404 名前:348[sage] 投稿日:2008/01/12(土) 18:48:02 ID:AU4hZPgZ
>>279氏の作品が投下されるまではこのスレ落ちてほしくないなぁ…
というわけで少しでも話のタネになればと再び駄文投下
405 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/01/12(土) 18:58:14 ID:AU4hZPgZ
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「…もう、……もう駄目、なんでしょうか?」
「…ああ、もう、終りにしよう。これ以上はもう、駄目なんだ…!」

縋るように尋ねてくる目の前の人物に視線を合わせることも出来ず、喉の奥から絞り出すようにして何とかその言葉を吐き出した。

「…そう、ですか。…そう、ですよね。…最初から解っていた。解りきっていたこと、なんですよね。…ここまでこれたことが、幸運…だったん、です…よね…?」

無理矢理浮かべたのが丸わかりな笑顔。
その瞳には涙、そして細かく震えるその身体に満ちるのは、純粋なまでに深い悲しみなのだろう。
俺にはそれが痛いほど理解できた。
他でもない、俺自身も同じような状態なのだから。
だからその言葉を聞いても、ただ俯き、拳を握り締めるしか出来なかった。

「…そう、仕方ないんだよ。俺たちはもう、ここまでだ。ここまでで終わりなんだよ! ………我らのリンちゃんが、リンちゃんが! 土見稟のやつと、…正式に結ばれてしまったのだから!!!」

滲む視界、あふれ出る涙を拭うことも出来ないまま、俺は激しく頭を振りかぶり、幾人もの同志達に宣言した。

リンちゃん突撃護衛隊 らんらんリンちゃん―通称RRRの解散を。



『九月某日、終わりと始まり』



「うおおぉぉぉぉ………!!」
「嘘だ、嘘だ、嘘だ…。そうだ、これは夢なんだ。目が覚めればそこには見慣れた天井がある筈…!」
「ちきしょう、ちきしょう、ぢぎじょぉぉぉぉ…!」
「もう恋なんてするもんか〜!」
「びええええええ! なんとかしてよお、ドラ○も〜ん!」 

あちこちで発生する呻き声や怨嗟の声、そして啜り泣きの音。
見渡せばそこら中で見つかるorz。
我らRRRの集会所でもあった視聴覚室は今、間違いなく世界で一番悲しみと絶望に満ちた空間だった。

「うう、一週間近く休んだリンちゃんにようやく会えると思ったら…!」

そう言って涙するのは今日最初にリンちゃんに出会ったメンバー。リンちゃんと通学路が同じらしい。
実は、夏休みが明けて少しして、リンちゃんはいきなり学園に来なくなった。
何があったのかはよく分からないが、怪我や病気ではないらしいとの話がどこからか回ってきたので、俺たちもとりあえず様子を窺うことにしていた。
そして今日、通学路で土見稟と一緒に登校してきたリンちゃんは、今までの彼女ではなかったらしい。
直ぐに連絡を受けた俺たちは校門前で二人を待ち伏せしたのだが、やってきた二人の姿を見て凍りついてしまった。
それまでとなんら変わらず、談笑する土見とリンちゃん。
だが二人の纏う雰囲気は今までとは決定的に違う、正に恋人同士の纏うそれだったのである。
鞄を胸に抱きながら、蕩けるような笑顔で熱っぽい視線を土見に向けるリンちゃん。
土見の方もそんなリンちゃんの視線を優しく受け止めていた。
二人を引き離すことも出来ず、ただ放心していた俺たちはその後、休憩時間に爆発的に広まってきた一つの噂にトドメを刺されることになった。

“土見稟と魔界の姫ネリネが正式に結ばれたらしい”

