204 名前:名無し ◆85siVFU0r. [sage] 投稿日:2007/06/11(月) 00:58:11 ID:ga7vw0dg
間違いなくAだろうなw

さて、SS出来たよ!
前編というか、普段の稟と麻弓って感じの話で作りました。
なんてかストロベリィな感じが出てれば幸いですw

レスは控えてね?
205 名前:ストロベリィキャンディ1/7[sage] 投稿日:2007/06/11(月) 01:01:02 ID:ga7vw0dg
俺、土見稟。
他称「神にも悪魔にも凡人にもなれ『た』男」
今はただの凡人である。まあ、この言葉の元になるアダ名をつけた本人と付き合ってるわけだが…

稟「麻弓…、かれこれ千円キャッチャーマシンにつぎ込んだんだが」
麻弓「あと100円だけ!!あと一回でいいからお願い!」
稟「はいはい…これっきりだぞ?」
麻弓のお目当てはペンギンのヌイグルミだった。と言っても実際にはもう数体ゲットしている。
麻弓「お、おぉ?来たのですよ!」
稟「おお!上手いこと紐に引っ掻けたな」
麻弓「よっしゃ〜!全色コンプリート♪長年頑張った甲斐があったのですよ」
長年て…そこ30分位だろ。まあ、これで時間もこなれた訳だ。
稟「そろそろ時間かな。よし。映画、見に行くんだろ?」
麻弓「え?もうそんな時間?時間が経つのは早いわね〜」
稟「楽しい時間は特にな」

俺と麻弓が恋人として付き合い出してはや一月。やはり学生ということもあって日曜ともなれば基本的に顔を合わせていた。
つまりはデートである。
俺たちの組み合わせは他人から言わせれば「一番意外なカード」らしいんだが…そんなに意外だろうか?
麻弓「ほらほら、土見君!急がないと『カリブーと海賊王』始まっちゃうのですよ!」

ま、いっか。

稟「おい、待てよ麻弓ー!」
麻弓「待たないのですよ〜♪」
こういうのは他人から見たときであって俺達としては関係ないのだから。



稟「ゼエ、ゼエ…、ま、麻弓…。そんな思いっきり走らなくても…」
麻弓「はぁ、はぁ…、いや、なんか走り出したら、はぁ、楽しくなってきちゃって…」
まるで小犬と追いかけっこしてるみたいだ…。犬を飼ってる人は分かるだろう。
俺が麻弓を追いかけると麻弓がスピードをあげる。俺がスピードを上げると麻弓がまたスピードを上げる…。
結果、最終的に二人とも全力疾走するハメになっていた。
稟「ふぅ…、とにかく映画館には着いたな。麻弓?」
麻弓「ち、ちょっと待つの、ですよ…。手、手を貸して〜」
麻弓はその場にヘタリ込んで立ち上がれないでいた。
疲れすぎじゃないか?やれやれ…
稟「あんまり無茶するなよ。ほい」
麻弓「ご、ごめんね土見くん…なんてね?えいっ!」
稟「んなっ!?お、おい麻弓!…疲れたふりか」
周りの視線がちょっとだけ痛いのは麻弓が首元に抱きついてきてるわけでして…
麻弓「ふふ〜ん、騙される方が悪いのですよ♪」
稟「麻弓、嬉しいけど…その、そろそろ放してくれないか?」
えーと、流石に周りの目線が気になって恥ずかしい…。
麻弓「やー♪なのですよ♪」
いわゆるバカップルってヤツなんだろうが…、麻弓と一緒ならバカでもいいか。
俺はそんなことを考えながら顔の横で揺れる黒髪に苦笑していた。

206 名前:ストロベリィキャンディ2/7[sage] 投稿日:2007/06/11(月) 01:02:31 ID:ga7vw0dg
チャック『マリー…俺は、アイツの事助けたいんだ。止めないでくれ』
マリー『行かないでチャック!私、あなたのことが…』カリブー『ブルルルルゥゥゥアァ!』
チャック&マリー『空気読め』

…なんか凄い新感覚な映画だな。概視感があるようでないような不思議な感覚だ。
あ、カリブー吹っ飛ばされた。味方の筈なのに…

マリー『チャック…お願い、生きて帰ってきて…』
チャック『俺は不死身の海賊王だぜ?…死なないさ』
マリー『じゃあ、約束を…約束を下さい』
チャック『マリー…』
二人の間隔が徐々に狭まっていく…。

ふと、俺はあることに気付いた。
麻弓の手が俺の手に重なっている。それに気付いた俺は麻弓の顔を覗き込んだ。
麻弓「土見くん…」
麻弓は潤んだ瞳でこちらを見つめている。麻弓の唇はとても艶やかで扇情的な誘惑に満ちていた。
これは…、もしやキスをしてくれって事なのか…?
ゴクリと生唾を飲み込むと俺は意を決して麻弓と唇を重ねようとした。
マリー『チャック…』
どこか遠くで映画の女優の声が聞こえていた。チャックとマリー、稟と麻弓の唇が重なる…
その刹那!!

