカンカン…
何の音だ?えらく規則的な気がするけど。
その方向へ視線を向けると、何だか古めかしい玩具の並んだ出店があった。
どうやらそこにある太鼓を叩く玩具が鳴らす音らしい。
稟「流石に今時、こんな古い玩具に興味を示す子供も居ないだろうな」
殆んどの人が一瞥もせずに通り過ぎてるもんな。一人だけ長い茜色の髪をした女の娘が見てるだけだし。


……うん、どう見たってキキョウだよね。
キキョウ「へぇ〜…」
目を輝かせて玩具を見つめるキキョウは今時の子供なんかよりずっと純真無垢に見えた。
まぁ、キキョウにしてみれば珍しい物なんだろう。
稟「…なにやってるんだ?」
キキョウ「うーん…稟を探してるんだけど…何だかここにある玩具が面白くて」
と、言いつつも玩具の規則的な動きに気を取られているようだ。
キキョウ「あ、コレかわいいかも♪ へぇー、良くできてるんだぁ」
今度は興味を惹かれたのか小さなお家シリーズの扉の開けたり閉じたりを楽しんでいた。
稟「そこに俺は居ないと思うぞ…」
キキョウ「あははは♪逆にそんなに小さい稟ならかわい………って、稟!?」
稟「本当に気付いてなかったんかい!!」
見入りすぎだろ…常識的に考えて…



キキョウ「まったく…探す方の身になってほしいんだけどなぁ」
稟「ご、ごめんな?携帯忘れてるとは夢にも思わなかったからさ」
小さなお家シリーズの中を探してたキキョウに言われたくない、という文句は飲み込んでおくことにしよう…。
稟「ところで…シアはどうしたんだ?」
キキョウ「えっと、ちょっと待って…別々に探して稟を見つけたら連絡する事にしてるから」
そう言ってキキョウは自分の携帯を取り出すとシアの携帯に電話を掛け始めた。

プルルル…プルルル…

キキョウ「あれ?おかしいなぁ…」
十数度のコール音がした筈だがシアが出る気配は一向に無かった。
稟「ま、まさかとは思うけどさ…」
そう言えばシアもあまり携帯に頼らない方だから、もしかして…
キキョウ「…多分、稟の考えてる通りだと思う…」
キキョウは大きな溜め息をついてパタリと携帯を閉じた。
稟「迷子二人目か…」
やれやれ…まあ、キキョウが見つかっただけでも良しとするか。
659 名前:一喜一憂の初詣6/10[sage] 投稿日:2008/02/08(金) 12:30:37 ID:73beD6g8
ネリネ「稟様…?それにキキョウちゃんも」
キキョウと共に溜め息をつく俺の後ろから、喧騒に紛れ澄んだ呼び声が聞こえた。
稟「ネリネ?」
振り向くとそこには、その声の持ち主に相応しい女性であるネリネの姿があった。
稟「あれ?魔界に帰る筈だったんじゃ…?」
ネリネ「お父様とお母様にお話してみたら、人間界に残って居てもOK、という事になりましたので♪」
流石は親バカ、と言った所か…。
魔界に向かうときに約一名、大泣きしてそうな気がするけど。
ネリネ「そう言えば稟様、シアちゃんが探していましたけど?」
稟「ホントか!?」
ネリネ「もう少し向こうの方を探してみると言ってましたから多分すぐに来ると思いますが…」
そう言うネリネの目線の向こうには街灯の無い少し暗い道路が横に延びていた。
車通りも少ないんだろう。道の向こう側は灯りもなくハッキリと見ることが出来なかった。
キキョウ「あれ?あそこに居るのシアじゃない?」
稟「……どうやら、そうみたいだな」
暗闇から浮かび上がったそれは見間違える筈もない、シアの姿だった。
キキョウ「シア〜!こっちこっち〜♪」
キキョウは軽く跳ねながらパタパタと手を降ってシアに呼び掛けた。
ネリネ「良かったですね、すぐに見つかって」
禀「これでやっと、ちゃんと初詣に行けそうだな。 おーい、シアー!」
道路の向こうにいるシアに向けて俺はキキョウと一緒に大きく手を降った。
シア「あー!禀くんやっと見つけたー!」
まるで、長年会えなかった人に会った時の様にシアがこちらに駆け出した、