数多くの人族、神族、魔族、数多くの上級生、同級生、下級生がその噂の真偽を求め、2−Bの教室を訪ねた。
勿論俺やこの場のメンバー達もその一人だ。
鼻息荒く詰問するその集団の質問に、リンちゃんは顔を真っ赤にさせ俯き、土見の奴も赤くなりながら後頭部を掻き、視線を逸らしつつも、小さく頷いたのだった。
歓声を上げる女子、歓喜の雄たけびを上げるその他の親衛隊、絶望する同志達の悲鳴。
だがその時の俺にはそのような声は届かず、ただ“終わった”という単語だけが胸中に響いていた。
406 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/01/12(土) 19:02:54 ID:AU4hZPgZ
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「……………………(ブツブツ)」
「ああ、ネリネ様の笑顔だけが僕の救いだったのに…ぐしゅぐしゅ…」
「うわぁ、地面が凄く近く感じるわ…。今なら空も飛べるかも…」
「…俺、腹切るわ。誰か介錯よろしく」

放心状態のまま呟く者、未ださめざめ泣き続ける者、窓際で地面を見つめながら黄昏る者(ちなみにここは3F)、上着を脱ぎはじめる者。
視聴覚室は今、間違いなく世界で一番天国に近い場所だった。

「…本当に、それでいいのか?」

俺のその小さな呟きは想像以上にその場に響いた。皆の視線が俺に集まる。
俺は、それまで考えていたこと、そして皆の想いを再度しっかりと自分の中で纏め、消化し、ゆっくりと口を開いた。

「確かにリンちゃんが土見と結ばれたのは俺達としてはとてつもなくショックだ。世界の崩壊にも等しい。だが、それを悲観してこんな所でただ燻っていて本当にいいのか?」
「そ、それは…でも…」
「俺達はリンちゃんが好きだ。だからこそ、彼女の幸せは俺達の幸せじゃないか? 思い出せ! 彼女の笑顔を! 俺達を救ってくれるリンちゃんの笑顔を! そのリンちゃんが幸せになったのなら、それは素直に祝福してやるべきじゃないのか!?」
「確かに…そうかもな」

俺の演説に、少しずつメンバーの顔に生気が戻ってくる。
今思えば、俺達は本当に大切なことを見失ってしまっていたような気がした。

「そうだよな。悔しいけど、リンちゃんの笑顔の為なら…」
「ネリネ様の為なら死ねる、ていうのが僕らの、RRRの行動理念でしたもんね。…それをすっかり失念していました」

俺達は皆で手を取り合った。その頬を伝う涙は既に悲しみのものではなく、感動のそれだった。
俺達RRRは解散し、新生RRRとして、新たに一つに纏まり始めたのだ。

「……あ、土見とリンちゃんだ」

先ほど窓際で黄昏ていた同志が不意に階下を見て声を上げる。

「…そうか、もう放課後だもんな。一緒に帰るんだろう」
「でもこっちは校門とは逆方面ですよ?」
「下にあるのは滅多に人の来ない雑木林くらいだもんな」
「あ、キスした」
「殺せええええええええええ!!!」

言うや否や俺は窓を開け放ち、地面に向かって飛び降りていた。
他のメンバーも俺に続き、続々と飛び降りてきた。
中には着地に失敗し、地面に崩れ落ちる者もいたがそんなことは関係無い。
最早俺達の目に映るのは怨敵の姿ただ一つ。
リンちゃんの幸せ? 素直に祝福? 何それ、おいしいの?

「うわ! な、なんだ、お前ら!?」
「ヒャッハー! ここは通さねえぜ!」
「土見稟! お命頂戴仕る!!」
「死ねよやー!!」

今この瞬間、俺達は一個の生き物と化した。

「……誰に向かって、死ねと、仰ったんですか…?」

そんな折に、ふと聞こえてきた低い声。
見ると、身体のあちこちから溢れ出した魔力によるスパークを発生させているリンちゃんの姿。
俯いた姿勢から表情は伺えない。だがそのスパークはどんどん激しさを増していく。

「……稟さまを侮辱したこと、そして私達の時間を邪魔したこと、絶対に許しません!!」

その後のことは、……覚えていない。
407 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/01/12(土) 19:05:07 ID:AU4hZPgZ
以上
>>353や>>358を見て思いつきました
ちょっと趣味に走りすぎたかも。でも親衛隊連中好きなんだよぅ
あと後半改行長すぎってでたんでちと削ったんで慌ただしくなっちゃった

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