593 名前:MMM No.58 兼 隊長 ◆6Yt8fmnja. [sage] 投稿日:2006/06/02(金) 00:31:41 ID:7Tjp67zJ
気まぐれに"お花見騒動編"の残りをすべて落としていきます
90%以上が蓮と樹の語りなので退屈ですが、これで今作品は終了なのでご勘弁下さい
ではどうぞ
594 名前:MMM No.58 兼 隊長 ◆6Yt8fmnja. [sage] 投稿日:2006/06/02(金) 00:32:28 ID:7Tjp67zJ
……………
その後皆が目覚めたのは夜の10時過ぎだった
宴会が始まったのは確か昼前だったはずなのだが…
何はともあれ、オレ達は帰路につくことになった
土見御一行様は歩いて各自宅へ、オレ、麻弓、樹の三人は電車に乗り自分達の家へと向かった
……………
帰り道にて)
麻弓「うぅ〜…頭痛〜い」
蓮「…酒の飲み過ぎだろ」
麻弓「吐き気もするのですよ…」
城で目が覚めてからずっと麻弓はこの調子だ
樹「つわりなら産婦人科の女医さんを紹介してあげるよ、麻弓」
麻弓「バカ言ってるんじゃないわよ…」
いつもなら鉄拳制裁ネタだが、今の麻弓にはこの返事で精一杯らしい
蓮「もはやツッコム体力も無いか」
樹「そうみたいだね」
二人であれやこれやと冷静に分析をしていたら、不意に麻弓の動きが止まった
蓮「麻弓?」
心配になり声をかけてみるがそのまま麻弓はしゃがみこみ
麻弓「………ゴメン…ホントに吐きそう…」
その口から発せられたのは危険通知だった
595 名前:MMM No.58 兼 隊長 ◆6Yt8fmnja. [sage] 投稿日:2006/06/02(金) 00:34:02 ID:7Tjp67zJ
蓮「吐きそうって…どうする、樹?」
樹「ふむ…いくら麻弓とはいえ、こんな道端で吐かせるような真似はオススメしないね」
蓮「そうじゃなくてだな…大丈夫か、麻弓?」
気休め程度にしかならないが、とりあえず麻弓の背中をさすってやる
麻弓「…気持ち悪くて…これ以上歩くのはムリ…かも…」
さすがに樹も心配になってきたのか、オレに相談の視線を送って来た
蓮「…歩けないなら、運ぶしかないだろ」
樹「だね、休憩したトコロで回復しそうにないし」
蓮「じゃ、そうと決まったら…麻弓、立てるか?」
麻弓「何とか…」
そういい立ち上がってみたが、麻弓はかなりふらついており
麻弓「…はれ?」
後ろに倒れて行った
蓮「麻弓!?」
樹「おっと」
-トサッ
いつの間に麻弓の後ろに回ったのか、倒れる麻弓を樹が受け止めた
麻弓「緑葉君…?」
麻弓が不思議そうな顔をして樹を見上げると
樹「大丈夫だよ、麻弓が相手じゃ欲情出来ないから」
笑顔で言い切りやがった
麻弓「あんたねぇ…」
麻弓の逆襲、踵で樹の足を思いっ切り踏みつける。なるほど、これなら力は要らないな
樹「いたたたたっ!小指が特に痛いっ!?」
蓮「…自業自得だ」
596 名前:MMM No.58 兼 隊長 ◆6Yt8fmnja. [sage] 投稿日:2006/06/02(金) 00:35:01 ID:7Tjp67zJ
麻弓「う…怒ったらまた気分悪くなってきた…」
樹「なら、足をっ、どけて、くれっ!」
麻弓「うぅ〜…」
うめき声と共に麻弓の足がどけられる
樹「ーーーっは〜…」
よっぽど痛かったのだろう
蓮「終わったならさっさと行くぞ」
オレは麻弓を背負おうと、二人の前にしゃがみこむ
樹「あぁ、ほら麻弓」
麻弓「お世話になるのですよ…」
麻弓は樹に支えながらゆっくりとオレの背中に乗って来た
蓮「イイな?じゃ、行くぞ」
オレはゆっくりと立ち上がり、それに合わせて麻弓もオレに体を預けて来る