カリブー『ブルルルルゥゥゥアァ!!!』

一同「『空気読め!!』」

まったくこのトナカイは…
チャック『どうやら俺達にはラブシーンは似合わないようだな…』
チャックさん、おつかれさまです…



帰り道、俺達は今見た映画の話しに華を咲かせていた。
麻弓「うーん、なかなかに面白かったのですよ♪」
稟「そうだな、親友を助けるために宇宙に出るとこなんかちょっと感動したよ」
麻弓「主人公のためにカリブーが大気圏突破するのも感涙ものだったわねー」
トナカイの領域を越えてるが、なんだか納得できるのが凄い…
稟「しかし、最後まで空気読めないカリブーだったな…。また、それが面白いんだけど」
麻弓「死んじゃったかと思ったら最後の最後で普通に出てきたのには大笑いさせてもらったのですよ♪」
ホントだよ…。みんなが悲しんでるのに空気読まずに『ブルルルルゥゥゥアァ!』だもんな…

稟「さて、これからどうする?普通に帰るか?」
麻弓「うーん…せっかくだしちょっと遠回りしない?」

207 名前:ストロベリィキャンディ3/7[sage] 投稿日:2007/06/11(月) 01:03:53 ID:ga7vw0dg
時間はもう夕暮れ。遠回りしてやって来た場所は近くの公園だった。
麻弓はいそいそとバッグから一眼レフのカメラを取り出した。
稟「あれ?いつものデジカメはどうしたんだ?」
麻弓の持っているのはフィルムを使うタイプのカメラだった。
麻弓「こっちは趣味用。デジカメはスクープ用に持ってるのですよ?」
そう言って麻弓はカメラを構えてみせた。
麻弓「デジカメは鮮明に撮れるけどなんだか『丸み』がなくてカクカクしちゃうでしょ?」
稟「そういえばなんとなくそんな感じが…?」
確かに最近のデジカメはあまりに鮮明に写りすぎて違和感を覚える事もあるな。
麻弓「でしょ〜?さすが土見くん、分かってるのですよ♪」
カシャッ
・・・ん?
麻弓「題して考える土見稟、ゲットなのですよ!」
稟「麻弓、不意打ちは卑怯だぞ!」
麻弓「不意打ち、裏切りは戦の華なのですよ♪」
どこラスト・バタリオンの小佐だ…。
稟「それで、何を撮りにきたんだ?めぼしいスクープ映像があるようには思えないんだけど」
麻弓はチッチッチッと一本指を振った。
麻弓「言ったでしょー?こっちは趣味用だって。まあ、何を撮るのって聞かれたら困るんだけど…」
そう言うと麻弓は腕組みをして考え始めた。
麻弓「うーん…、心に入ってきた景色を撮る、って言えばいいのかな?」
稟「心に?」
麻弓「うん、簡単に言えばなんだか絵になる風景?それを撮るのですよ♪」
稟「へぇ…そういう事もやってたんだな」
意外、と言えば意外か。普段はスクープばかり狙ってる様に感じてたから尚更だ。
麻弓「うーん、来てみたはいいけどなかなかいい風景が見当たらないわね…」
まあ、グッとくる風景なんて簡単に見つからないよな。
ん…?今見てる風景はかなり良くないか?いや、俺にはこれ以上ない風景だろうな。
稟「麻弓。カメラを貸してくれないか?」
麻弓「え?何かいい風景でもあった?」
稟「ああ、ちょっと借りるな?」
カメラを受け取ると俺は数歩麻弓からはなれた。
麻弓「何を撮るつもり?」
稟「あの夕日に照らされてるだな…」
そう言って俺はあらぬ方向を指差した。その方向にはもちろん何もない。
麻弓「何?何があるの?」
カシャッ
麻弓「え?」
稟「あの夕日に照らされてる俺の恋人の顔を撮ろうかな、と思ってね」
呆然としていた麻弓の顔がみるみる赤く染まって行く。うん、照れてる麻弓もなかなかに可愛いよな。
麻弓「あうぅ…、不意打ちは卑怯なのですよ…」
稟「戦の華、とか言ったのは麻弓だろ?それじゃもう一枚」
208 名前:ストロベリィキャンディ4/7[sage] 投稿日:2007/06/11(月) 01:05:12 ID:ga7vw0dg
麻弓「ちょっと!私のカメラで…きゃ!?」
ポキッ
稟「麻弓っ!?」
こちらに歩こうとした麻弓が不意に転びそうになるのを慌てて受け止めた。
…てゆーかポキって何の音だ!?
稟「麻弓、大丈夫か!?今の音は…!?」
ま、まさか骨か!?骨なのかぁ!?
麻弓「う、うん、平気…でも…」
稟「いいから足を見せてみろ!!ポキって音がしたの聞こえたんだぞ!?」
これは一大事だ!と、とにかく麻弓をベンチに座らせて…。
稟「どこが痛いんだ!?」
麻弓「ちょっと土見くん…?そ、そこは、こ、こそぐったいのですよ」
稟「ご、ごめん。いや、真面目に答えてくれ!どこなんだ!?」
だが麻弓はクスクスと笑っていた。…イヤイヤこれは笑い事じゃないだろう!?
麻弓「違うわよ、折れたのはヒール。足じゃないのですよ」
ヒール!?踵か!踵が折れたのなら絶対に痛い!とにかく全速力で病院に………?