その時だった。

『パァーーーーーー!!!』
闇夜を切り裂くようなクラクションの音が鳴り響き、シアが照らし出された。
シア「え…」

な…!トラック!?
禀「シア!!」
━━ヤバい!間に合…

しかし、俺の身体は裏腹にシアに向かって駆け出していた。
キキョウ「シア!?」
ネリネ「禀様!」
たった数メートルが何百メートルあるように遠い…!もっと早く動け!俺の身体!!
間に合えっ…!

シア「きゃぁぁぁああああぁぁぁぁ!!」
禀「シアァァァァーーー!!!」

刹那、奇妙な感覚が俺を襲った。
禀「えっ……!?」
なんだこれ!?辺りがスローに…?
…い、今はそんなことよりシアを助けないと…!

ガシッ!!
ダアァァァン!!


……………

……

除夜の鐘の音が聞こえた気がした…
660 名前:一喜一憂の初詣7/10[sage] 投稿日:2008/02/08(金) 12:32:17 ID:73beD6g8
━━禀くん!禀くん!

シアの声…?ああ…大丈夫みたいだな…良かった…

━━起きてよ!ねえ起きて、禀!
━━禀様!しっかりしてください!

あれ…まさか、俺、シアをかばって…

シア「こ、こういう時は人工呼吸ッス!」
ネリネ「シアちゃん、それは蘇生ほ……!」
スゥッと息を吸い込む音、その後に唇から…
稟「〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!?」
ちょ、ちょっとタンマタンマタンマ!苦しい苦しい!ギブギブギブギブ!!
シア「ぷはっ、稟くん大丈夫!?」
稟「ゲッホゲホ!生きてる!生きてるから!!ゲホ!………じ、死ぬかど思ったけど…」
人工呼吸は、呼吸してるか確認してからしてください…
ってあれ?
稟「…俺、生きてるよな…?」
シア「うんっ、大丈夫だよ♪」
キキョウ「もうっ!二人ともハラハラさせないで! あたし…心臓止まっちゃうかと思ったんだから…」
シアの安堵の表情とは逆にキキョウは今にも泣き出しそうな顔で俺達を心配していた。
シア「ご、ごめんね?…稟くんにやっと会えたから私、浮かれちゃってた…」
キキョウ「それに!稟も無茶しすぎ!…もう無茶しないでって言ったのに…」
稟「ゴメンナサイ…」
ネリネ「でも、二人とも無事で本当に良かったです……ところで…その、稟様」
不意にネリネがこちらを窺うようにオドオドと尋ねてきた。
稟「ん?どうしたネリネ?」
ネリネ「先程、シアちゃんを助ける直前、稟様にスピードを速める補助魔法を掛けていたんですが…その…」
補助魔法…? ……!あの時の不思議な感覚はネリネの魔法だったのか!
稟「そうか、間に合ったのはネリネのおかげだったんだな。 ありがとう、ネリネ」
ネリネ「いえ、シアちゃんを助けられたのは稟様自身の…い、いえ!そうではなくて、体に何か変化はありませんか?」
稟「変化?」
不意にシアがハッとした表情でネリネの方に振り向いた。
シア「そういえばリンちゃん…補助系魔法、苦手なんじゃ…」
ネリネ「はい…この前お父様に練習相手になってもらったんですが…副作用でお父様が体調不良に…」
…あのおじさんが参るほどの副作用って…かなり怖いんだが。
キキョウ「稟、身体の具合は…大丈夫?」
自分の身体を見回してみたが、特に異常は無さそうだ。
稟「別に問題ないな。今回は成功したんじゃ…」
ビキビキッ!

 ん ? ビキビキ ?