背中に当たる(少々控えめながら)柔らかな胸の感触が心地良い
そんな気持ちが顔に出ていたのかもしれない、オレに向かって樹が冷たい視線を放っている
蓮「…何だよ」
樹「別に」
蓮「………」
樹「………」
何となく会話が進まず、そのままオレ達は歩き出した
597 名前:MMM No.58 兼 隊長 ◆6Yt8fmnja. [sage] 投稿日:2006/06/02(金) 00:36:05 ID:7Tjp67zJ
…………
……

麻弓「Zzz…」
樹「熟睡してるね」
蓮「おかげでさっきから妙に重いんだよ…」
樹「赤ん坊と同じだね」
妙なコトに赤ん坊は眠っている時体重が重く感じられるらしい
蓮(まぁ、おかげで結構美味しい思いしてるけど…)
そう、寝ているおかげで麻弓の体全体がオレの背中に密着しているのだ
樹「あのさ、蓮」
蓮「ん?」
樹「そういう"幸せ"そのものみたいな表情されると殴りたくなるんだけど」
蓮「…悪かったな」
オレは樹に指摘される程の表情をしていたのだろうか?
まぁ、していても不思議ではないが
樹「…まぁ、ホントに幸せならイイけどね」
蓮「はぁ!?」
思わず変な声が出てしまった…しかも結構な音量で
麻弓「…んぅ…」
突然大きな声を出したせいだろう、背中の麻弓が少し身じろいだがすぐに寝てしまった
樹「…あんまり変な声を出すと麻弓が起きるよ」
蓮「わかってるけどよ…お前こそ、いきなりどうしたんだよ?」
598 名前:MMM No.58 兼 隊長 ◆6Yt8fmnja. [sage] 投稿日:2006/06/02(金) 00:36:59 ID:7Tjp67zJ
樹「どうもしないさ…ま、変に思われるのは当然だけどね」
樹は苦笑しながらも語り始めた
樹「高校への進学で蓮はオレ様達と別になっただろ」
蓮「あぁ、お前はともかく麻弓がバーベナ受かるとは考えなかったがな」
樹「ソコに関しては全く同感だね」
樹は茶化すような口振りで言ったが、目は真剣なままだった
蓮「で、それがどうしたんだ?」
その瞳に応えるようにオレも続きを促すように返事をしてみる
樹「バーベナに入ってから、このオレ様も気をつけてみないと分からない程度だったんだけど、麻弓のヤツ元気が無い…というか足りないように見えてね」
蓮「あの麻弓が?しかもお前も気づかないレベルで?」
樹「そうなんだよ、全く奇妙な話だろ」
蓮「というか、不思議だな」
樹「だろ?それでオレ様も気になって少し探ってみたんだ」
蓮「それで?」
樹「…聞きたいかい?」
いつものお軽い樹からは考えられないような真剣な目がオレに向けられる
蓮「…あぁ」
オレは真剣にその目に応えるべきだと感じた
599 名前:MMM No.58 兼 隊長 ◆6Yt8fmnja. [sage] 投稿日:2006/06/02(金) 00:37:56 ID:7Tjp67zJ
樹「結論から言うとその原因は蓮、君だよ」
蓮「オレが?」
樹「そう」
予想外の答えではあったが、樹は至って真剣だった
蓮「…詳しく頼む」
樹「わかってるって、といっても理由は単純明快、蓮に会えなくて寂しい…それだけさ」
これまた予想外の答えだった
オレはずっと悪い方向の原因ばかりを考えていただけに、間の抜けた表情を浮かべるしかオレには出来なかった
樹「…その様子じゃあ何を言ってるのかよく分かってないみたいだね」
蓮「イヤ…ちょっと待て、確かに今はコイツと付き合ってると言えるが、中学の時はそうじゃなかったはずだぞ?」
樹「オレ様もそう思ってたんだけどね…どうやら違ったみたいなんだよ」
樹の話は明らかに予想の範疇を超えていた
樹「麻弓=タイムは緋山蓮に無意識レベルだったにせよ恋心を抱いていた…そうゆうことさ」