・・・・・・ヒール?

稟「失礼しました…」
そうだよね。歩くだけで足が折れるってどんだけ虚弱体質なんだよって話ですよね…。
麻弓「慌ててる土見くん、可愛かったのですよ♪」
稟「わ、忘れてくれ今すぐに!」
俺、このまま灰になって消えてくれないかな。まじで。

麻弓「にしても、コレどうしよう…、歩いて帰れないのですよ…」
稟「流石にポッキリいってるもんな。直せそうにないぞ。」
骨じゃなかったから良かったけど、これはどうしようもないか。
麻弓「はうぅぅ…高かったのに〜…」
稟「仕方無いな…、よし」
靴のヒールが折れる→歩けない→麻弓が家に帰れない→近くには俺がいる
とくればベタベタだがコレしかあるまいっ!!
稟「よっと…」
麻弓「え?・・・えぇぇぇ!?」
稟「やっぱりこういうときはお姫さま抱っこだろ?」
思った通り麻弓は軽いな。見た目通りというかなんというか…。
稟「かくいう俺は騎士でも王子でも、ましてや神でも悪魔でもないけどな」
そう言いながら俺は笑ってみせた。
麻弓「それを言ったらあたしはお姫さまでも何でもないのですよ?それに…」
麻弓は何かを言い淀んでモジモジしながら指先を合わせていた。
麻弓「…土見くんは私からしたら、騎士さま…なのですよ…?」
夕暮れも薄暗くなった公園でも麻弓の頬が赤く染まっているのが分かった。
稟「それなら麻弓は俺の仕える『お姫さま』だ。これならオーケーだろ?」
麻弓「土見くん…」
稟「麻弓…」
俺と麻弓、その唇が重なろうとする

まさにその刹那!!

樹「あれ?稟に麻弓じゃないか?こんな所で会うとは…ブッゲェ!?」
樹の顔に麻弓の靴が突き刺さった。
もちろん俺達の心はひとつになっていた。

稟&麻弓「「空気読め!!!」」

209 名前:ストロベリィキャンディ6/7[sage] 投稿日:2007/06/11(月) 01:07:05 ID:ga7vw0dg
麻弓「まったく台無しなのですよ…」
稟「ま、麻弓。樹も悪気があった訳じゃないから許してやれよ?」
麻弓は未だ怒っているようで、頬を膨らませていた。
まあ、仕方無いと言えば仕方無いか…。樹が通り掛かったのは偶然なんだし。
稟「しかし、麻弓の部屋は初めて入ったな」
あの後、俺は麻弓の家にお邪魔していた。
部屋は意外と小綺麗にしていて、普通の「女の子らしい部屋」で少し驚いた。
麻弓「土見くーん?あんまりヒトの部屋をジロジロ見ないでね?…ちょっと恥ずかしいのですよ?」
稟「あ、ああ、悪い。初めて入ったから色々気になってな」
麻弓「ま、土見くんだから許すのですけど。あ、飲み物取ってくるのですよ♪」
稟「そういや喉乾いたな。たのむ」
麻弓「任せるのですよ♪…あ、そこのタンスは物色しないこと!」
麻弓は小さなタンスを指差した。まあ、女の子のタンスで見て欲しくないものなんてひとつだろ。
稟「まあ、興味はあるがここは我慢しよう。わかった、指一本触れない」
麻弓「オーケーなのですよ♪」
パタン トトト…

