349 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/12/18(火) 19:19:01 ID:0kQn4mE0

「痛ッ…!」

不意に指先に走った鋭い痛み。
その痛みを辿って右手を見ると、人差し指の先に赤いものがぷっくりと球のように膨らんでいた。
それまで手にしていたプリントの端にも赤いものが滲んでいる。

「コイツが犯人(?)か…」 

チリチリと続く痛みに顔を顰めながら一瞬前の自分の行動を思い出して呟き、嘆息する。
どうやらプリントの端に指を這うようにして滑らせてしまったらしく、指先をすっぱりと切ってしまったようだ。

「稟さま、大丈夫ですか?」

球型が崩れ、溢れ出した血を苦々しく思っていると、隣から気遣うような声が聞こえてきた。
隣に視線を移すとそこには心配そうにこちらを覗きこんでくるネリネの姿があった。

「稟さま、血が!? 直ぐに回復魔法をかけますね!」
「あ〜、ネリネ、落ちつけ。これくらい大丈夫だから」

俺の指先を見て慌てて魔法の詠唱を始めるネリネに苦笑しつつ、空いた左手を振って大丈夫だと示す。
出血したといっても指先をほんの数ミリといった位なのだ。
そんなことでわざわざ魔法を使ってもらってはこちらが恐縮してしまう。

「ちょっと紙で切っただけだから大丈夫だよ」
「ですが…」
「これくらい舐めときゃ治るよ」

未だ不安そうな表情のネリネを安心させようと、おどけた様に笑う。
するとネリネは一瞬考え込むような仕種をした後、どういうつもりか分からないが両手で俺の手を取り、自分の方へと持っていった。
そしてそのまま俺の人差し指をその口元、小さな唇にそっと含んだ。
350 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/12/18(火) 19:19:48 ID:0kQn4mE0
「ネ、ネリネ、何を…!?」
「ん…」

驚愕する俺を尻目に、ネリネは俯き、照れたように頬を赤らめながらも俺の指を離すことはなかった。
温かな口内に包まれた人差し指、その指先がより暖かく、湿った何かに触れていることに気づいたのはその時だった。
ネリネの舌で傷口を舐められている。
その事実に羞恥、そして興奮を感じ、瞬く間に身体がかあっと熱くなった。

「ん…んん…ちゅ、ちゅる…」
「あ、あぅ…ネ、ネリネ…!」

舌を傷口にそっと這わせ、周囲の指先を丁寧に舐め、溢れ出した血を吸い取るネリネ。
どこかうっとりとした表情を見せながら俺の指を咥えるネリネに俺は思わず声を洩らしてしまっていた。
傷口には痺れるような感覚が続くがそれは決して不快ではなかった。

「…ん…ぷぁっ…。稟さま、どうですか? もう痛くないですか?」
「…あ、ああ」

口を離したネリネに問いかけられるものの、俺は生返事しか返すことができなかった。
だが確かに、ネリネの言う通りに痛みは無くなっていた。
というか驚きすぎて痛みを感じる暇が無かったのだが…。

「あ、また血が滲んできてます! ………私、鞄の中に絆創膏を入れてあるので取ってきますね!」

再び滲みだした血をチロリと舌を出して舐めるネリネだったが、止まらない出血に困ったような表情を浮かべる。
だがすぐに名案とばかりに表情を輝かせると自分の鞄のもとへと駆け出して行った。
そんなネリネをぼうっと眺めながら、俺は自由になった自分の右手を眼前に翳した。
ネリネの唾液で濡れた人差し指。
それを何気なく数秒間眺めた後、ふと周囲に視線を移す。

呆然としてる奴。失神してる奴。カメラで激写してる奴。血涙流してる奴。何故か前屈みになってる奴等。

誰も喋らない。
痛いほどの沈黙の中、俺はようやく気付いた。

ここ、教室だったと…。


こんだけ。下手糞な文章でごめんよぅ
やっぱり>>279氏の文章には遠く及ばないわ
素直に氏の投下の続きを楽しみにしときまふ

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