蓮「コイツが…?」
オレは背中で寝ている少女の顔を見ようとしたが、その安らかな寝息に水を差すような真似をするべきではないと感じた
600 名前:MMM No.58 兼 隊長 ◆6Yt8fmnja. [sage] 投稿日:2006/06/02(金) 00:39:38 ID:7Tjp67zJ
樹「オレ様は蓮の親友でもあり麻弓の親友でもある、だから二人が幸せだっていうならソレでイイさ」
コイツは本気で言っている、樹は本当にオレと麻弓が幸せならソレでイイと本気で言っている
妬みや恨みなどその顔からは微塵も感じられなかった
蓮「樹…ゴメン」
樹「何を謝るって言うんだい蓮?」
蓮「よくわからないけど…とにかくゴメン」
よくわからなかった、けどオレはただ樹にスマナイとそう感じた
蓮「………ゴメン」
樹「いい加減にしなよ蓮」
蓮「………」
咎めるような樹の口調にオレは黙るしか無かった
樹「さっきも言ったけど二人が幸せならオレ様は何も言わない、怒りも恨みもしてないんだからそれ以上謝らないでくれ。そんな風に謝られる方がよっぽど不快だ」
蓮「………」
何も言えなかった、今の樹の声にはオレを圧倒するような力があり、オレはただ聞くコトしか出来なかった
樹「…まぁ、オレ様からのありがた〜いお話しはここまでさ」
さっきまでの重圧はどこへ行ったのか、次の瞬間にはいつものお軽い男に戻っていた
蓮「…かなわないな」
まったく、オレの親友は良くも悪くも底の知れない男だ
601 名前:MMM No.58 兼 隊長 ◆6Yt8fmnja. [sage] 投稿日:2006/06/02(金) 00:41:23 ID:7Tjp67zJ
樹「今更気付いたのかい蓮?」
蓮「当たり前だろ?」
樹「………」
蓮「………」
お互いの意志を確認するような沈黙
麻弓「んぅ………はれ?」
沈黙の終わりを告げたのは余りに場違いな麻弓の寝ぼけ声だった
蓮「お?お目覚めですか姫?」
麻弓「ん〜…あたしってどの位寝てた?」
眠気を追い払うようにオレの背中に顔を擦り付けて来る
蓮「10分…いや15分位かな?」
麻弓「たったそれだけ?随分寝てたような気がするのですよ…」
樹「まぁ、いつも以上の間抜け顔で熟睡してたからね」
麻弓「…天使のような寝顔、でしょ緑葉君?」
樹「麻弓の寝顔を天使とするなら、楓ちゃん達を誉める言葉が無くなるじゃないか!」
麻弓「むっきーーー!!」
蓮「うわっ!?暴れるな麻弓!」
麻弓「降ろして緋山君、この男には制裁を加えるべきなのですよ!!」
蓮「降ろせって…お前体調は?」
麻弓「寝たら治った!もう大丈夫!!」
樹「さすが、お猿さんの生命力はハンパじゃないね」
麻弓「キ-----!!」
蓮「…もう、勝手にしてくれ」
いい加減麻弓が暴れるのも抑えるのが面倒になってきたので麻弓を解放する
麻弓「待ちなさ〜い!!」
樹「昼と同じセリフじゃ面白みが無いよ麻弓」
蓮「とりあえずオレを置いて行くな…」
いつもと変わらぬ光景、オレ達3人は昔からこうだ
多分これから先もこういう関係が続くのだろう
だが、それも悪くない
この光景そのものがオレ達の幸せなのだから
今までも…これからも…
602 名前:MMM No.58 兼 隊長 ◆6Yt8fmnja. [sage] 投稿日:2006/06/02(金) 00:44:02 ID:7Tjp67zJ
以上、"お花見騒動編"でした
長々と書いた割には中身が薄い希ガスけど…漏れの力不足なんで多目に見て下さいorz
では皆さん、また会う日までノシ

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