いきなり筋肉が悲鳴をあげるような痛みが俺の全身を駆け巡った。
661 名前:一喜一憂の初詣8/10[sage] 投稿日:2008/02/08(金) 12:43:04 ID:73beD6g8
稟「あだだだだだだぁ?!な、なんだこれイテテテテ!?」
シア「り、稟くん大丈夫!?」
は、ハッキリ言って大丈夫じゃない!なんだこの全身筋肉痛みたいな痛みは!
ネリネ「や、やっぱり! すみません、稟様!大丈夫ですか!?」
稟「ま、まったネリネ!そこは触らないでイタタタタタ!」
キキョウ「シア!治癒魔法!治癒魔法!」
シア「い、今すぐ治すから!!」

……



稟「地獄絵図だった…」
どうもネリネの話によるともともと体に負担を掛ける類いの魔法らしく(と言っても極小だが)
制御が上手くないとああいう事になってしまうらしい。
そりゃ、おじさんも寝込むわけだ…。
ネリネ「すみません、私がもっと練習をしていれば…」
稟「いいって、今回は非常事態だった訳だしさ。」
ネリネ「つ、次はちゃんと成功させます!」

できれば次は無い方が嬉しいんだが…
シア「あ、あはは…ごめんね二人に迷惑かけちゃって」
シアは少しバツが悪いんだろう。乾いた笑いで誤魔化しながらも俺とネリネに謝ってきた。
キキョウ「まったく、シアもドジなんだから」
稟「次は左右を確認してから道路を渡るように」
シア「面目ないッス…」
稟「でも…、ありがとうな」
シア「え?」
シアは自分にお礼を言われたことが意外だったらしくきょとんとした表情で俺を見つめていた。
稟「いや、治癒魔法かけてくれただろ? だから、そのお礼」
ようやく意味が伝わったらしく、シアは少しうつむき加減で顔を赤らめていた。
シア「…もうっ、稟くんのそういう優しいとこ、ちょっとズルいなぁ…」
稟「そうだな、俺はちょっとだけズルいんだ」
さっきまでの痛みや諸々もどこへやら、俺はシアの照れるような表情に釣られて笑顔になっていた。



除夜の鐘がいくつ鳴っただろうか。俺達四人は長い階段の頂上にようやくたどり着いた。
麻弓「あー、やっと来たのですよ」
プリムラ「稟…遅い…」
どうやら俺達以外全員揃ってるみたいだな。結局いつものメンバーか。
稟「悪い、ちょっと色々あってな」
そう言いながら、俺はプリムラの頭を撫でた。
楓「でも、心配してたんですよ? 何かあったんですか?」
樹「まったくだね!どこでどーいう油を売ってきたんだか…なぁ? 稟」
稟「お前が言うと変な意味にしか取れないのは、ある意味凄いよな… ちょっとシア達を探すのに時間かかっただけだ」
皆に余計な心配かけるよりこの方が無難だろう。
662 名前:一喜一憂の初詣9/10[sage] 投稿日:2008/02/08(金) 12:44:50 ID:73beD6g8
桜「でもせっかくみんな集まってるのに亜沙先輩達はバイトで居ないんだよね」
あ、そうか。正確には二人足りないのか。
稟「まあ、こればっかりは仕方無いか。だいたい予定してた訳じゃないしな」
亜沙「ふっふっふ…甘いぞぉ、稟ちゃん♪」
稟「うわぁ!い、いきなり後ろから現れないで下さい!」
桜「あ、亜沙先輩!? バイトだったはずじゃ…」
振り向くと未だに巫女装束のままの亜沙先輩とカレハ先輩が……何故か居た。
亜沙「あのねぇ…桜。 ボクが『みんな集まってワイワイガヤガヤー♪』…って時に遊びに来ないと思ってる?」
桜「ま、まぁ…それは…確かにそうですけど…」
あまりの説得力に桜も納得してしまったようだ。…突っ込みどころはある気がするが。
カレハ「亜沙ちゃんがどうしても行きたいということで30分程、暇を頂きました♪」
カレハ先輩もいとも簡単、と言うようにここに居る理由を説明してくれた。
まあ、巫女さんは他にも居るから大丈夫なんだろうけど…いいのか?
稟「しかし、なんと言うかまぁ…」
シア「…亜沙先輩らしいよね…♪」
俺もシアも、他の皆も、それ以上に的確な言葉が見付からず苦笑するほかなかった。

