418 名前:348[sage] 投稿日:2008/01/17(木) 18:28:43 ID:hTtDUnDS
>>350の続き?みたいなもんを書いたので投下してみる
419 名前:348[sage] 投稿日:2008/01/17(木) 18:30:05 ID:hTtDUnDS
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「ふぃ〜、さっぱりした〜! …しっかし今日はとんでもないことになっちまったな〜」
「ご、ごめんなさい。私のせいで、稟さまが…」
「別にネリネのせいってわけじゃないさ。気にする必要なんてないよ」

とある日の放課後、魔王邸のネリネの部屋にて風呂上りの俺が何気なく呟いた苦笑交じりのセリフにしょんぼりしてしまうネリネ。
俺のフォローにも俯いたままで、その落ち込みようは中々根が深そうだ。
何と言っていいか分からず、取りあえずネリネの隣に腰かけると、ネリネが消毒薬を手に、絆創膏を袋から取り出したので、俺は黙って右手を差し出した。
右手の人差し指、その先端の僅かな傷に消毒薬を垂らし、そっと絆創膏を巻くネリネ。
実は今日の昼間、休憩時間に俺は指先を怪我してしまった。
それを見たネリネは流れ出る血を止め消毒しようと、何と俺の指先を口に咥え、舐めだしたのだ。
二人きりの時ならば恋人同士として何の問題もない行為、むしろ即座に燃え上がった俺によってギシアンコースなのだが、よりにもよってそこは教室のど真ん中。
瞬く間に広まった噂によりすぐさま俺は親衛隊連中に追いかけまわされる羽目になった。
その後、紆余曲折を経て何とか逃げ切った俺はネリネの家で風呂を借り、汗まみれになった身体を洗い流していたのだ。

「…けどびっくりしたよ。いきなり指を舐められるとは思ってもみなかったから」
「あ、あの時は夢中で…何とか稟さまを助けなきゃ、って…」

指先に巻かれた絆創膏を眺めながら呟くと、ネリネはしどろもどろになりながら弁明を始める。
だが真っ赤になって視線を彷徨わせるネリネが可愛くて、俺は悪戯っぽく笑いながらネリネを見つめ続けた。
こんなに可愛くて健気な娘に指を舐められたり手当されるのなら親衛隊に追いかけられる位、と思ってしまう俺はもう末期なのかもしれない。
まあ回復魔法をかけようとしたネリネに舐めときゃ治ると言ったのは俺なので自業自得といえなくもない気がするが…。

「うぅ〜、稟さま意地悪ですぅ…」

恨みがましい眼でからかう俺を非難するネリネ。
だがその声はどこか俺に甘えるような口調で、いそいそと消毒液を片づけると机の上に置いていたポットで俺のために紅茶を淹れ始めた。

「ごめんごめん。……でもさ、その、全然嫌じゃなかったよ。ていうか、むしろ、嬉しかった」
「り、稟さま…」

恥ずかしくてまともに視線を合わせられず、そっと呟く俺にネリネも頬を真っ赤に染める。
そして机の上に紅茶の入ったカップを置くと、俺の腕に抱きつくようにしなだれかかってきた。
俺はそんなネリネの頭にそっと頬擦りすると、空いた手で紅茶のカップを掴み、口元に運び…

「…あぢっ!?」
「稟さま!?」

悲鳴を上げた。
420 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/01/17(木) 18:31:06 ID:hTtDUnDS
2/2

「思ったより紅茶が熱かった…」

カップを机に置き、心配そうなネリネに手を振ってたいしたことの無いことを告げるものの、我ながら情けないことこの上ない。

「稟さま、大丈夫ですか? すぐに回復魔法を…」
「あ〜、ネリネ、落ちつけ。これくらい大丈夫だから」

不安げなネリネのセリフ。
だがどこかで聞いたそのセリフに思わず俺は吹き出してしまった。
昼間と全く同じ展開にネリネも気づいたらしく、頬を綻ばさせている。

「ちょっと舌を火傷しただけだから大丈夫だよ」

ひとしきり二人で笑った後、俺はそう言ってネリネに優しく微笑む。
するとネリネはどこか潤んだ瞳で俺を見つめてきた。

「本当に、大丈夫ですか?」

何かを期待するその視線を真っ向から受け止め、見つめ返す。

「…これくらい、舐めときゃ治るよ」

言いながらネリネの頬をそっと撫ぜる。
ネリネは心地良さそうに目を細めると、ぽーっとした表情で俺にしなだれかかってきた。
俺が黙ってネリネに顔を近付いていくと、ゆっくりとその瞼を閉じる。

「…ネリネ」
「稟さま…」

そうして俺達の距離はゼロになった。

「ん、んん、ちゅ、ん、ぁ、稟さ、ま、ふぁ…!」
「ん…ネリネ…!」

重ね合わされた唇。
優しく触れ合う二つの唇が互いに吸い合い、その感触を楽しむ。
ずっとこうしていたい。
けれど本来の目的はこれではない。
俺は後ろ髪を引かれつつネリネの唇の感触を振り切り、そっと舌を差し出す。
するとネリネは即座に自らの舌で俺の舌を舐め、火傷した箇所を癒してくれた。
ぴちゃぴちゃと音を立て絡み合う俺達の舌。
薔薇色に頬を染め、閉じた瞼を震わせるネリネが俺の首の後ろに両腕を回してくる。
そんなネリネが愛しくて、俺はいつの間にかネリネを床に押し倒していた。

(昼間は教室のど真ん中で多くの野次馬がいた。けど今この場にいるのは俺達二人だけ…)

俺の心の冷静な部分がそうして“単なる事実確認”を済ませたのだった。
421 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/01/17(木) 18:31:44 ID:hTtDUnDS
以上
この前舌を火傷した時にふと思いついたネタです
勿論俺の前にはネリネたんがいないので一人で舌を出して犬のようにハアハア言ってたよorz

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