…実は本当に興味があるのはそこじゃない。
先程、樹との別れ際に耳打ちされたのだが

樹『麻弓の机の一番下の引き出しは開けない方がいい…死ぬよ?』

稟「あんなこと言われると気になってしまうな…」
まあ、麻弓にも注意された訳じゃないから開けてみるか…?ホントに死ぬわけないだろうし。

ガチャ
麻弓「あ、そうそう。ホットとアイスどっちがいい?…土見くん?」
稟「ん?い、いや、なんか汗かいたから、つ、冷たい方がいいかな?」
麻弓「了解♪」
パタン…

稟「な、なんか知らんが妙にビビった…」
しかし、生まれた好奇心を留める事は俺には出来なかった。
再び麻弓の机の引き出しに手を掛ける。

ガラッ
稟「こ、これは!!ロープと……!!!」
パタン…

稟「俺は何も見ていない。樹からも何も聞いてない。うん、そうだよな。エビの揚げ物なんて無かったよ」ああ、脅迫写真のバインダーがあったりなんてしなかったよ?うん。

カチャカチャ
麻弓「おまたせ…って、土見くん?どーしたの?」
稟「な、なんでもない…ちょっと疲れたみたいだ」
変な汗かいたけどな…。お陰でベトベトだよ。
確かに元々走り回ったせいもあるんだが…。
麻弓「うわ、土見くん、汗びっしょり…。あ、それなら…」

210 名前:ストロベリィキャンディ6/6[sage] 投稿日:2007/06/11(月) 01:10:22 ID:ga7vw0dg
カポーン…

稟「銭湯なんて久しぶりだな。」
麻弓の家は銭湯だと言うことは知ってたが、営業終了後に入れるとは思ってもみなかった。
稟「こんな広い風呂を独り占めなんてまず一般人じゃ有り得ないもんなぁ」
麻弓「土見くーん?湯加減はどう?」
どこか遠くから麻弓の声が聞こえる。脱衣室の方からみたいだ。
稟「あー、ちょうどいい湯加減だぞー?」
麻弓「ほんとー?…じゃあ私も入っちゃうのですよ♪」
稟「おーう。・・・は?」いやいやここは男湯で俺は男で麻弓は女で混浴ではなくて・・・はっ、麻弓は男?!
それじゃ色々本末転倒だよ…
混乱する俺をよそに麻弓はツカツカと男湯のなかに入ってきた。
麻弓「おっじゃましまーす♪」
稟「ま、麻弓!ここは男湯だぞ!」
今、麻弓は湯けぶる視界の向こうでバスタオル一枚姿でいた。
麻弓「ほほーう、土見くんも男の子、と言うわけですか〜」
稟「お、女の子には見えないと思うが…」
まあ、付いてるものも付いてるわけだし…、その付いてるものも普段より元気になりそうなわけで…
麻弓「それでは、とにかくお邪魔するのですよ。えいっ♪」
ザバーン!
稟「わっぷ!?麻弓!銭湯で飛び込むなよ!」
麻弓「いいじゃない。ここは家のお風呂なのですよ♪」
いや、確かにそうだけど…。
楽しげな麻弓に俺は反論する気もなくなっていた。
麻弓「ハァ〜、やっぱりお風呂は広いのに限りますなぁ〜♪」
稟「麻弓、どこのおじいちゃんだ」
麻弓はそんな俺の突っ込みも耳に入っておらず恍惚の表情を浮かべていた。
稟「そういや、麻弓の部屋の壁にみんなで海に行ったときの写真、飾ってあったな」
麻弓「いい写真でしょ?一番のお気に入りなんだから」
写真にはあの時のメンバー全員が写っていて、それぞれ皆楽しそうな写真だった。
みんな笑顔で、無邪気で、とても青臭くて…、中学生みたいなはしゃぎ様がまぶたに浮かぶような写真だった。
稟「いい、写真だよな…。よし、また撮りに行くか!また、皆で」
麻弓「土見くんならそう言うと思ってたのですよ♪…でも…」
麻弓が照れ臭そうに肩を寄せてきた。
麻弓「二人きり、ってのも悪くないと…思わない?」
俺も麻弓も顔が赤いのは湯船につかってるからじゃない。
ましてや、のぼせているわけでもない。
稟「麻弓…」
麻弓「稟くん…」
俺と麻弓は今度こそ唇を重ねた…

…銭湯の夜が更けてゆく…
211 名前:名無し ◆85siVFU0r. [sage] 投稿日:2007/06/11(月) 01:14:29 ID:ga7vw0dg
あ、すいません。
全部で6/6でした…orz

後編は書けるか分からないけど上手くまとまりそうなら書きます。

一つだけ。
俺はオンザステージやってません!あしからず…

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