ネリネ「ところで亜沙先輩…その衣装…」
亜沙「あ、そっか。ネリネちゃん達はまだ見てなかったっけ。 ズバリ!巫女さんの服♪」
そう言うと亜沙先輩は軽やかにヒラリと回ってみせた。
ネリネ「その…お父様に『意中の男性にす、全てを捧げる服』、と聞いていたんですが…」
 ま た あ の 人 か
おじさん……幾らなんでも無理がありますよ……神仏に置き換えても無理です…。
亜沙「そうなんだ?…じゃあ、ボクは…稟ちゃんに全てを捧げちゃおっかな〜?」
稟「そこ!悪ノリしない!」
まったく、そんな意味ないのも分かってるだろうに…
プリムラ「…稟…後で楓と着てみていい?」
楓「えぇ!?リムちゃん!? ……確かに私も着る必要がある気がしますけど…その、り、稟くんの為に…」
稟「ストップストップ!!着る必要は…」
キキョウ「それならあたしも着てみようかなぁ…? なんかカワイイし♪」
ポソリとキキョウがとんでもないことを呟いた。
シア「うん♪一緒に着てみよっ、キキョウちゃん♪」
稟「い、いや、だから着る…必要、は…その、なんというか」

見てみたいかもしれん…

麻弓「おやぁ〜?なーにドモッてるのかな?つーちーみーくんっ♪」

ギクゥッー!!
663 名前:一喜一憂の初詣10/10[sage] 投稿日:2008/02/08(金) 13:05:43 ID:73beD6g8
稟「いや、その…だな。見てみたいとか別にやましい気持ちがあるわけじゃないぞ」
しかし、悲しいかな男のサガ…やはり顔に出てたらしい。麻弓はニヤリと口の端を緩ませると
麻弓「はいはーいみなさーん♪土見君はみんなの巫女さん姿が見てみたいそーなのですよ〜♪」
たいへん素敵なお言葉をのたまってくださった。
稟「いやだから違っ…」
ネリネ「り、稟様が望むのなら私も着ます!」
シア「じゃあ…、今度の日曜くらいにみんなで着てみよっか♪」
キキョウ「あははは♪面白そう。麻弓も似合うんじゃない?」
麻弓「え゛!?あたしも!?」
稟「お、おーい…」
これが混沌というヤツか……!
だ、誰かこの事態を収拾してくれ…………って、うげ?!
樹「いやぁ羨ましいねぇ、稟? こんなに沢山の女性に慕われて♪」
ちょ、樹!後ろからチョークスリーパーを決めるな!タップタップ!!

樹「俺様も是非とも『ドキッ!巫女さんだらけの新年会!』に……」

ゴーーーーン……

不意に鳴り響いた音に樹の腕が緩んだ。
それと同時に周りの人達から歓声や拍手が次々に上がっていった。
稟「ゴホッ……これは、あれか?」
樹「…どうやらそうみたいだね」
樹が腕時計を自分で確認した後に俺に見せた。
時計の針は間違いなく深夜0時を示している。
亜沙「てことは…まずはあれね?」
シア「あれって…あ!あれだよね?」
シアがこちらに訪ねてきた。
キキョウ「あの、ここに来る前に言ってた…?」
稟「そう、人間界の古き良き風習ってやつだ」
やはりあの言葉を言わないと新年は始まらないよな。
稟「じゃあいくぞー?」
俺は少しだけ息を吸ってタイミングを図った。そして…
稟「せーの!」


『明けましておめでとう!』
664 名前:名無し ◆85siVFU0r. [sage] 投稿日:2008/02/08(金) 13:14:52 ID:73beD6g8
終わりッス♪

はい、とっくに明けてますよね
リクしてくれた人、すいませんでした…

携帯は後からやめとけば良かったと思ったけどアイテムくらいで考えてください。
最後のバタバタはSHUFFLE!らしく出来てるかな?と思うけどどうだろう
反省点もあるけど久々に楽しい話にできたかな

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